2004/05/17 『桃色画報』はエロの夢?

昨日、私は折からの雨をもろともせず(?)映画を見るために出かけてきました。

出かけた先は東銀座の銀座シネパトスで、その劇場で先週末から公開が始まった作品が今回のお目当てでした。その作品とは_あまり他人に大っぴらにいうのもちょっと気が引けますが、『桃色画報』という作品です。

内容については、公式サイトへアクセスすることで了解していただると思いますが、想像通りのエロティック味濃厚な内容です。トップページにある画像からして、裸の女優さんが大開脚を披露し、そこに後光が射しているんですからね~f(^_^;)

この『桃色画報』という邦題、同公式サイト内にある表現を借りれば『真っピンク・グラビア』ということになり、まさに、お色気ムンムンの編集具合になっています。

ところでこのシネパトスへ出かけたのは久しぶりでしたが、前回の時まではあったチケットの自販機が消えており、代わりにチケット売り場窓口ができていたのには驚かされました。そういえば、初めて行った時、そうと知らずに入場待ちの列に並び、いざ入場の段になってチケット購入を指示され、慌てて買いに走ったことを思い出します。

なお、初日の15日と昨日は、公開記念で先着100名に特製トランプが配られ、私もしっかり受け取りました。

映画『桃色画報』謹製トランプよりジョーカーの画像

ともあれ、謹製トランプを手に場内へ入ると、年配の男性客の姿が目につきます。あとになってその理由は納得しましたが、この作品でも監督・原案・編集・脚本・出演を務めるティント・ブラス1933~)という人は、知る人ぞ知るといった人物のようで、その彼の新作ということで昔からのファンも駆けつけていたのかもしれません。

本日の豆キャッチコピー
ちゃんとちゃんとは味の素、ティント、ティントはエロの素!

ついでまでにティント・ブラスという監督について少し触れておきますと、彼はイタリアのヴェネツィア生まれ(1933年3月26日)で、ユダヤ系の父親は有名な弁護士だったようです。そうした家庭環境のため、彼も将来は父親と同じ道を歩むものと自身考え、親からは考えられ、法学部への進学を果たします。

しかし、どこでどう間違ったか、全くの畑違いの映画に興味を抱いてしまい、実際映画監督としてデビューを果たしてしまいます。はじめに制作したのは短編作品で、その後も『働く者は負ける』(日本未公開)という社会派ドラマや『革命の河』という長編記録映画などで注目を集めるようになります。

しかし、彼はおそらく自分の中に矛盾を抱えていたのでしょう。その後路線を180度変え、お色気作品を専門に撮り出すことになります。

これは私の全くの想像ですが、彼の父親は有名な弁護士であり、その息子である彼は映画の世界で生きていく以上は、世間からもっともらしく受け入れられる題材で勝負しなければいけない、といった制約が当初の彼にはあったのではないでしょうか。要するに、世間体を考えて、本来自分が目指しているものではないものを制作したのではないか、ということです。

しかし、いつしか自分に正直でないことに気づき、世間からどのように思われても構わないとある意味開き直り、その踏ん切りが彼を自由にし、今日の活躍へとつながっているのではないでしょうか。

それはともかく、本作の内容についても書かないわけにもいきません。しかし、正直いってどのように書いたらいいものか迷っています。何しろ、ポルノチックな映画ですから。

まず作品のスタイルですが、彼の制作方法がいつもそうなのかどうか知りませんが、今回の場合は6つの短編に分かれており、それぞれが完結した話になっています。

どれもが男女のエッチ話で、登場する男女は必ず裸になり、体の隅々まで惜しげもなく見客に披露します。

しかし、残念なことにといいますか、日本国内の上映に関しては映倫(えいりん:映画倫理規定管理委員会の略称。1949年、日本で制作・上映する映画の道徳的水準の低下を防ぐため、映画界の自主規制機関として発足。太陽族映画への世論の反発を契機に1957年から改組され、新基準を採用=広辞苑)の厳しい審査が入り、大多数のカットには大事な部分を隠すためのボカシが入ります。

ただ、ヘアを隠すのが主目的ではありません。むしろヘアは、なし崩し的に審査対象からは外されたようで、今回も隠されていません。そうして、唯一残った“秘境”はヘアに覆われた局所です。

6話の中で私の一番のお気に入りとなったのは、第1話目の「アリバイ」です。登場人物はモロッコのカサブランカに旅行にやってきたイタリアの若夫婦(結婚7年目)とルームサービスのモロッコ人の若い男です。

私がこの作品が気に入ったのは、他のどの話よりも、ここに登場したサラ・コズミという女優が魅力的に思えたからです。ボリューム感豊かなブロンドの髪とコケティッシュ(coquettish:なまめかしいさま。男の気をひくさま=広辞苑)な表情が何ともいえない魅力です。

その彼女が惜しげもなく見事なボディを披露してくれるわけで、目のやり場に困ります、というか、スクリーンに引き付けられてしまいます(^O^;

一方の男優ですが、これが笑ってしまうほど巨砲のイチモツを持っています。もちろんボカシがかかっているのであくまでも想像ですが、バスタオル一枚の彼のその部分が、笑ってしまうほど前に突き出しています。

このような書き方から作品のスタイルをイメージしていただけると思いますが、シリアスというのとは性反対、いや、正反対の笑わせられるようなお茶目な作品です。実際、勘所では場内から乾いた笑い声が聞こえました。

それにしても、見ながら考えてしまいましたが、自分の性器(特に女性器)をスクリーン一杯に晒す俳優の心境というのはどう理解したらいいのでしょう。自分の好きな相手にだけ見せるというのとはわけが違いますしね。ま、それでギャラを得ているプロということになるのでしょうが、ちょっと興味深い人間心理ではあると思います。

そういえばこれを書きながら思い出しましたが、その昔、あれは『ディープ・スロート』1972)というタイトルでしたか、世界的にヒットしたポルノ映画がありました。それに主演した女優はその後精神的に不安定になり、自分が出演した作品のフィルムを全て買い戻したい衝動に駆られた云々、という話を耳にしたことがあります。

しかし、ま、今回の作品に登場してくる俳優たちに関しては、揃って屈託なく演じていますから、余計な心配は無用で、ティント、ティント(=ちゃんと、ちゃんと)見てあげるのが礼儀というものでしょう。

ということで、今回はエロティックな作品の紹介になりました。綺麗事をいっていても、所詮は生身の人間。お固いばかりでは人間的に味も素っ気もありません。特に世の男性の場合は、お硬いのはあそこだけで十分でしょう。

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