2007/08/23 公開「原一男トークショー」動画

「お待たせしました」と書くべきかどうか、本日、本サイト内で私が制作した動画を紹介する「私の動画アーカイブス」のコーナー(※ 現在、このコーナーはありません)に動画をひとつ追加しました。

動画のタイトルおよびここ数日の本コーナーの話題から、動画の内容はある程度推察してもらえるのではないかとは思います。が、念には念で補足説明をしておけば、これは、映画監督・熊井啓の人となりと作品を、同じく映画監督の原一男さんが語るトークショーを私自身が撮影し、編集後、動画化したものです。

編集およびファイルの変換やアップロードなど一連の作業は昨日行い、また、残りの作業を、本日分の更新前に行いました。

先日の日曜日(19日)、東京・東池袋にある映画館「新文芸坐」で催された「原一男トークショー」を手持ちのDV(デジタル・ビデオ)カメラで撮影してきたことは、その特別上映を見た感想を書く中で報告した通りです。

DV撮影した時のことを思い返しますと、撮影を実際に開始する直前までは、「撮影しようか。それとも止めておこうか」と正直なところ迷っていました。出かける前までは撮影する気満々で、それだからカメラをバッグに忍ばせて出かけたんですけれどね。それなのに、実際にその時間が近づくと、上のような迷いが生じてしまったのです。

しかし結局は、「迷った時には初めの考えに従え」と迷いを吹っ切ってカメラを回し始めました。撮影せずに帰ってきてしまったら、それはそれで後悔したでしょうし。

そうやって撮影してきたビデオですが、今度また、二度目の迷いが生じました。「早く見ようか。それともあとにするか」。自分が狙った通りに撮影できているか、自分の中に不安がありました。それもあって、本コーナーの更新が終わった昨日、撮影後3日目にして初めて録画ビデオと対面しました。

見た感想は、「まあまあ」です。被写体である原監督が、フレームの中で安定しているか不安がありましたが、まずまず上手くおさまってくれています。こうした不安を持ったのは、自分の眼にもしっかり原監督の姿を焼き込んでおきたいと、ノー・ファインダー(=ファインダーを覗かない)で撮影している箇所もあるからです。

撮影を始めた直後に「失敗したかも?」と感じました。せっかくの機会ですので、念入りに準備すればいいものを、根が面倒くさがりのため、録画テープの残量を確認しないまま家を出てしまいました。で、撮影を始めた途端、撮影可能残量が【20分】ほどしかないことに気がつきました。それなのに、原監督は冒頭、【30分】の約束で話し始めるといいます。

それやこれやで、残量を気にしつつ、あとで聴き返したいところを狙って撮影することにしました。

今回の動画には、撮影したものをほとんどそのまま使っていますが、カメラを一旦停止し、再度回し始めるまでの間に、『海と毒薬』の手術シーンで表現の鍵となる「血液」の話が続きました。

この作品で、熊井監督を強力に補佐した原監督補(=チーフ助監督)は、作品の成否を分ける手術の実写撮影を任されます。ご承知のように、映画やテレビでそのような場面が描かれる場合、演じる役者が実際の手術を行うことはありません(役者が外科医でもあったら別ですが)。役者は手術をするかのような演技をするだけで、実際の手術のカットは、本物の医師が行い、それを編集によってつないでいくのです。

この作品について前回書いた中で、迫真に満ちた手術の実写シーンはどのように撮影したのかを種明かししていませんでしたね。しかしこれも、本日追加した動画をご覧になられたあとであれば、タネ明かしの必要はないでしょう。それを実際に考案して実行された原監督の口から明かされているからです。

作品に登場する2つの手術シーンは、ブタを使って撮影されていたのです。

原監督のお話にありましたように、試行錯誤する中で、人間の皮膚に最も近いのがブタであることを知り、生きたブタを現役の獣医さんに生体解剖してもらったというのが事の真相なのでした。

もうひとつのポイントは「血の表現」ですが、血のりと赤インクで試写するものの、望むような結果は得られなかったそうです。残る手段はひとつ。「人間の血液で行くしかない」です。

このくだりも原監督がお話になっていますね。チーフ助監督という立場を活かし、一番下っ端の助監督に「血を採ってこい」と命じ、それをテスト撮影してみたところ、作り物では決して出せない「血の動き」が見事に表現できることを確信することになります。

この血液の話ですが、医学の専門家からは、「撮影現場では絶対に裸足にならないこと」と堅く念を押されたそうです。血液は、誰の身体にも隅々まで行き渡り、指先を傷つけて血が噴き出したなら、咄嗟に自分で舐めたりもします。その、ある意味最も身近な存在であるハズの血液が、実は恐ろしくもあるというのです。

役者を使った手術シーンは、日活撮影所の一番大きなスタジオを使って撮影したそうですが、セットには、手術室らしく白いタイルが敷かれています。そのタイルの上を水が、そして、人間の血液が流れます。

医師を演じる役者が裸足ということはありません。裸足になる可能性があるのは、監督をはじめとする撮影スタッフです。しかし、足元が濡れるのを嫌って裸足になったなら、どんな災難が待っているかもわからないというのです。

何かのきっかけで血液が体内に流入してしまった場合、最悪の場合命を落とすというのですから、恐ろしいではありませんか。

その忠告を破って裸足で撮影に臨み、実際に死んでしまったスタッフはいないと思いますが、生の血の妖しくも恐ろしい一面を知らされた話ではありました。

ここで、昨日行った作業の話をしておきたいと思います。動画の長さは20分弱。ネット配信用ファイルに変換後、公開のためにアップロードしましたが、ここで時間を取られました。それがなかったなら、昨日のうちに公開できていたかもしれません。

20分弱と長いこと(=ファイルのサイズが大きい)がそうさせたのかもしれません。私が利用しているサイト用のサーバは、容量無制限でどんな大きなファイルでも気兼ねなくアップロードできるハズですが、時間をかけてアップしても(無闇にファイルをアップロードされることを制限するためか、通信速度がアップロードの時だけダイヤルアップ並みに遅いです。私のネット環境は光ファイバなんですけれどね)、最後の最後でストップしてしまい、結局、アップロードに失敗してしまうのです。2度試しましたが、2度とも失敗です。

そこで、大きな1つのファイルを、4分割しました。単純にいえば、これで、1つのファイル・サイズは4分の1に軽減できたことになります。この試みは成功しました。通しで見ていただくと、途中3カ所ほど、つながりがギクシャクする場面があるかと思いますが、そこでは次のファイルに切り替わっているのです。低速の「ナローバンド版」は1つのファイルで、そうしたことは起こりません。

アップロードついでに書いておけば、実は、今回の動画追加に伴い、私は新たな試みを検討しています。このところ、急速に利用者を増やしている「YouTube」での公開です。私はこれまで見るだけでしたが、今回は投稿する側に回ってみようかな? と考えたのです。

まだ実際にアップロードしてはいませんが、もしかしたら、本日分を更新後に試みるかもしれません。そのサイトで、どのような見え方をするかに関心があるからです。

以上本日は、原一男監督のトークショー動画にまつわるあれこれを書いてみました。なんだかんだいいながら、私は昔も今も、映像遊びが大好き人間なのでありました。それが確認できた今回の作業ということになりそうです。

本日の豆物欲
今回の動画編集をきっかけに、今また、新しい動画編集ソフト「カノープス EDIUS Neo」が気になっています。気の早い私は、早速「体験版」をダウンロードしてみましたが、まだ試してはしていませんが。
原一男トークショー

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