昨日はその月の1日で、通常は1800円する映画の料金が半額に近い千円で見られるサービス・デーに当たりました。私は常々、「1800円というのはちょっと高いよなぁ、、、」と思っていることもあり、毎月の月初めにまずは一本見るというのがこのところの習慣になっている感がありますね(^_^;
で、昨日ですが、その前日になって映画の情報サイトで「何か面白そうな映画をやっているかな?」と眺めていたところ、『CUBE2』(2002)という作品が上映中であることを知りました。そこで「これを見てみよう」と決めました。
しかも今回の場合は、それを選ばせる要素がもうひとつありました。それは、その作品を上映しているシアターがある立地条件です。
というのも、それは最近(4月25日)オープンし、初日から4日目の昼の時点で100万人もの来場者を集めた東京の新名所「六本木ヒルズ」内にあるからです。
そんなこんなで、映画を見るついでにオープンしたばかりの新しい複合施設の見物がてら出かけることにしました。最寄り駅である地下鉄の六本木駅につくと、昨日は連休の谷間であったにも拘わらず、改札付近から既に込み合っています。
その改札を抜けてしばらく歩くと、六本木ヒルズに続くエスカレーターが伸びでいます。思わず天上を見上げると、白い骨組みに強化ガラスでできた巨大な鳥かごの中にでもいる気分です。何やら、幼い頃にイメージさせられた未来都市の中に迷い込んだようです。というのはちょっと大げさでしょうか。
エスカレーターを降りると、目の前に超高層のビルがそびえています。これこそが、最上部に展望台を有する、六本木ヒルズのシンボル的存在の森タワーです。
それをしばらく下から眺めたあと、人込みの中を、コンプレックス・シアターのヴァージン・シネマズ六本木ヒルズへと向かいました。
最近では、1箇所にいくつもの映画館を備えた複合の映画館シネマコンプレックス(シネコン)が増えてきましたが、これまでは郊外が中心で、今回六本木ヒルズに誕生したシネコンは、都心では初めてとのことです。
エスカレーターで上った先にあるその施設は地上からは3階に位置し、中に入るとロビーには水が滝のように流れ落ちていたりとなかなかに凝ったつくりになっています。
チケットは全席指定で、空いていれば希望する席が選べます。私はいつものように、前の方の真ん中の席が好みなのですが、昨日の場合は既に埋まっているのか、中段の右寄りの席になってしまいました。
当シアター(系列)の特徴は、ネットでチケットの予約ができることです。ですので、前もって席を予約しておけば、上映時間に合わせて出かけ、予約済みの席での鑑賞が可能です。
予約が済んだものの、上映開始には時間があったため、超高層ビル(地上54階建て。高さは238メートル)の森タワーへ向かいました。その展望施設は「東京シティビュー」と呼ばれています。
料金は安くなく(?)、【1500円】です。
このような展望台に上るのは本当に久しぶりです。東京タワーが目の前の手が届きそうなところにそびえています。
東京タワーのすぐ右手にはお台場の辺りが遠くに見えます。
展望室を反対側へ回ると、街並みが目前に広がっています。代々木公園や青山墓地の緑があり、NHK放送センターの建物もすぐに見つかります。
展望台を一巡りしているうちに映画の上映時間が近づきました。エレベーターで地上へ降りると、既に入場が始まっていました。
『CUBE2』は、前作『CUBE』(1997)の続編になりましょう(?)。
本作を監督したのは、前作のヴィンチェンゾ・ナタリ(1969~)ではなく、アンドレイ・セクラという人が監督と撮影を受け持っています。
そのせいか、前作(私はDVDで鑑賞しました)とは全体から受ける印象が違います。タイトルにある「キューブ」(立方体の部屋)の造りからして違います。
前作では、ナタリ監督の閉所恐怖症を象徴した(?)かのように、閉じられたエレベーターの内部のように、息苦しくなるような圧迫感がありました。それに対して今回のキューブは、眩(まばゆ)い光が溢れています。
本作の監督セクラが、そのあたりについて、公式サイト内の「プロダクション・ノート」に次のように書かれています。
アンドレイ・セクラは、暗く陰鬱だったCUBEから真っ白の立方体へと変化させた。その目的は、明るく冷めた光を使うことにより、この付加次元では方向感覚が狂ってしまうのを強調する。 |
見た目の相違とともに、今回のキューブにもうひとつ加えられた要素が「時間」です。
いってみれば、前作が3次元とすれば、本作は4次元のキューブになっているというわけです。
その結果、観客は時間的な意味も加えて見ることになり、私がそうでしたが、「何が何やらわからない」状態に陥ってしまいます。製作サイドはそれこそが狙いで、時間の細部の流れは無視して、全体でその感覚を味わうことを狙っている(?)のかもしれません。
それもあって、本作を見た自分が、どんなストーリーだったかをほかの人に説明することは難しい作品といえなくもありません。
結局のところ、数人の男女が不条理なキューブの迷路に突然放り込まれ、その閉じられた無限の空間の中で右往左往させられる様が描かれています。
前作が閉所恐怖症的な閉じられた空間であったのに対し、本作はある意味開放感が感じられることもあることで、前作ほど切迫した感じが伝わってこなかった、ように私は感じました。
例えは適切かどうかわかりませんが、ディズニーランドにありそうなアトラクションで出口探しの遊びを楽しんでいるようにも見えてしまいます。私はディズニーランドへは一度も行ったことがないですが。
前作のナタリ監督は、自身の心的恐怖を映像化したのであろうことに対し、本作のセクラ監督は、キューブという仕掛けそのものに興味を持って作品にしたのかもしれません。その違いが、出来上がりに反映されている気がします。
前作は最後まで「何のためにキューブに閉じ込められていたのか?」が謎のままで終わります。本作それらしい意味が最後に匂わされており、それが逆に、話をこじんまりとしたものにしてしまっているように私には思えました。
見終わって外へ出ると、そこが見たばかりの映画の続きのような空間に感じます。そういった意味では、ヴァージン・シネマズ六本木ヒルズは、本作のような作品を鑑賞するのには最適な場所といえる(?)でしょう。