ミラーレス一眼カメラ(ミラーレス)でLog動画を撮る人であれば、NDフィルターは必須となります。
私が使うのはソニーのα7 IIで、このカメラのS-Log2ガンマで動画を撮る場合は、ISO感度がISO1600始まりとなってしまいます。
しかも、フレームレートを24fps(正確には23.976fps)で撮影しようとすると、シャッター速度は約2倍の1/50秒を使うことになります。
個人的には、それが動画用カメラであれば、スチル用のシャッター速度でコントロールするのではなく、シャッター開角度を設定できるように設計するのが最低限の基本だと考えるのですけれど。
ともあれ、この設定で日中晴れた屋外で動画を撮るのはなかなか困難です。レンズの絞りを最大まで絞り込んでも露出オーバーになってしまいます。
そこでどうしても必要になるのが、レンズから入る光を弱めるNDフィルターです。
昨日の日中、外でS-Log2ガンマで動画を試し撮りしました。関東南部の当地は強烈な陽射しが照り付けていました。そのため、ND64をレンズにつけました。
ND64をつけると、レンズから入る光の量が1/64に減光されます。露出を考える段数でいえば、6段分減光することになります。
そのようにして、Log動画の撮影ができます。困るというか、面倒なのは、NDフィルターを外さないとスチルの撮影がしにくいことです。
動画専用機であれば、動画の撮影の合間にスチルを撮ることもないでしょう。しかし、私もそうであるように、スチル撮影がメインのミレーレスで動画を撮るような場合は、動画やスチルを代わる代わる撮ったりすることが起きます。
私などは、動画はスチルの1割程度です。
陽射しが強い時、私がスチルの撮影をする場合は、「感度分の〇〇」を使い、マニュアル露出で撮影します。
私はISO感度をISO200、シャッター速度を1/200秒に固定し、あとはレンズのF値で露出を得ることが大半です。
この設定で空を真っ青に、雲を真っ白に表現したかったら、f/16にする感度分の16になります。
この理屈が、ND64をつけたら、どのようなF値になるか、咄嗟に頭に浮かびますか?
ND64は6段分減光するんでしたよね? ですから、f/16まで絞り込む必要があるところ、ND64をつけることで、6段分F値を小さくできるということです。
実際に書き出してみましょう。
16→ 11→ 8→ 5.6→ 4→ 2.8→ 2
f/16は起点ですから、それを抜いたf/11から6段分F値を開けたf/2で、f/16まで絞ったのと同じ効果が得られるということです。
実際に、昨日、同じ条件で真っ青とな空と雲をスチルで撮影してみました。そのときも、計算通り、F値はf/2で適正露出となりました。

このように、ND64のフィルターをつけたまま、「感度分の〇〇」の撮影ができなくもないですが、風景などを撮るとヘンな感じになりがちです。
上の画像もそうですが、手前に写っている木の枝にフォーカスがきていません。風景を撮るのに、前ボケや後ろボケをさせることはないです。
その意図しないボケが生じ、ヘンなことになります。
なお、撮影に使ったレンズは、ヤシカ・コンタックス(ヤシコン)用のカール・ツァイス プラナー50ミリ F1.4です。

もちろん、NDフィルターをつけていても、絞り込めば被写界深度を深くすることはできます。しかし、露出設定のどれかで6段分感度を補う必要があり、シャッター速度でそれをするのは手持ち撮影なので難しいですから、ISOでするとすれば、ISO200から6段分ですから、ISO12800になりますね。
あるいは、シャッター速度を2段分遅い1/50秒にし、ISO感度を4段分感度を上げたISO3200にしても同じです。
しかし、そんなことをする前に、NDフィルターを外すだけで、いつもの感度分の16で撮影ができます。
視点を変えれば、Log動画を撮るときの露出設定が、それだけ「特殊」であるということです。
ゆくゆくは、動画専用に作られたカメラで動画を、できればLogではなく、RAWで撮ってみたいと考えています。動画専用ですから、当然、シャッター開角度の設定ができますよね。
スチルのシャッター速度を便宜的に動画の撮影に使うのは好ましくないです。そのあたりのことを、日本のカメラメーカーがどこまで考えているでしょうね。
ソニーにしても、動画撮影に力を入れているようですけれど。