新型コロナウイルス(COVID-19)への対応ですが、安倍晋三首相は、先月24日にあった専門家会議の見解をもとに、「これから1、2週間が、(感染拡大を防げるかどうかの)瀬戸際」と述べています。
この日を起点に考えれば、明日9日が“満期”となります。が、一向に収束する気配がありません。10日以降、安倍首相はどのような判断をされるのでしょうか。
本来であれば、「当初我々が示した期間内に収束させることはできなかった」と見通しの甘さを総括すべきところです。
そうした展開を恐れたのでしょう。瀬戸際の時期をずらす工作をすでにしています。一度目は先月26日に、次は27日に同様の発言をしています。しかし、27日を起点に設定し直しても、2週間後が3日先になるだけですので、今月12日が“満期”です。その日までに劇的変化があるとも思えません。
このことについて伝えた6日の朝日新聞の記事「感染防止『瀬戸際』いつまで」の最後では、自民党の閣僚経験者の「期間がわかりにくい」という声を紹介しています。
本日、家でとる地方紙に、ひとりの医師の考えが載っています。 亀田総合病院の細川直登氏(53)で 、中国の武漢からチャーター機の第1便が到着した際は、陽性が判明した患者の診療にあたっています。
記者の質問に答える形の記事ですが、その中で、安倍首相が唐突に要請した一斉休校には疑問を呈しています。
これまでのところ、日本では(?)40歳代の患者が最も多いそうです。また、亡くなるのは高齢者で、10歳以下や10代の児童や生徒の登校を制限することが感染防止に役立つのか、疑問を持っています。
同紙に載った本日の別の記事では、米国のジョンズ・ホプキンズ大学と中国の深圳疾病予防コントロールセンターなどのチームが7日までにまとめた研究成果が紹介されています。
同チームは、1月中旬から2月にかけ、中国湖北省から深圳市を訪れ、COVID-19を発症した300人と濃厚接触した約1300人が、その後感染したかどうか調べたそうです。
その結果から、ジョンズ・ホプキンズ大のジャスティン・レスラー准教授が次のように述べています。
感染のしやすさは子どもも大人も同じ。子どもは重症化しにくいだけなのかもしれない。
同チームの分析により、感染率が全体では8%程度であることがわかったことも伝えています。感染率は、年代に分けると以下の結果になるようです。
- 10歳未満 ⇒ 7.4%
- 10代 ⇒ 7.1%
- 20代 ⇒ 6.1%
- 30代 ⇒ 6.0%
- 40代 ⇒ 4.9%
- 50代 ⇒ 9.1%
- 60代 ⇒ 15.4%
- 70代 ⇒ 9.7%
この数字を見ると、たしかに、子供だからといって感染しないわけではないことが納得できます。60代が若い世代の約2倍、40代の約3倍というのが目立ちます。
これとは別に、発症から回復までの平均的な日数は次のような分析結果となるそうです。
- 20代 ⇒ 27日
- 50代 ⇒ 32日
- 70代 ⇒ 36日
子供の感染率がほかの世代と大差ないのであれば、全国の小中高に一斉休校の要請を出したのもわからなくありません。が、その要請があったことで、別の場所で集まって過ごすなど、通常の学校生活を送るよりも、感染防止の点では逆効果なのでは? との指摘もあります。私も同様の疑問を持ちます。
細川医師も、次のように指摘をしています。
集合を抑制する目的で学校を休みにしても、学童クラブ(学童保育)などで集まれば同じこと。有効な対策にはならず、曖昧だ。学術的データに基づくのであれば、専門家会議の意見を聞いて対策を打つべきだ。
細川医師は、感染の予防策についても述べています。
日本は、他国に比べてマスクの着用率が異常に高いことは以前から指摘されています。私は元々マスクをする習慣がなく、COVID-19が流行している今も、マスクをすることは考えていません。
もっとも、私は必要がなければ外出しませんので、マスクをする機会がないだけなわけですけれどf(^_^) このウイルスが騒がれ出して以降、私は一度も電車やバスは利用しておらず、人が集まるような場所にも出かけていません。
外へ出て仕事をしなければならない人は、対策が求められます。毎日の通勤に電車やバスを利用する人は、予防する意味でマスクをするのでしょうか。
このマスクについても、細川医師は次のような見解を述べています。
