2007/11/14 iPodは裸体に限る?

いきなり質問してしまおうと思いますが、あなたは裸体が好きですか? それとも、何か着せた方が安心できるでしょうか?

この質問で問いたいのは人間の身体について、ではありません。私がこのところかかり切りとなっていますデジタルオーディオプレーヤー(DAP)iPodについての話です。

このことは、多分に日本人の国民性が反映されているのだと思いますが、本来、「裸」で使うことを前提にデザインされた道具に、「服」を着せる傾向が強いことを使い始めてから気づきました。その実、私もiPod classicを使い始めるにあたり、「服」を用意してはみました。

私が選んだ「服」はシリコーンでできたものです。商品の説明書きには「なめらかなシルクタッチ」とあります。なるほど、そのシリコンで作られた「服」はゴムのように軟らかく、肌触りもスベスベしています。

いつまでも「箱入り娘」のように無傷の状態でいてくれるよう、鏡面仕上げの背面についた手の脂を綺麗に拭き取り、そっと「服」で包み込みました。私が買い求めた「服」には、液晶画面を保護するシートもセットされています。こちらも、液晶画面を綺麗にしてから慎重に貼りました。

これでオーケー。私のiPodをいつまでも無傷の状態に保てる態勢が整いました。

ここまで書いてきた「服」は、私が最近買い求めたiPod classic 80GBのためのケースです。

海外のiPodユーザー事情は知りませんが、こと日本のユーザーの場合は、DAPに傷がつくことを極端に恐れる傾向があり、ケースをつけることが半ば常識になっています。

私もその常識に倣い、ケースでくるんでみたのでした。「裸」ではなく、「服」を着せたということです。

しかし、何かが違うと感じ、「服」は正味2日ほど使っただけで、すぐに脱がせてしまいました。液晶保護シートも今は貼っていません。私のところへやって来た時のままの「裸体」に逆戻りです。

iPod classic

だからといって、iPod用に製品化されたケースに特別不満があるということではありません。既に書いたように、シルクのような肌触りもあって、悪くありません。また、一番のポイントである「クイックホイール」の使い勝手も心配していたほどは落ちません。

それでも、ここまで神経を使って使うものなのか? という疑問が生じてしまったのです。

背面が鏡面仕上げされているため、傷がつきやすい構造であることはたしかでしょう。しかし、所詮は音楽を愉しむための道具です。鏡面に傷がついたところで、音楽を愉しめることに変わりはありません。

ならば、ケースに入れられることなど考えずにデザインされた製品を、そのデザインを殺すような使い方をするのは何か違うように感じられたのです。

聞くところによりますと、車を大切にする人は、車内を綺麗に保つため、車内では専用の靴に履き替えるという話を聞いたことがあります。ドライな車社会のアメリカなどでこの話をしたら驚かれてしまうかもしれません。

車という乗り物は、現代の馬のようなものです。野原を駆け回る馬にまたがるたび、ズボンや靴を履き替える人はいないでしょう。同じ感覚で、傷がつくことを極端に恐れる余り、デザインや鏡面の肌触りを無視してまでケースで覆ってしまうのは違うのではないか、と私は考えただけの話です。

かといって、ケースをつけて使用している大多数の人を否定したいわけではありません。ものの考え方は人それぞれ。10人いたら10通りの考え方があって然るべきです。

また、人の考えというものは、次の瞬間に変わるものです。私のケースに対する考えも、特別強い信念に裏打ちされたものではありません。ですので、本日分を更新し終えた後にコロッと変わり、「やっぱりiPodにはこのシリコンの服がピッタリだ」とケースにちゃっかり包んでいるかもしれません。

その点、アメリカ人というのは何事においても無頓着といいますか、機械につく傷にもそれほど神経質ではないようです。

たとえば、「価格.com」にある「クチコミ掲示板」で先日目にした書き込みには、その人が米国へ行った折、携帯電話の修理を頼んだら携帯を何かの上に載せて修理され、修理を終えて返された愛用の携帯には傷がついていたそうです。

これが日本であれば、一悶着起きてもおかしくない展開です。それが、海の向こうでは店員が悪びれた風もなく、受け取った当人もクレームをつけず、傷ついた携帯を受け取ってその場をあとにしたようです。

こんなエピソードのひとつからも、日本と外国の国民性の違いが見て取れるような気がします。もっとも、米国は何でも裁判沙汰にするお国柄でもありますので、一方には一歩も引かないクレーマーが控えているんでしょうけれど。

何はともあれ、道具は使われてなんぼ。iPodは音楽や動画、その他写真などを愉しんでもらうための道具です。ならば、「服=ケース」を着せるにしろ着せないにしろ、音楽や動画をドンドン愉しんでやれば、道具のiPodも喜んで「奉仕」してくれるかもしれません。

とか何とか書きつつ、私は未だ手持ちCDから曲を登録している最中で、道具としてはまだ目一杯働いてもらう状態にありません。既に登録した曲数は、直近では【7454曲】。全てを登録し終わるのにまだ2、3日かかると思いますので、1万曲は超えてしまうかもしれません。

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