2015/01/31 “年金クジラ”と日本株の動向

前回は、日本の株式市場で俄然注目を集める「クジラ」について書きました。これは、市場参加者に符丁でこう呼ばれる「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」のことです。

そのことについて書かれた日経新聞の記事を読み、私はそうしたことが行われていることを改めて認識しました。それで、遅ればせながら、GPIFがどの程度の運用成績を上げているかに注目してみました。

日本には年金という制度があり、老後に安心して暮らせるよう、積み立ててある資金から毎月一定額のお金が高齢者に給付される仕組みになっています。個人的にはまだそれを真面目に考えることをしてこなかったため、どのように運用されているかについて考えることを怠っていました。

この制度が始まった昔に比べ、今は寿命が延び、また生まれる子供の数が昔に比べて激減してしまったため、入ってくるお金が減る一方で、給付のために必要となるお金が増え、近い将来には、給付する額を減らすか、そもそもこの制度が将来にわたって安定して続けられるのか? といった報道をよく目にします。

そうした背景から、預かっている資金をこれまでよりも効率的に運用して殖やし、制度の安定性と永続性が求められた結果でしょう。

昨年、資金運用の割り当てが改められ、日本株へ投資する比率をこれまでの【12%】の倍にあたる【25%】に引き上げています。これは考えられていた案よりも非常に積極的な内容で、関係者は一様に驚いたということです。

GPIFが年金積立金を運用すると聞きますと、GPIFに投資の専門部署があるように勘違いする人もいるでしょうか。巨額の資金を金融市場で動かし、利益を得ようというのですから、GPIFの職員には到底手に負えない職務です。

当然のことのように、これらの運用は公募によって決めた専門機関が行っているそうです。ネットの事典ウィキペディアの記述によりますと、昨年4月時点では、野村グループゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントインベスコ・アセットキャピタル・インターナショナルナティクシス・アセット日興アセットマネジメントフィディリティみずほ投信投資顧問ラッセル・インベストメントJPモルガンDIAMアセットマネジメント、ほか2社に運用を委託している、とあります。

これら資産運用会社のおそらくは超優秀なトレーダーが資産の運用にあたることになるのでしょうから、運用成績はさぞかし良いのかと思いきや、10兆円近い損を出した年もあったことを知りました。

もっとも、2008年といえば、リーマン・ショックがあった年ですから、無理もなかったでしょう。

昨日の日経新聞で、東京証券取引所が29日に発表した19日から23日の売買動向によりますと、東京市場と名古屋市場(名古屋証券取引所)で、信託銀行が合計【1428億円】の買い注文を入れたそうです。そして、記事によりますと、信託銀行からの売買注文は、GPIFからの注文が反映されたものだそうです。

私はよく知りませんでしたが、投資信託というのは、資金を運用する会社が投資商品を作り、銀行や証券会社などを通じて個人や団体に販売するのだそうです。

投資された資金は信託会社に保管され、その上で、運用会社のトレーダーの判断で売買を決め、その注文を信託銀行が市場に出すといった流れになるようです。にわか知識のため、私自身まだ理解が深まっていませんで、もしも間違っていても生温かい目で見てやってください。

ともあれ、そういう流れを知った上で日経の記事に戻りますと、積み立て年金の運用を委託されているトレーダーからの指示により、信託銀行から売買注文がなされている、ということになるのでしょう。

前回分に書きましたように、“クジラ”の符丁を持つGPIFが日本株を大量に買っていることが先週に見られた日本株の異次元の強さになっていることを先週の木曜日に私は知りました。

問題は、クジラがどの程度日本株を下支えしてくれるかです。29日の木曜日も、本コーナーの更新をしつつ、私は日経平均株価の値動きにも注目していました。

日本株は米国のダウ平均株価に引きずられる運命にあり、両国には企業状況に違いがあるにも拘わらず、NYダウが上がれば日本株も上がり、下がれば下がる状況が延々と続いています。

それが、先週からはこれまでと違った日本株の強い動きになっていることを前回分で書きました。29日木曜日も、前日にNYダウが【200ドル】以上のマイナスで引けています。

その影響を受け、日本市場も前日より100数十円下がったところから始まりました。しかし、クジラそのものによってか、それともクジラの応援があることを期待する買いがあったのか、午前中の取引である前場は、株価を押し上げ、前日比より20円ほど下がったところまで揚がりました。

昨年の終わり頃から、私は日経平均株価の指数に連動するように値が動く「上場投資信託(ETF)」への投資を始めています。

まだ試運転といった感じで、本腰は入れていませんが。私が売買の対象に選んだETFは、2倍のレバレッジがかかったものですから、日経平均株価の実際の動きの約2倍の値動きが上下に生じます。

前回分の更新作業をしながら、上への強い動きを見せていることと、クジラの存在を知ったことで強気になり、更新作業のかたわらで、ETFの買い増しをしました。今年に入って日経平均株価は波乱の状態にあり、あるときは一旦前日比で【500円】以上下げる場面がありましたが、そこでも私はETFを拾っておきました。

私は弱小投資家もどきですので、拾い買いする程度だけですが、それでもそうやって買い集めた“玉”が少しずつ溜まっていきました。安く買うほど保有するETFの平均単価が下がります。その反対に、株価が揚がってきたところで買い増しますと、平均単価が上がってしまいます。それで、株価が揚がってきた今は買い増ししたくありませんでしたが、値動きの強さと日経にあったクジラの話で強気になり、29日木曜日の前場に買い増ししてしまったのでした。

ところが、午後の取引である後場は状況が一変し、右肩下がりで値を下げていきました。私はまだ上値を追えると考えていたため、まだ売るつもりはありませんでしたが、今後大きく下がる可能性があるという見方があることも頭の片隅にあったことと、下げが急に見えたことで不安になり、所有していたETFをすべて売って利益を確定しました。ですので、今は揚がることで利益が得られるETFは1単位も所有していません。

30日の日経新聞の記事では、29日の後場に急に値を下げた理由として、クジラの買いがないのでは? という失望売りが招いた結果ではないか、と分析しています。

プロのトレーダーというのは、実際の値動きはもちろん、さまざまな情報や指数を見ながら売買の判断をしているのでしょう。それに加え、今はプログラムによって売買が自動化され、人間の勘以上の運用成績を上げているという話を聞きます。

ただ、売買プログラミングによって少しの値動きに過剰に反応して大量の株を売買する現象が行き過ぎ、値動きを激しくさせている負の側面も指摘され始めました。それについては、近いうちに本コーナーで取り上げるかもしれません。

私はこれまで意識していませんでしたが、専門家は当然のことのように、為替相場にも神経を尖らせているそうです。中でも、日本株であれば日本円と米ドルの相対価格変動です。

私は昨日の円ドル相場に少しばかり注目していましたが、昨日から今日にかけては円がドルに対して値上がり傾向にあり、逆にいえば、米ドルが対円で【117.41-42ドル】程度まで下落しています。一説では、【117.50ドル】を下回るようなことになれば、【116円】台まで下がってしまう事態を招き、その結果、日経平均株価が【17000円】を割ってしまうだろう、という見方もあるようです。

そうした専門家の考えもあってか、昨日(23日)は、前日にNYダウが【200ドル】以上揚げたにも拘わらず、日経平均株価は力強さに欠ける値動きになりました。日本時間の今朝に取引が終わったNYダウは、前日比【-251.90ドル】で終えました。

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