原晋氏を使った高野連批判報道不発に終わる

「ペッパーミル」というのが流行っているそうですね。なんでも、ラーズ・ヌートバーという野球選手(1997~)がいて、彼がワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でその「ペッパーミル」というパフォーマンス(?)をすることで、流行になっているらしいです。

私はWBCにはまったく関心がなく、試合は見ていません。ですから、ヌートバーという選手がいることも知らず、動く映像でその人を見たことがありません。

そんなわけですから、「ペッパーミル」というパフォーマンスもどんな風な仕草なのかわからず、わかろうとも思っていません。

このパフォーマンスを、選抜高校野球の開幕試合でひとりの選手がすると、それを一塁塁審が注意したなどで、様々な方面に波紋を広げているようです。

遅ればせながらそんなことがあったことを知り、ネットの動画共有サイトのYouTubeでそれを記録した動画を見つけました。

【センバツ】ペッパーミル・パフォーマンスに審判が注意!佐藤監督 センバツ高校野球 山梨学院対東北 相手のエラー

それが起きたのは試合が始まった直後ですね。

一回の東北高校の攻撃で、先頭バッターの選手がショートゴロの当たりを打つと、守備についていた山梨学院の遊撃手がゴロを捕球できず、脚の間を抜けていく、いわゆる「トンネル」となりました。

アウトと思っていた東北高校の選手が、一塁走者となり、その喜びを、自軍のベンチに「ペッパーミル」のパフォーマンスで表したということになるのでしょう。

元祖の「ペッパーミル」を見たことがないため、この動画にあるパフォーマンスがどの程度それに似ているかはわかりません。

まず、両手の親指と人差し指を立ててチョキのようなポーズを作り、次に二度手の平を打ったあと、最後に、バットを握るようなポーズをして、その手をグリグリとさせています。

そのパフォーマンスをする東北高校の選手を、一塁塁審が間近で見ているのが印象的です。

相手のエラーで出塁した一塁走者のペッパーミルパフォーマンスとそれを見る一塁塁審

選手のパフォーマンスを見たあと、一塁塁審が「パフォーマンスは駄目」と注意したのだそうですが、それはパフォーマンスをした選手個人に注意したのでしょうか。そのあたりのことは、この試合を見ていないので私はわかりません。

また、大会本部も、「不要なパフォーマンスやジェスチャーは慎む」ことを求めています。

この出来事に、マスメディアは早速飛びつき、高野連の対応は時代遅れだと批判的に報じることをしています。

マスメディアの記者は、自分の考えをそのまま記事にすることができません。そのため、自分の考えをそれでも記事にしようとするなら、自分の代弁をしてくれそうな識者に取材し、その人が話したことにして、自分の考えに近いことを記事にします。

今回の騒動では、青山学院大学(青学)で駅伝監督をする原晋氏(1967~)が担ぎ出された印象です。原氏の考えをどのように引き出したのかわかりませんが、記者がこの出来事を原氏に話し、感想を述べてもらった(?)のかもしれません。

原氏は、青学の駅伝監督として広く知られています。そのことで、原氏が話したことは、本人が考える以上に影響力があることをマスメディアとしても承知しているのでしょう。

原氏は、個人の個性を尊重したい考えをお持ちのようで、今回の出来事も、それを尊重する考えを持つうえで、それを押さえつけるような高野連のあり方を批判しています。

原氏を利用して記事にした記者は、おそらくは、原氏に訊く前に、そのような自分の考えを持っていたのでしょう。

結果的にマスメディアに利用された原氏でしたが、世間の反応は、原氏やマスメディアが考えたのとは反対となりました。

Yahoo!の記事に添えられたコメントを見ても、原氏に同調する者は多くありません。多くの人がコメントで残しているように、このパフォーマンスを、相手の失策で出塁したあとにしていることに不快感を示しています。

これがもしも、クリーンヒットで出塁したあとに、嬉しさがあまって思わずしたパフォーマンスであれば、原氏の考えに同調する人がいたでしょう。

そのあたりの「計算」を、原氏と、原氏を利用したマスメディアは見誤ったというよりほかありません。

今回のパフォーマンスは、それほど大げさなものではないように個人的には感じました。しかし、それでも、選手がエラーしたことを喜び、それを自軍のベンチに伝えているようにも見え、相手への敬意を欠いていると指摘されても仕方がありません。

