最近は、ストロボを使った撮影に関心が向いています。こうなったことで、写真を撮る時の設定に変化が起きたのだと思います。
私はフィルムの時代から写真撮影を趣味にしてきました。私の被写体は、身の周りのものばかりで、今も昔も何も変わりません。
変わったのは露出に対する考え方です。
これまでは一貫して、アンダー気味の露出を好みました。デジタルのカメラで撮影するときも、ぎりぎりまで絞り込んだような絵を好みました。
それがごくごく最近、絞り込まない露出も好むようになりました。
きっかけは、ストロボを使って、自分なりにいろいろと試したことだと自分では考えています。
私がストロボ撮影に興味を持つことになったのは、ネットの動画共有サイトYouTubeで橘田龍馬氏の動画を見たことです。もっとも、それ以前にストロボの活用を考え、その使い方を披露してくれる動画がYouTubeにないか調べ、その結果、橘田氏を知ったわけですが。
橘田氏は、高価なストロボを使わなくても、ちょっとした工夫をすることで、本来は硬いストロボの光を和らげるやり方を動画で教えてくれました。
柔らかい光というのは、ストロボの光に限らず、コントラストが強すぎない光の状態にあるということです。ストロボの光を裸の状態で直射すると、被写体に強い影ができ、それが硬い光に見えてしまいます。
それを和らげるため、たとえば、ストロボの発光部に何かしら、光を和らげるディフューザーをつけると良いというわけです。
晴れた日の屋外で写真を撮る時も、同じ理屈が成り立ちます。
最も身近なディフューザーは何だと思いますか? 空に浮かんでいる雲です。その雲が太陽にかかると、太陽から降り注ぐ陽の光が弱まります。雲がディフューザーの代わりをしてくれているのです。
映画監督の黒澤明(1910~1998)は、屋外で作品の撮影をするとき、常に空模様に気にかけたようです。黒澤は、彼の作品の性格上、強いコントラストの絵を好みました。
太陽が雲に陰ると、コントラストが極端に弱まります。それだから、撮影の準備が整っていても、太陽が雲で陰ると、撮影を始めなかった、ということになりそうです。
逆のことを、屋外で撮る時に応用することができます。柔らかい光が欲しい時です。雲がところどころに浮かぶような状態であれば、雲が太陽に薄っすらかかるまで待つことをしてもいいでしょう。
そんなこんなことを考えたからか、強いコントラストではなく、柔らかい光で包まれたように撮りたい気持ちが起こりました。
これまでであれば、もう一、二段絞りたいところ、逆に、一段開けて撮ろうとしたりします。
昨日、眠っている我が家の愛猫・にゃんこおチビちゃんファミリーの”お母ちゃん”こと元祖おチビちゃん(=^ω^=)の写真を撮りました。
今までだったら、もっと絞って撮ったでしょう。
ゴヤ(1746~1828)が晩年に描いた作品に『砂に埋もれる犬』(1820~1823)があります。これを撮影するとき、それが一瞬、頭に浮かびました。
使っているカメラは、ソニーのミラーレス一眼カメラのα7 IIで、マウントアダプタを介して、フィルムの一眼レフカメラのヤシカ・コンタックス(ヤシコン) RTSおよびRTS II用に使っていたカール・ツァイス プラナー50mm F1.4をつけています。
この時は、F値をf/2.0にして撮っています。自分でフォーカスを合わせるマニュアルフォーカスレンズなので、今のオートフォーカスレンズほどフォーカスは来ていないかもしれません。
しかし、これはこれで、自分では気に入っています。往年のプラナー50mmのレンズで、こんな風に撮ったのは初めてかもしれません。
今後も、このレンズとカメラで、柔らかい光の写真を撮れたら、などと考えています。もちろん、露出を切り詰めて撮ることもしますけれど。
油絵具と接するときと同じで、カメラとレンズ、できれば、自分でフォーカスを合わせるレンズを使って写真を撮るのも、心が解放されるような感じがして好きです。
本更新が終わったあとは、油絵具と接する時間を持つことにしましょう。