音を音として愉しむためのフィールドレコーダー

相変わらず、音関係に興味を持って過ごしています。

きっかけについては何度も書きました。今月13日、念願だったZOOM“M3 MicTrak”を導入したことです。

ZOOM M3 MicTrak

これがどんなものかわからない人向けに、再び書いておきます。

これは、マイクがついたフィールドレコーダーといってもいいものです。マイクとレコーダーには共に、画期的な技術が搭載されています。

マイクはM/S方式のマイクで、一本のマイクにMidとSideという異なった機能が搭載されています。これを使い、M/S RAWで録音することで、録ったあとにステレオ幅を最大150度まで広げることができます。

レコーダーは、デュアルADコンバータ―回路を持つ32bit floatで録音できます。録音時に録音レベルの調節をせずに録音でき、録音した音声ファイルの音量を最適なレベルに調節できます。

ZOOMは昨年12月に、MicTrakシリーズとしてM2、M3、M4の性格の異なる製品を発売しました。本シリーズの発売を知り、私が最も興味を持ったM3 MicTrakを手に入れました。

M3はカメラのアクセサリーシューに取り付けて使えるようにデザインされています。メーカー側も、動画用の音を収録するのを想定して設計しているものと思います。

本製品を手に入れたユーザーは、メーカーが想定した通りの使い方をする人が多いかもしれません。

私は購入する前からそうでしたが、実際に使ってみても、本機を単体で、フィールドレコーダーとして使うのが自分には合っていると考えています。

昨年4月には、ZOOMのフィールドレコーダー、“F2”を手に入れ、使い出しました。これにはラベリアマイク(ピンマイク)が付属しており、モノラル専用であることもあって、声の録音をするのが最も適った使い方になります。

それをステレオ化し、マイクにM/S方式のマイクをつけたM3 MIcTrakは、単体で臨場感あふれるステレオ録音ができ、これこそは、自然音を録音するのに最も適したフィールドレコーダーである、と私は認識しました。

カメラの内蔵マイクや外部マイクを最も多用するのは、ネットの動画共有サイトのYouTubeなどで動画を配信するVloggerであると思います。

彼らは自撮り動画を日常的に撮り、カメラに向かって話す自分の声を録って動画を作ります。カメラを屋外に持ち出した時は、自分の声を重点的に使いたいため、ほかの音は邪魔でしかないでしょう。

であれば、M3 MicTrakは必要に感じないかもしれません。M3に特徴的なM/S方式のマイクは、幅の広いステレオ録音するために作られているからです。

室内や屋外で幅の広いステレオで収音すれば、自分の声以外を拾わざるを得なくなります。すでに書いたように、Vloggerは、自分の声以外を邪魔に感じており、広いステレオ幅で収録しても、それが邪魔な音で満たされたのでは、使う意味がなくなりそうに感じます。

そんなことを考えると、M3 MicTrakは、Vloggerのようなユーザーには向いていないのでは、と考えます。

私は昔から映像が好きですが、自撮り動画は撮ったことがありません。今後も撮ることはないです。被写体は自分の眼の延長に見えるものになります。

それらの被写体の映像を活かしつつ、ステレオ幅の広い音を同時に録る意味のある利用方法を、今のところ思いつきません。

映像と音を別々に考えれば、音のコレクションにM3 MicTrakの使い道があります。それがフィールドレコーディング的な使い方です。

どこか特別なフィールドへ行かずとも、庭から野鳥や虫の声が聴こえてきたら、M3を持ち出し、音のコレクションができます。

録った音をPCに取り込み、ステレオ幅を調節したのち、音量の最適化をすれば、音を音として楽しむことができます。

しばらく海へは行っていませんが、もしも行くことがあれば、M3を持って行き、浜で波が打ち寄せ、引く音をコレクションすることにしましょう。

カメラで波の様子を撮影し、音を同期させてもいいですが、映像がついてしまうと、映像に見える波の音に限定されてしまいます。

波の音だけであれば、映像は自分で好きに想像することができます。

今は動画が流行っています。しかし、映像を切り離し、音を音だけで楽しむ楽しみ方があってもいいでしょう。

その表現にM3 MicTrakは力を貸してくれそうです。

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