小林製薬が製造・販売するサプリメント「紅麹コレステヘルプ」を服用して健康被害が出たとされている問題は、それが報道されて昨日で2週間となります。
本報道が始まった当初、私はその報道を見ても、そういうことが起こったんだといった程度の認識しか持ちませんでした。
その後、厚生労働省の職員らが同社の工場を立ち入り検査するなどの動きがあり、次第に注意深く報道を見るようになりました。
同社が直近に公表したところでは、同社のサプリメント「紅麹コレステヘルプ」を服用した人で、5人が死亡し、157人が何らかの症状を訴えて入院したのことです。
症状としては、尿細管間質性腎炎や尿細管壊死、急性尿細管障害が上げられています。どれもが尿細管周辺になります。
私は医学の知識は乏しい素人ですが、上に上げられている症状を見て、もしかしたらですが、この症状を示す人の多くが女性ではなかろうかと考えます。
人体の構造は男性と女性で異なる部分があります。尿を排泄する部位が男性と女性で大きく異なります。そして、女性の方が、排便や排尿時に、男性に比べて、尿細管から菌が入りやすい構造になっていると聞いたことがあります。
それは、男性と違い、女性は、尿道と肛門が接近しているためです。尿道炎も女性に多い疾患と聞きます。
素人考えはこのくらいにして、小林製薬の紅麹コレステヘルプを服用して何らかの症状が現れて入院なりした人の年代は30代から70代と幅が広く、そのうち、40歳から69歳までで全体の約9割になるということです。
紅麹コレステヘルプというサプリメントの容器に印刷されている謳い文句を見ると、「善玉コレステロールを下げる」「L/H比を下げる」とあり、スマートな体形になりたい人向けのサプリメントでありそうなことが連想できます。
現時点で死亡したことがわかっている5人の一部は、患者の約9割には含まれない年代で、70代から90代だといいます。90代になっても、コレステロールを気にする人がいるのか少々疑問です。
本日の朝日新聞はこの問題の経緯などを報じています。
麹コレステヘルプと腎疾患の関係が疑われ始めたのは今年に入ってからです。
小林製薬が紅麹原料の販売を始めたのは、今から8年前の2016年です。それまで、同社は麹を扱った経験はなく、グンゼから事業譲渡される形で、生産を始めています。
設備や技術者もグンゼからの提供であるようです。
その後、今回関係が疑われている紅麹コレステヘルプの販売を始めたのは3年前の2021年2月です。それから昨年まで、本サプリメントを服用した人からの健康被害報告はなかった模様です。
それがなぜか、今年に入ってそのような報告が入り、それを服用したことで亡くなったとされた人が5人現れる事態となっています。
本問題を報じる本日の朝日の記事にしても、見出しは「『紅麹』原因解明にハードル」です。この見出しでもわかるように、紅麹コレステヘルプが死亡や疾患の原因とするには、まだ、証拠が乏しい印象です。
このような経緯を見るにつけ、素人の私は、マスメディアが報じ、厚労省が疑っている紅麹コレステヘルプがその原因なのだろうかと「騒動」そのものへの疑いが強くなっています。
もしそれに原因があるのであれば、どうして、その原料が始まった2016年以降、それによる健康被害がなかったのでしょう。また、それを原料とする紅麹コレステヘルプによる健康被害も昨年まではない模様です。これはなぜでしょうか?
この「問題」を巡っては、「プベルル酸」という物質が報じられました。本日の朝日の記事中にもこれについて書いた部分があり、厚労省の説明として、「(プベルル酸は)毒性が高い」としています。
しかし、この物質について書かれたネットの事典ウィキペディアには次のような記述があります。
メディアは「プベルル酸をマウスに皮下注射すると5匹中4匹が死亡」という論文を引用した報道を行った。[5]Sennariらの論文(PMID: 28775291)のIntrodutionにはその記述があるが、その引用元の論文(PMID: 1098584)にはどこにもそんなことは書いてないどころか、プベルル酸すら書かれていない。またSennariらの論文によればプベルル酸に抗マラリア効果を期待して、マラリアに感染したマウスにプベルル酸を投与した事になっており、プベルル酸を投与しなくても4匹ないし5匹のマウスは死亡していた可能性があるため、プベルル酸の毒性の報道としては不適格である。
プベルル酸に、厚労省がいうような高い毒性がないのであれば、何によって5人が亡くなったのかとなります。
小林製薬側は、紅麹菌がプベルル酸を作る可能性は低いとみているそうで、別の理由によって青カビが混入した可能性があると本日の朝日の記事は書いています。
本日の朝日の記事によれば、紅麹原料の一部からプベルル酸が見つかり、特に、昨年9月製造分のサンプルから最も多くそれが検出されたとのことです。
小林製薬の製造本部長は、それについて、次のように述べています。
(工場の)設備や温度の管理、菌株や培養につかうコメを含めて、この時期(昨年9月)に生産方法を変えたことはない。
腎疾患を発症した人や亡くなった人が、「たまたま紅麹コレステヘルプを服用していた」ということは考えられないでしょうか? その「偶然」が重なっただけで、真の原因は別にある可能性です。
もしそうであれば、紅麹コレステヘルプを製造・販売する小林製薬は「被害者」になります。勝手に関係を疑われ、製品の回収などを負わされているからです。
小林製薬としても今回のことには納得できないところがあるやに聞きます。
本問題を報じるマスメディアは、はじめから、同社のサプリメントに問題があると報じています。ところが、2週間経った今も、原因の解明には至っておらず、本日の朝日の記事は、そのハードルの高さを書いています。
朝日は日頃、刑事事件を扱うときは、「疑わしきは罰せず」の態度を採っています。今回の問題ではなぜその態度を採らないのでしょう?
勝手に疑い、同社を罰する態度をはじめから採っているわけですよね? 時と場合に応じて、自分たちに都合のいい態度を採ることは「ダブルスタンダード(二重規範)」といわれ、恥ずべき行為です。
疑いを決めつけ、そのあとに原因を解明しようというのは、順序が逆ではありませんか?
証拠がないのに、「こいつが犯人だ」と警察が発表したら、マスメディアはどのように報じるでしょう? このたとえを今の「騒動」にあてはめると、勝手に犯人と決めつけた警察(今回の場合は警察でなく厚労省ですが)と一緒になって、マスメディアは「こいつが犯人だ」といっているのと同じです。
ちなみに、私は小林製薬が開発・販売する「糸ようじ」を長年愛用しています。