私は高校野球が好きで、地方大会が始まると球場へ観戦に行くことを昔から続けています。スタンドに座って観戦していると、自分が応援するチームが、相手のエラーで出塁できたりすると、拍手や歓声が沸き起こったりします。

どちらのチームも応援しているわけではない私は、そんな拍手や歓声を聞くと、あまりいい気分にはなりません。拍手や歓声は、どちらのチームであっても、好プレーをした選手に送るのが、見ていて気持ちがいいです。

これを書きながら、昨秋に行われた明治神宮野球大会で起きたことを思い出しました。この大会は、今甲子園で行われている選抜大会出場をかけた全国の秋季地方大会で優勝したチームで争われる大会です。

この大会で、大阪桐蔭と対戦したクラーク国際の佐々木啓司監督(1956~)が、相手チームのベンチは、こちらの投手が投球フォームに入ってからも「ワーワーいっているのは野球じゃない」と激怒する場面がありました。その訴えに対し、大阪桐蔭の西谷浩一監督(1969~)は、自分たちの認識不足を認めるコメントをしています。

これは⁉︎大阪桐蔭にクラーク国際佐々木監督が試合中に激怒して物議! 試合後の佐々木監督と西谷監督のコメントも!

選手の感情の発散を必要以上に取り締まるのも考え物ですが、それでも、最低限の節度は必要なことです。今回の騒動に見られたパフォーマンスがどちらに当たるのかは難しいところですが、相手の失策で出塁したあとにしたことは、反省すべきでしょう。

このパフォーマンスに関するほかの動画のサムネールで知りましたが、パフォーマンスをしたのは一塁に出塁した選手だけでなく、味方のベンチにいる複数の選手が、同じように、バットをグルグルやるようなポーズをしていたのですね。

ベンチでもペッパーミル

これでは、相手ベンチへの挑発行為と思われても仕方がなさそうで、褒められることではないですね。

本日の豆助言
青学駅伝監督の原氏は、マスメディアにのせられて恥をかいた格好です。今後はマスメディアの思惑を見抜き、マスメディアに利用されないような、賢い対応をされるといいでしょう。

気になる投稿はありますか?

  • 五輪メダルは甘くない五輪メダルは甘くない 東京五輪が始まって2週間。大会が残す期間は、今日を入れて3日となりました。 私は東京五輪に反対の立場です。反対の理由は、新コロ騒動ではありません。これを理由に、大会が始まってからも中止を訴える活動があると聞きますが、私の反対理由は、新コロとは別です。 五輪そのもに反対の私ですから、それが日本で開かれることは大反対で、大会招致のロビー活動の話を漏れ聞くたびに、苦々 […]
  • 池江選手の被害者報道に違和感池江選手の被害者報道に違和感 かつては死の病といわれた白血病から奇跡の復帰を果たし、東京五輪・競泳の日本代表を決めた池江璃花子選手(2000~)が7日、自身のツイッターで苦しい胸の内を述べたことを、今日の朝日新聞が取り上げています。 記事によりますと、池江選手のツイッターのアカウントに、「(東京五輪代表を)辞退してほしい」「(東京五輪開催に対して)反対の声をあげてほしい」といったメッセージが複数寄 […]
  • 大谷選手を巡る問題を時系列で見ると大谷選手を巡る問題を時系列で見ると ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手(1994~)を巡る問題は収まる気配がありません。 https://indy-muti.com/50714/ 本件を解く鍵が大谷選手の通訳を長年に渡って務め、公私とものサポートをした水原一平氏(1984~)にあると考える人が多くいるでしょう。 本件を早くから取材している米国のスポーツ専門局ESPNが、水原氏に電話取 […]
  • 大谷選手へ贈る「雄弁は銀」大谷選手へ贈る「雄弁は銀」 英語の諺に”Speech is silver, silence is […]
  • 大谷選手の通訳をした水原氏は窃盗犯なのか?大谷選手の通訳をした水原氏は窃盗犯なのか? 極めて順調に見える人生においても、「好事魔多し」を思わせる出来事です。 今シーズンからロサンゼルス・ドジャースに移籍した大谷翔平選手(1994~)の通訳を務め、公私にわたって大谷選手をサポートしていた水原一平氏(1984~)がドジャースから解雇されたとの報道は、韓国で行われたドジャースのオープン戦の期間中です。 私は大リーグには関心がなく、大谷選手の試合も見たこ […]