どのようなものでも、使い手が工夫することで、それが本来持つ機能を引き出せます。
なんて偉そうな書き方をしましたが、私も、自分が使うものを使い切っているわけではありません。そんな私ですが、ここ一カ月ほど、あるものが本来持つ機能を少しは引き出せるようになりました。
それは、私が一年ほど使っているデジタル一眼カメラ(デジ一)のキヤノン EOS RPです。
このデジイチは、キヤノンの35ミリフルサイズのミラーレスカメラとしては、最も下位に位置付けられているものです。また、それにつけて使っているレンズも、そのカメラのキットレンズにされているRF24-105mm F4-7.1 IS STMです。

話がそれますが、このレンズも、他の多くのレンズやカメラと同じように、値上げされましたね。諸事情により、いろいろなものが値上げされ、購入しにくくなっています。このレンズは、他のレンズに比べて価格が安く設定されていましたが、値上げ後は、購入する前に、少しためらってしまう根付に私には見えます。
ついでなので書いておきますが、関東南部の当地は、高校野球の地方大会の入場料金も今春値上げされました。
地方大会があると私は毎大会観戦に行く習慣です。今の馬鹿げた新コロ騒動が始まる前の2019年秋の大会までは、大人は600円の入場料金でした。それが今春からは、一気に1,000円に値上げです。額が小さいので400円の値上げでしかないように思われるかもしれませんが、率でいえばかなりの値上げといってもいいでしょう。
以下、1枚あたり
・決済手数料⇒220円
・システム利用料⇒220円
・発券手数料⇒110円
合計でなんと550円プラスとなり、800円と合計で1350円になり、当日券より350円も高くつきます。コンビニ(セブンイレブン、ファミリーマート)店頭で決済せず、クレジットカード決済をすれば、決済手数料(220円)はかかりませんが、それでも1130円で、当日券より130円高くなります。なんのための前売りなのかといいたくなります。
半導体部品の不足やウクライナ情勢が高校野球の運営に跳ね返ることは考えられません。であれば、何がこれだけの値上げになるのか、地元の高野連に問い合わせたい気がするほどです。今後は、前ほど気軽に観戦に行けなくなりそうな気がしないでもないです。
値上げという話では、昨年に新聞の購読料金を値上げしています。
家では朝日、日経、産経、地方紙の4紙をとっていますが、朝日が昨年4月(だったと記憶します)、産経が昨年9月(同じく)に値上げしています。
新聞は物価の上昇を憂えるような伝え方をしますが、当の新聞が、昨年に早々と値上げしています。ちゃっかりしたものです。物価の上昇を本気で憂えるのなら、新聞の値上げを一番あとにするぐらいの気概を見せてください。
さて、本来の話に戻します。
私が使う撮影システムは、デジ一、レンズとも、キヤノンの35ミリフルサイズとしては、ほぼ最低ラインです。こんな機材であっても、使い手が工夫することで、良い結果が得られた話を書きます。
このことは、本コーナーで一カ月ほど前に書きました。
カメラで撮影する時、露出の決定と色温度の設定を手動でしましょう、ということです。これだけで、見違えるほど、良いほうに結果が変ります。
プログラム(P)モードなどで撮影している人が、フルマニュアルで撮影するのは、最初は面倒に感じるかもしれません。しかし、被写体の様子を直に確認できるミラーレスカメラを使っているのなら、そんなに難しいことではありません。なんせ、私にもできるのですから。
カメラで露出を決めるには、ISO感度とシャッター速度、レンズの絞りを被写体にあたる光の状態に合わせて変更します。電子ビューファインダー(EVF)を覗き、自分が表現したように、三つの値を変えます。
カメラには適正露出をゼロとして、露出オーバーなのかアンダーなのか、目盛りで表示してくれます。これがゼロであれば適正かといえば、そうとばかりはいえません。それは、被写体に反射した光をカメラに内蔵された露出計が計測して示した目安です。
反射光式露出計は、あらゆる反射光を18%グレーにする性質を持ちます。
そのため、ミラーレスカメラがなかった頃は、自分の判断で、露出補正をしたものです。
しかし、ミラーレスカメラのEVFを覗けば、カメラに内蔵された反社式露出計に頼らなくても、どんな風に撮れるか、自分の眼で確認することができます。
こうしたことを習慣づけると、光を見て、露出をどの程度にすれば、自分の望む表現ができるかわかるようになります。
自分が望む写真を撮るためのもうひとつの要素は色温度の設定です。
私はフィルムの一眼レフカメラの時代から、写真の撮影を道楽にしてきました。

私はポジフィルム(リバーサルフィルム)のコダクローム64が好きで、そのフィルムでばかり写真を撮りました。そのフィルムが好きだったのは、そのフィルムで撮ることでしか得られない、独特な色表現が好きだったからです。

要するに、フィルムを選んだ時点で、撮れる写真の色味は自動的に決まったということです。
これは、フィルムが持つ固有の色味という意味のほかに、別の意味合いがもうひとつあります。それは、補正のフィルターを使わない限り、色温度のコントロールはできないという意味です。
極端な例を挙げれば、日中野外の撮影用に作られたデイライトタイプのフィルムで、電灯光に照らされた被写体を撮影すれば、人間の目で見た色には写りません。
逆に、タングステンタイプのフィルムを日中野外の撮影に使えば、青味がかった写真が撮れてしまいます。
デジタルカメラは、被写体にあたる光に合った色温度に換えて撮影することができます。これはとても便利なことです。
私がデジタルカメラを使い出したのは2000年代になってからですが、つい最近まで、色温度の調節はオートに任せていました。
知らないとは恐ろしいものです。それに気がつくまで、オートにしておけば、ほぼ間違いない色温度で撮れるものとばかり考えていました。
しかし、色温度は自分で設定しなければならないことに、つい最近になって気がつきました。
フィルムの一眼レフカメラの光学ビューファインダー(OVF)は、レンズから入った光を確認だけです。カメラの色温度を調節しても、結果を見ることはできません。
しかし、ミラーレスカメラのEVFであれば、色温度の変化を目で確認できます。
ですから、自分の目で見える色合いにEVFで見える色合いを近づけることができます。この作業も、繰り返すことで、判断が速くつくようになります。
色温度と露出を自分で設定して写真を撮ると、驚くほど結果が違います。
私のような素人でも、自分で撮った写真を、ほれぼれする気分で眺めたくなります。昨日の朝も、庭に咲いている花を写真に撮りました。その花は、これまで、毎年今の時期に撮影してきましたが、今春ほど美しく撮れたことはない、と思えるほどです。
特に色合いが素晴らしいです。その花が持つ純粋な色が、高い透明感を保って写っています。
すべてマニュアルでの撮影は、ふとスナップ写真を撮る時には間に合いません。私の場合は、愛猫のちょっとした瞬間の撮影がそれにあたります。しかし、猫がくつろいでいるところをマニュアルで写せれば、私は満足です。
花や風景など、時間をかけて撮影できる被写体であれば、マニュアルで露出と色温度を設定し、ゆっくりとシャッターを切ることができます。
安価な機材であっても、それが持つ機能を引き出すことができれば、結果は見違えります。
何十年もカメラを道楽にしてきた私が、今春になって得たテクニックと心境です。