光を見て光を魅力的に捉えるのが基本 写真も動画も

写真にしろ動画にしろ、基の素材が良くなければ、良い結果は生まれません。

動画共有サイトが認知されたことで、動画制作に興味を持つ人が飛躍的に増えた印象です。この傾向に拍車をかけているのは、それ以前であれば、動画の撮影に使われていたビデオカメラに代わり、動画を撮影できるデジタル一眼カメラ(デジ一)が登場したことです。

この傾向が強まる以前、テレビ局で使われる業務用のビデオカメラであっても、映像を記録する撮像素子は、特別大きなものではありませんでした。そんなカメラを使って撮影された動画であっても、何も問題なく、テレビで放送され、何の不満もなく人々はそれを見ていました。

それが、デジ一で動画が撮影できるようになったことで、それに使われる撮像素子の大きさが一気に大きくなりました。

35ミリフルサイズといわれるカメラであれば、写真の撮影に使っていたフィルムカメラで、35ミリフィルム1コマサイズで動画を撮影することができます。それ以前の、プロ用ビデオカメラの撮像素子と比べて、段違いに大きなサイズです。

206 【カメラ初心者講座】 第3回 センサーサイズと画素数

35ミリフルサイズのカメラで動画を撮影すれば、映画のカメラと同等の解像度で撮影できると考える人がいるかもしれません。しかし、ワイド画面になる以前の3:2のアスペクト比のスタンダードサイズで考えれば、デジイチの撮像素子は、その1.5倍大きいことになります。

映画のフィルムがどのように駆動するか知れば、その理屈はわかります。

35ミリの映画フィルムは、当然のように、縦方向に駆動します。一方、スチルカメラに装填した35ミリフィルムは、横方向に駆動させます。つまりは、フィルムのカメラで35ミリフィルムを使う場合は、縦方向に撮影していく映画コマを2コマぐらい並べて1コマとして撮影するようなものです。

その結果として、1コマのサイズが、映画と写真で異なり、写真の1コマは映画の1コマの1.5倍の大きさを持つということになるわけです。

映画フィルムにおける1コマのサイズは、時代が経つごとに大きく変更されています。

私が昔親しんだ個人用の8ミリ映画のフィルムにしても、私が使い出す前はダブル8という規格がありました。その当時のフィルムを私は使ったことがありませんが、あとで知りましたが、フィルムを送るためのパーフォレーションがその後のフィルムに比べて大きく、その分、1コマのサイズが小さなものでした。

その後、スーパー8規格の8ミリフィルムに取って代わりました。そのフィルムは、パーフォレーションがダブル8に比べて小さくなり、1コマのサイズが拡大し、解像度が上がりました。

ブルース・リー主演『ドラゴンへの道』の8ミリフィルム(一部分)(右端に見えるのは、音声を再生するための光学録音帯です)

35ミリの映画フィルムも同じような規格変更があり、改良版としてスーパー35ミリの映画フィルムが登場しています。

そして、このスーパー35ミリの1コマのサイズに近いのが、デジ一で使われるAPS-Cサイズの撮像素子です。

私も初めてデジ一を手に入れたときは、APS-Cサイズでした。この撮像素子が搭載されたカメラにフィルムカメラで使っていたレンズをマウントアダプタを介して装着して撮影しましたが、ファインダーからの見え方と、実際に撮影された画像が、本来の画角と違うことに戸惑いました。

フルサイズ用に作られたレンズをAPS-Cサイズの撮像素子で撮影すると、真ん中の1/1.5(※キヤノンの場合は1/1.6)部分だけで撮影されるため、レンズが持つ焦点距離は変わりませんが、1.5倍(1.6倍)望遠で撮影したような写真になってしまいます。

写真の話はこれぐらいにします。

写真撮影用に作られたカメラを使い、動画を撮影すると、映画用のカメラと同等か、それ以上のカメラで撮影できることになり、映像好きを喜ばせました。私もそれに期待し、実際に、デジ一で動画を撮影したりします。

ネットの動画共有サイトのYouTubeでもデジ一動画が全盛で、解像度が2K(1080p)では飽き足らず、4Kやそれ以上の解像度で動画を作り、配信している人もいます。

その分、動画の質が向上したかといいますと、一概にそうとはいえません。解像度が動画の質に比例するわけではないからです。それは、テレビのバラエティ番組を、どんな高解像度で見せられても、つまらなけば、そのつまらなさは何も変わらないのと一緒です。

私はここへ来て、およそ一年ぶりぐらいで、元々私が持つ映像好きが再燃し、自分なりにいろいろと試し撮りしては、編集ソフトで確認するようなことをしています。

そんなことをして自分なりにわかったことがあります。それが、本日分の冒頭で書いたことです。

どんなに高価なカメラを使い、4Kで記録しても、被写体が魅力的な光の状態でなければ、決して満足できるような結果は得られないということです。考えれば当たり前のことですが、気づきにくいです。

逆のいい方をすれば、安価なカメラを使い、2Kで撮影しても、光の状態が良ければ、充分満足できる動画にできる、ということです。

どんな撮り方をしても、絶対に上手くいかないのは、強い光が当たっている被写体を撮影することです。

たとえば、綺麗な花が咲いていたとします。晴れた日の正午頃、光が強く当たった状態の花を撮影すれば、決して綺麗には撮れません。それは、写真でも動画でも同じです。撮影したあと、編集ソフトで補正しても、決して、美しい花に見せることはできません。

どんなに高価なカメラとレンズを使っても、結果は同じです。

私が好きな光線は、日没の30分前ぐらいです。

昨日の午後4時半頃、家の中に射し込む太陽光に照らされたものが綺麗に見え、写真に収めました。我が家の愛猫・にゃんこおチビちゃんファミリーの”お母ちゃん”こと元祖おチビちゃん(=^ω^=)の姿も収めましたが、あとで見ると、とても綺麗に撮れていました。

最も早かった昨年12月半ばに比べ、日没時刻が39分遅くなりました。昨日の東京の日の入り時刻は、午後5時7分です。

晴れた日の、日没前の太陽光は暖色で、それに照らされた被写体を暖かい色で包んでくれます。

ただ、ほぼ同じ時刻に、同じ光に照らされた外の景色を動画で撮影して見ましたが、どう補正しても、綺麗な映像にはできませんでした。

部屋に射し込む光は、すりガラスなどで強さが弱められ、柔らかくなります。それが外光の場合は、遮るものがなく、直射します。強すぎる光線は、被写体を平面に照らし、濃淡の差がなくなります。

女性のポートレイトを撮るとき、強い順光で撮ると失敗します。上で書いた理由からです。それだから、女性のポートレイトでよく使われるのが、女性の背後から陽が射す逆光や、反逆光です。

ま、そんなこんなをわかっていても、素人が動画を作品にまとめるのは楽ではありません。

何か独り語りして、そのまま動画にすることはできても、自分を登場させず、何かを動画で表現するのはやさしいことではありません。

いくら綺麗に撮影された動画でも、魅力のある動画にするには、別の何かが必要になります。

また、そんな動画を作るのであれば、デジ一だけでなく、昔から動画の撮影に使われているビデオカメラでも撮影できます。動画の良しあしを決めるのは、画質ではなく、内容そのものだからです。

考えてみれば、昔に楽しんだ8ミリ映画にしても、それで何か作品を作ったかといえば、作ってはいません。ただ、撮影して、映して、楽しんだだけです。

いつになったら、私にも動画作品が作れるようになるでしょう。

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