ソニーのミラーレス一眼カメラ(ミラーレス)のα7 IIを手に入れてからは、スチルのほかに動画を撮ることが増えています。動画の多くは、今のところは「検証動画」のことが多いです。

今朝も、そんな動画を撮りました。そんな動画のひとつに、フリッカーが発生する動画がありました。私はこれまで、それが発生するような環境をミラーレスで撮影したことがなく、初めての経験です。
その動画は、家の庭を10倍ズームレンズで撮影したものです。撮影した時刻は午前6時33分です。東京の今日の日の出は午前6時13分ですので、日の出の20分後ぐらいになります。
庭には外灯がついています。その外灯が画面に映り込んでおり、それがフリッカーを発生させていたのです。街灯はLEDです。
この動画を撮ったのは、動画におけるシャッター速度は、もう少し柔軟に考えてもいいのではないか、と考えたからです。
私は動画のフレームレートを24フレーム(23.976fps)にしています。この場合、シャッター速度はフレームレートの2倍(時間にすれば1/2)程度が「伝統的」な考え方です。
フレームレートが24であればシャッター速度を1/50秒程度にするのが望ましいことになります。しかし、日中の屋外でこの速度を守るのはなかなか厳しいです。外光の下で撮影するには、速度が遅すぎるからです。
しかも、私が最近再開したLogで撮影する場合は、ISO感度が高感度スタートになる問題が加わります。私が使うα7 IIの場合は、最も低い感度でもISO1600になってしまいます。
シャッター速度が1/50秒でISO感度が最低でもISO1600にして、強い日差しの下で動画を撮るというのは、はじめから条件が厳しすぎます。
ISO感度は、カメラがそのような設定になっているため、変えることができません。その上で、シャッター速度の1/50秒を守ろうとすれば、あとは、レンズの前にNDフィルターをつけ、レンズから入る光を少なくするよりほかありません。
人間は、どうしても、物事を簡単にすることを考えます。この場合は、NDフィルターを使わずに撮影できないだろうか、と考えます。
先ほども書いたように、ISO感度を変更できないのなら、あとは、シャッター速度を1/50秒より高速にするよりほかありません。
伝統的に、動画におけるシャッター速度が云々いわれるのは、高速のシャッター速度で動画を撮ると起こるパラパラ現象を防ぐためです。
商業映画がフィルムで撮影された頃は、毎秒24コマで撮影し、シャッター速度は、カメラの機械の構造上、それが偶然その速度になったのか、1/48秒になりました。
フィルムで映像を撮影するには、撮影が終わった1コマを送る間はシャッターが閉じていなくてはなりません。シャッターが閉じている間に、次のコマに送る必要があるからです。
結果的にかどうか、このような設定で撮影されたフィルムを映写すると、動きがスムーズに見えます。
このような経験的な理解があり、デジタルのカメラで動画を撮るときも、フレームレートの2倍程度のシャッター速度が選ばれています。
ISO感度が今よりもずっと低いフィルムで撮影していた時代は、シャッター速度が遅いことにそれほど不便を感じることがなかったかもしれません。しかし、デジタルの今、たとえばLogで動画を撮ろうとした場合、レンズから入る光の多さに、困惑させられるというわけです。
そこで、伝統的なシャッター速度から離れ、もっと高速の速度で撮影し、どの程度問題がないか、自分なりに試したのです。
今朝の「実験」では、NDフィルターは使わず、レンズの絞りはf/6.3、ISO感度はISO1600、そしてシャッター速度を1/500秒まで上げて撮影してみました。
撮った動画をPCで確認すると、庭についている外灯がフリッカーを起こしていました。
それが気になり、ネットで検索すると、次のページが見つかりました。
そのページに書かれていることに目を通し、これまでいわれていた、「動画撮影における蛍光灯のフリッカー問題」は、今は考慮しなくてもいいのかも、と考えました。
知識の乏しい私は、未だに、以前からいわれていたことが動画撮影における注意点であるとばかり考えていました。
それを簡単にいうと、50Hzの東日本の蛍光灯下で動画を撮るときは、フリッカーを発生させないよう、1/50秒が良い、とされるような話です。
対でいわれることは、60Hzの西日本は1/60秒が良い、という話です。
本ページで紹介したページでは、東日本は1/100秒、西日本は1/120秒で動画を撮影すればフリッカー現象は理論的に起きない、と書いています。
そう書く一方で、今使われている蛍光灯のほとんどが「インバータータイプ」のため、以前いわれていたようなシャッター速度に縛られる必要がない、と書かれているように私には読めました。私の理解が違っていたら申し訳ないです。
このページを読んだあと、部屋で「実験」をしてみました。
部屋の天井にぶらさっがている蛍光灯を、シャッター速度を変えて動画で撮影してみました。試した速度は4通りです。
1/50秒
1/60秒
1/100秒
1/120秒
撮影した4つの動画を確認すると、どれもフリッカーを発生させていませんでした。これまでいわれていたように、東日本で1/60秒や1/120秒で動画を撮影しても、フリッカーは起きません。
私の部屋についている蛍光灯がインバータータイプかどうか、これまで気にしたことはありませんが、そのタイプの蛍光灯であるために、フリッカーが起きないだけ(?)なのでしょうか?
今回紹介させてもらったページには、ほかにも興味深いことが書かれています。
これはスチル撮影におけるシャッターについてです。1/250秒より高速のシャッター速度を選んでも、先幕シャッターは1/250秒のままだ、という話です。
私もフィルムの時代から一眼レフカメラを使っています。ですから、それなりにわかっているつもりです。その実、私は、シャッターの詳しい仕組みは知らないも同然なのでした。
1/250秒以上に速く先幕シャッターが作動しないのに、どうしてそれ以上速いシャッター速度が得られるかといえば、先幕シャッターが、1/250秒までは、シャッターを切るごとに全開するのに、それ以上の速度では、シャッター全部が開かなくなることで、フィルムや撮像素子に届く光量が少なくなり、それが、シャッター速度に相対的に反映される、ということらしいです。
それにしても、今朝、庭で撮影した動画に写っていた外灯がなぜフリッカーを発生させたのかは、私にはわからいままです。
それは別にして、今後は動画撮影時のシャッター速度をいろいろ試し、どの程度までの速度であれば問題が少ないかなど、自分なりに納得を得ることにします。