シネマカメラブームに変化の兆し?

どんなものやことにも始まりがあり、終わりがあります。あるものやことは、人々の注目を受け、バブルのようなものを起こすこともあります。

これから書くことは、私がただ単にそう感じたというだけで、私が感じた通りになるとはいっていません。むしろ、私の考えとは逆の動きになることも大いにあるでしょう。

かつては、普通の個人が動く映像を撮ることは稀だったといってもいいでしょう。

私は昔から映像というものが好きで、その当時、普通の個人が唯一扱えた8ミリ映画が気に入り、8ミリカメラと8ミリ映写機を買って、趣味として愉しみました。

ニコン R10 スーパー

その当時、8ミリ映画を趣味にする人は、相対的に見れば、少数派だったといえるでしょう。

2000年代に入り、デジタル技術が急速に進み、動画の撮影や視聴が極めて一般的になりました。

私は使っていませんが、国民の大多数がスマートフォンを日常的に使っています。このスマホにも動画撮影の機能が備わっています。使えるのであれば、使う人が増えるのが道理です。

この大きな変化により、ネットの動画共有サイトYouTubeには、素人が撮った動画が溢れています。

動画を指向する人が増えれば、メーカーが敏感に応じます。メーカーは、自撮りするユーザー向けに特化したカメラを次々に開発し、発表しています。

そんなに昔の話ではありません。今から十年ほど前の状況を思い出すと、今ほどの「動画ブーム」はなかったように思います。当時からYouTubeには動画が上がっていましたが、今ほど熱狂的ではなかったように記憶します。

私もそれに関心を持つから余計そう感じるのかもしれませんが、今は、動画を撮影するための機材の「バブル」が起きているように感じます。

YouTubeに動画を上げる配信者もそれに敏感に反応し、動画用の機材や動画編集のテクニックなどを動画にして上げています。それらの動画は、関心を持つ人によく見られているようです。

この動画を巡る「バブル」がそろそろ弾けるのではないか、と私は無責任に想像しました。冒頭に断ったように、これは個人の私が、何の裏付けもなく、ただ単にそう感じたことです。

私個人の感覚でいうと、一時期は、ミラーレス一眼カメラで動画を撮ることに熱中しました。私はソニーα7 IIを使っていますが、このα7 IIでLog撮影し、撮った動画のカラーコレクション(カラコレ)やカラーグレーディング(カラグレ)の真似ごとに時間を費やしました。

ソニーのα7 IIにFE 24-240mm F3.5-6.3

今はその熱が冷めました。α7 IIで動画を撮ることもめっきり減りました。動画を撮影する必要があるときは、ビデオカメラで撮ります。ですから、撮った動画をカラコレやカラグレする機会はあまりありません。

これは私だけの感覚なのかと思い、念のため、YouTubeで「カラコレ カラグレ」を検索してみました。すると、表示される動画のほとんどは、以前に配信されたものが大半です。

ということは、今、熱心にカラコレやカラグレをする人は、一年から三年前ぐらいに比べて減ったということでしょうか。

私に限らず、どんな人でも、同じことを同じ情熱を持って長く続けることはできません。それでも、新たに興味を持つ人が次々生まれれば、人が入れ替わるだけで、「ブーム」のようなものは続きます。

ですから一概にはいえませんが、カラコレやカラグレの、ここ二、三年の「ブーム」のようなものは、収束しつつあるように感じます。

カラコレやカラグレを趣味として愉しむのはそれなりに愉しいですが、撮る動画でそれをすべてやるのは根気がいります。根気を必要とする趣味は、なかなか長続きしないものです。

カラコレやカラグレの「ブーム」に付随して、デジタルで撮った動画をフィルムのムービーカメラで撮ったような動画に加工する「フィルムルック」や「シネルック」も二、三年前は流行りました。

これも、YouTubeで検索をかけると、表示される動画は一年前や二年前のものがほとんどです。

素人が気がつくこのような動向をカメラメーカーがリサーチしていないはずはありません。

これまでは、「バブル」のようなものが起きていたので、メーカーが新しいシネマカメラを出せば飛ぶように売れたりしたでしょう。しかし、今後は、この動きにも変化が出るように考えます。

YouTuberの中には、次々に発表されるカメラやレンズをレビューする動画を専門にする人もいます。そんな人が動画再生回数を伸ばしていると知れば、同じことをする人が新たに参入します。

そんなこんなで、今は、YouTubeでカメラやレンズなどの機材をレビューするYouTuberが飽和状態となっています。

様子の変化を敏感に感じ取ったメーカーが新製品の発売間隔を開けるようになれば、レビュー目的のYouTuberがレビューする製品の数も減り、その結果、その種のYouTuberの「淘汰」が進むでしょう。

今回書いたことは、私が漠然と感じることです。私の感覚が違っているだけかもしれません。

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