選抜高校野球が甲子園球場で行われています。その大会2日目となる昨日(12日)の第2試合は、作新学院と大分商業の対戦でした。
この試合の9回表、大分商業の攻撃中に、大分商業の選手が単純と思われる判断ミスをし、同校が敗退しました。
私は同試合は見ておらず、報道でそのことを知りました。Yahoo!ニュースに上がっていた記事を読む限り、大分商業が2点差まで追い詰め、なお、一死で二塁と一塁に走者を置く形で、逆転のチャンスが大いにあったといえましょう。
同校の応援スタンドからは盛んな応援がされていたことでしょう。そのことで、プレーをする選手にも力が入り、もしかしたら、いつもとは違う精神状態にあった(?)かもしれません。
こんなときに、単純な判断ミスが起こりがちです。
打者が放った打球は左翼方向へ飛び、左翼手を超えて球が転がれば、一塁走者もホームへ帰り、同点に追いつける場面です。
一塁走者にもその想像が広がり、加速して二塁ベースを走り抜けますが、打球は左翼手に捕球されて二死となります。
その場面を朝刊も報じていますが、どれもが同じような報じ方をしています。Yahoo!で今日読んだサンケイスポーツ(サンスポ)の記事で、その場面を振り返っておきます。
ゲームセットとなる三死目は、一塁走者が二塁ベースを超えて走塁したのに、一塁へ帰塁するときに、二塁ベースを踏まなかったことだとしています。
そんなことがあるのかと思い、今日になって、その場面を記録した動画をネットの動画共有サイトのYouTubeで見つけ、見てみました。下に埋め込んだのが、その時のプレーを再現する動画のひとつです。
この動画を見ると、見る前に想像していたのとは違い、一塁走者は、打球がファイルになったときのように、二塁ベースを超えた位置から、二塁ベースはおろか、まっすぐに一塁へ帰塁しています。
白熱した場面で、もしかしたら、頭がパニックになっていた(?)のかもしれません。
しかし、何度か動画を再生させて見たことと、球場でこの場面を直に見た人の書き込みで、帰塁のミスとは別の動きがあったことに気がつきました。
サンスポをはじめとするほかの記事では、そのことが触れられていません。
サンスポの記事では、次のように書く箇所があります。
この場面、本来は作新学院側のアピールプレーがなければアウトが成立しないが、先に後藤二塁塁審がアウトを宣告した。
野口球審も、「正式アピールがある前に二塁塁審がアウトを宣告した」と場内アナウンスで謝罪したことも伝えています。
野口球審は、NHKが生放送していた映像から、その場面を再生させて確認することをしていないでしょう。そのことで、二塁塁審の判定を勘違いした可能性が疑われます。
選手の「アピールプレイ」の定義を私は正しく理解していませんが、その場面の動画を見ると、守備についていた作新学院の遊撃手が、二塁塁審に、二塁と三塁のあたりを指さしながら、訴えている様子が写っています。

その指摘のあと、二塁塁審が右手を挙げてアウトを宣告しています。少なくとも、サンスポの記事にあるような、アピールプレイの前に二塁塁審がアウトを宣告したのではなく、作新学院の選手の指摘を受けてアウトのジェスチャーをしているのが確認できます。
問題は、作新学院の選手が何かをアピールしたタイミングです。二塁ベースについていた作新学院の選手は、大分商業の二塁走者と一塁走者がまだそれぞれの塁に戻る前に何かをアピールしています。
両走者が帰塁するよりも遥か前のタイミングです。このことから、作新学院の選手が何をアピールしているのかが問題となります。そして、それが、マスメディアが報じ、野口球審が場内アナウンスで謝罪した帰塁ミスでなければ何になるでしょう。
実は、それより以前に、三死目が成立し、ゲームセットとなっていたことが、球場で観戦していた人もコメントで書いていました。
その場面がよりわかりやすくなるように、、本ページに埋め込んだ動画を私なりに編集して、下に埋め込んでおきます。
大分商業の二塁走者が二塁ベースに戻ろうとするところ、一塁走者は、その二塁走者よりも三塁ベースに近いところにいる状況ができてしまいました。
要するに、一塁走者が二塁走者を追い抜いてしまう形が一瞬できてしまったことになり、それに気がついた作新学院の選手が、その方向を指さし、審判に指摘したように見えます。
走者が前の走者を追い抜いたら、その時点でアウトが成立するからです。二塁塁審はそのとき、バックネット裏方向からそのプレーを見ており、作新学院の選手のアピールプレーのあとに、一度両手を挙げ、そのあとにアウトのジェスチャーをしています。
サンスポの記事にあるような、アピールプレイの前に二塁塁審がアウトを宣告したわけではないことが、動画を見ることで確認できます。
一塁走者が、一度は走り抜けた二塁ベースを踏まずに一塁に帰塁したのは確かですが、それより前に、二塁走者と一塁走者の位置が入れ替わり、結果的に一塁走者が前を走る二塁走者を追い抜いてしまう形になったのは残念なプレーといえましょう。
それにしても、その場面を記事にするのであれば、記事を書く記者が、球審の場内アナウンスとは別に、自分の眼で見たことを信じて記事にすることを求めたい気持ちになります。
作新学院の小針監督が試合後に述べたという「選手の方が冷静だった」というのは本当にそうだと思います。一塁走者が二塁走者を追い抜く場面をしっかり見て、それをすぐさま審判に指摘することができているのですから。
マスメディアは審判団のミスを責めるような書き方をしていますが、それを報じるマスメディアも、球審と同じミスを犯しているのではありませんか?
この場面を報じる今後の記事で、マスメディアがそれを素直に認めるかどうか、冷静に見守っていくことにします。ミスには寛容な気持ちで_。