皮肉といえばこれ以上の皮肉はないと思いますが、「防災の日」に当たる1日の未明、東京新宿の歓楽街・歌舞伎町の雑居ビルでガス爆発に伴う火災が発生し、多数の犠牲者が出ました(歌舞伎町ビル火災)。
新聞やテレビなどのマスメディアが伝えるところによりますと、その火災による犠牲者の数は44人にも上るそうです。大変な数ではありませんか!
今日の産経新聞社会面には、その時の模様が生々しく書かれた記事が載っています。
それによれば、火元に近い店の従業員が火事に気づいたのは1日午前零時58分であるようです。
新宿区歌舞伎町1丁目にある雑居ビルの一つ「明星56ビル」3階には麻雀ゲーム店「一休」があり、その従業員が異変に気づくことになります。
最初、従業員は、店の入り口ドアから漂って来た黒い煙を、「エレベーター付近で誰かが煙草でも吹かしているのだろう」と思ったようです。が、念のためにドアを開けてみると_真っ黒な煙と炎が視界に入り、手探りで窓を探り、開け放ったそうです。
ほぼ同時に「ボン!」という低い破裂音が響き、従業員は、頭の中が真っ白になりながらも、道路側の非常口から命からがら飛び降りたようです。
ちなみにですが、上の証言が正しいとすれば、従業員が窓を開けたことがその直後の爆発につながったとはいえないでしょうか? これは聞きかじりですが、密閉状態にある時に窓を開けるなどをすると、そこから酸素が供給され、火災が広がるという話を聞いたことがあります。
それはともかく、当麻雀ゲーム店というのはゲーム機の画面に一人で向かう形式の遊びで、その時店内には10人ほどの客がゲーム画面に見入っていたようです。その結果、火災に気づくのが遅れ、上に書いた従業員を含めた3人の従業員(内一人はアルバイト)以外の客は全て逃げ遅れ、犠牲となりました。
さらに多数の犠牲者を出したのは、その上の4階にある風俗店「スーパールーズ」です。建物の面積80平方メートルの狭い空間に28人もの犠牲者が横たわることとなりました。
当店は営業上からか、道路側に唯一開いているはずの窓も内側から板が張りつけられていたため、ほとんど密室の状態にありました (訂正:建物反対側にも窓スペースがあるようです。実際には塞がれていたようですが) 。そこに炎と煙が立ちこめたのです。火災に気づいた店内はパニック状態になったものと思われます。しかし逃げ出す術がなく、全員が折り重なるように倒れることになりました。
現場に入った消防隊の一人は「こんなに人が死んでいる現場は初めてだ」と放心状態で呟いたそうですが、当店から運び出された人々はほとんどが心肺停止状態であったそうです。
以上が歌舞伎町の雑居ビルで起こった火災のあらましですが、今回の火災を特徴づけるものの一つに、火災が発生した店舗の営業内容があります。
3階の麻雀ゲーム店はまだしも、4階の風俗店は良くも悪くも人々の好奇心を誘わずには置きません。
新聞の報道によりますと、当店は入れ替わりの激しい歌舞伎町界隈で4年間営業を続けていたそうで、それなりに利用者の支持を集めていたようです。
で、気になる(私だけが特別気になっていたりしてf(^_^))営業内容は、届け出上は「接客飲食営業」だそうでして、実際にはセーラー服とルーズソックスに身を包んだ女性コンパニオンが、男性客の“接客”にあたっていたようです。
そうした客からの要望があり、それに応える形で営業していたわけで、個人的には問題はないと思います。もちろん、火災予防のためのノウハウについては大いに問題はあると思いますが。
私自身は徹底した出不精で、それに人間嫌いのところがあるためそういう場所には出入りした経験はないわけですが、世の中の男性にとっては、多かれ少なかれ関心を持ちそうな場所であることだけは間違いないでしょう。
ここで話は少々逸れますが、フランスの画家・ロートレックはストリッパーの楽屋でしたか(あるいは売春宿?)、世間一般からは怪しげな場所と思われていたようなところに足繁く通い、彼女たちを赤裸々に表現した作品を数多く残しています。
さらにまた、同じく画家のフィンセント・ファン・ゴッホの場合は、娼婦の女性(だったかな?)と一時期同棲したりしています。
私が思うに、彼らがそういう女性たちと交流を結んだのは偶然ではないように思います。
世間の常識から見たら卑しいと思われている仕事を選びとった女性に関心を持ち、ゆっくりと交流を深めていく中で、あるいは彼女たちの中に“一般”からでは得られない“独特の美”のようなものを感じ取っていったのかもしれません。いや、これはもちろん私の勝手な推測です。
それとも、普通の女性には見向きもされない彼らに優しく接してくれたのがそうした“商売女”だった、という見方も出来ます。ロートレックやゴッホは、お世辞にも女性にモテそうには見えませんものね。
いずれにしても、彼らや彼女らは、運良く巡り逢い、心を慰め合っていたのかもしれません。
話を火災事故に戻しましょう。
今も少し触れましたように、今回の火災の犠牲者並びに遺族は、現場が現場だけに、今後好奇の目に晒されることが予想されます。
ただ、そういう私たちだって当然のことながら“聖人君子”なんかじゃないですよね。みんながみんな心の奥にどうしようもない“スケベ心”を隠していたりするものです。そんなことを考えると、風俗店の従業員だ客だといっても、彼らのことをとやかくいえない気分になってきたりしま、、、せんか? ねぇ?(^.^;
あの火災さえなければ、犠牲になったコンパニオンのお嬢さんたちは、今夜も「キャッ(*/∇\*)キャ」いいながら、鼻の下を長~く伸ばした男性客のお相手をしていたでしょうに、、、。
彼女たちに罪はありません。合掌。