マスクはしぶきよけにはなるが、接触感染は防げない。マスク着用では感染率に差が出ないことが過去の論文や実験から判明している。
日本人はマスク信仰が強いため、品切れの状態になっていることが盛んに報じられています。ネットなどを中心に、通常の価格よりかなり高い金額で売られるケースが目立つようです。
せっかくマスクを手に入れたとしても、COVID-19が鼻や口から侵入することを防ぐことはできません。ウイルスは微小(100万分の1ミリ)で、マスクの繊維を素通りしてしまうからです。
細川医師は、感染の予防策を次のように述べています。
感染経路が風邪やインフルエンザと同じなので、手洗いとアルコール消毒が有効。
ウイルスの表面は油でできているので、油を溶かす石けんも有効。石けんなどで20秒手を洗えばウイルスは壊れ、流れる。
外にいる間は、絶対顔を触らないことと、外から帰ってきたら手を洗ってほしい。
予防のポイントは、「手で顔を触らないこと」と「手を石鹸などで洗うこと」に尽きるだろうと思います。
私は、昔に比べて風邪をひくことが格段に減りました。そのために私が実践していることは、目や鼻を手で触らないことです。絶対に手で目や鼻を触らないのであれば、極端な話、手洗いも必要でなくなります。
【本日の豆盲点】感染は、目や口に限らないでしょう。たとえば、傷があれば、傷口からも感染するように思います。そうであれば、両手の指が届くところに傷があり、それを触ることで感染する可能性があることになります。
たとえば、背中が痒いとき。素肌を指で強くかき、傷ができたりすれば感染することが考えられます。ほかにも、指先に傷があれば直接感染してしまうこともあるでしょう。
ウイルスが最もつきやすいのは手の指です。電車やバスのつり革や手すり、エレベーターのボタンには、ウイルスがついているかもしれません。ですから、それらに触れれば指にウイルスがつきます。
先日、関東ローカルニュース「首都圏ネットワーク」に生出演された水野泰孝医師(ご挨拶:グローバルヘルスケアクリニック)によれば、つるつるしたものにウイルスがつきやすいそうです。また、ウイルスは1日から2日程度生き続けると話していました。
多くの人が日常的に使うスマートフォンの画面は、その条件に当てはまるので注意が必要とも話されていました。
それに触れた指で、自分の目をこすったり、鼻の穴の粘膜に触ったりしますと、ウイルス感染のリスクが一挙に高まります。その危険を知り、そうした何気ない動作を抑えることができれば、感染のリスクは下がります。
そうはいっても、小さな子供たちは、大人が注意しても、そうした動作をしがちといえましょうか。
ということは、低学年の子供たちの感染率が馬鹿にできないことになります。子供たちは感染しても熱などが出ないで治ってしまったりします。ですから、自分が感染していることを知らずに生活しているでしょう。
一方、元気に見える子供から大人が知らないうちに感染する可能性があります。高齢者は回復まで日数がかかり、持病などを持つ人は、その間に重症化することも懸念されます。
小学校の低学年であれば学童保育などで過ごさせることもできますが、高学年や中高生は本人任せになるでしょう。自宅でじっとしているわけにもいかず、外を出歩く人も少なくないのではないでしょうか。
現に、商業施設に中高生が多数訪れている、といった投稿をよく見かけます。今後、ますますそうした子供たちが多くなれば、何のために一斉休校にしたのか疑問に思う人が増えるでしょう。
こうした疑問や不安について、どのように考えているのかなど、安倍首相は記者会見を行い、国民に届けるべきです。
その際、2月29日に行った記者会見のように、誰かに書かせた原稿を読み上げるだけでは駄目です。記者からの質問も、いつものように、あらかじめ調整しておき、質問の答えまで用意させています。こんな記者会見とは名ばかりの「台本劇」は、それに気づいていない国民を欺く行為です。
国民が聴きたいのは安倍首相の生の声です。今、何を考え、この先どう対応するつもりなのか。カンニングのためのプロンプターを使うのは一切止め、結果的には無様であっても、ご自分の頭で考え、答えてください。それが真摯な対応というものです。
とりあえずは、陽性かもしれないと不安な人が、すぐに検査を受けられるようにしてください。
そこから始めましょう。