災害避難とペット

関東や長野、東北などで台風や記録的な雨になったあと、哀しいニュースが続きます。昨日の地元紙にも、涙を誘うように記事が載りました。

先月25日に千葉県内を襲った豪雨で、愛犬6匹を失った夫婦の話です。

県内の長柄町に住む夫婦は、子供がいないため、ブリーダーとなり、愛犬6匹と生活していたようです。

夫婦の家は田園地帯にあり、家の脇を川が流れていました。その川の水位が、25日朝から降り出した雨により急激に上昇し、午前11時過ぎには川から溢れ、「水が入ってきたと思ったら10分ほどでひざ下に達した」のでした。

巡回していた消防署員は早急の避難を促しました。夫婦も非難の必要性は重々理解していたものの、それに移れない事情がありました。家族同然の愛犬6匹が心配だったのです。

妻は犬たちを見捨てて逃げられないと泣きじゃくりました。夫は妻を説得し、水に浸かった自宅から100メートルほど離れた坂道まで軽乗用車で離れました。

犬たちはゲージに入れ、少し高い台の上に載せ、浸水の被害を少しでも避けられるようにしました。

犬たちの傍にいられない間、夫婦は胸が引き裂かれるような思いでいたことでしょう。

その日の午後6時頃、まだ水が残る道路を走り、びしょ濡れになりながら犬たちのもとに戻りました。ヘッドライトの灯りで照らすと犬の瞳が光って見えました。また、鳴き声も聞こえました。

無事だったと安堵しました。が、それはつかの間のことで、息絶えた犬たちが見つかりました。最後に聞こえた鳴き声は、夫婦への別れの挨拶だったのでしょうか。

台風や大雨の被害を伝える報道は、人間の死者や不明者だけで、動物について伝えられることはありません。今回の災害でも、多くの動物が命を奪われ、その動物の数だけ、飼い主の人間の哀しみもあったでしょう。

災害と動物で思い出すのは、2011年3月の東日本大震災です。

この震災により、海では信じられないような津波が発生し、福島第一原子力発電所はすべての電源が失われ、破滅的な事故を起こしました。

大雨による洪水と違い、放射能の脅威は目に見えません。それでも、人体への危機は一気に迫っているのであり、周囲に暮らしていた人々は、先を争うように自宅をあとにしました。

この事故から2カ月後の5月15日、NHKEテレの「ETV特集」が放射能汚染について伝える「 「ネットワークでつくる放射能汚染地図・福島原発事故から2か月」を放送しました。

そのラストシーンが忘れられません。

放射能で汚染された地域に自宅がある夫婦が、短時間の帰宅を許され、自宅へ戻ります。放射能の感染を恐れながら、自宅に残していた愛猫と愛犬にエサを与えるためです。それが済んだ夫婦は、追いすがる犬たちをなだめ、車で自宅をあとにします。

すると、愛犬は去っていく夫婦の車を追いかけ、外れるようにしてあった鎖を外し、道路へ駆け出てきます。走る車のうしろの窓から、遠ざかる愛犬の姿が見えます。哀しいラストシーンでした。

私の家でも、昔から猫と犬を飼い続けています。犬は数年前まで2匹いましたが、1匹は事故で、もう1匹は老衰で亡くなり、今はいません。

猫たちは1匹の母猫とその子供たちが2匹います。この猫たち3匹を家に残し、自分だけどこかへ避難しなければならなくなったとしたらどうでしょう。胸が引き裂かれる思いになるに違いありません。

なかでも、唯一のオス猫の“お兄ちゃん”こと白足袋ちゃん(=^ω^=)は、私と過ごす時間が長いです。本コーナーの更新をする今も、私のすぐうしろで眠っています。

お兄ちゃんとはいいながら、独り身の私にとっては自分の子供のようでもあり、弟ともいってもいいような存在です。お兄ちゃんには始終話しかけ、お兄ちゃんも私に話をします。唯一の家族のようなものです。

そんなお兄ちゃんたち、愛猫たちを家に置いてどこかへ行ってしまうことは難しいです。

このたびの災害による避難でも、ペットたちを残して避難できないと、避難を渋ったケースがあったと聞きます。ネットの記事にもそんな見出しを見つけましたが、読んだら哀しい気分になると思い、読みませんでした。

人は平時に当たり前にあることが失われて、それがどれだけ尊いことかに気付かされます。

私の膝の上で欠伸をするお兄ちゃんの顔を眺め、そんなことを考えています。

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