怪談を聴いている最中に、現実に怪異な現象が起きたりすれば、恐怖心は高まるでしょう。
私は昨日、それに近い体験をしました。
このところは、江戸川乱歩の全集をAmazonの電子書籍で読んでいます。
読書に使うのは、同サービス専用の端末であるKindleです。タブレットPCやスマートフォン(スマホ)でもアプリケーションを入れれば読めますが、私にはKindleが一番です。
電子書籍を読むためだけに特化されているため、紙の本で読むのと変わりが感じられないほどによくできています。表示される文字は、どんなに拡大しても、他のデジタル端末の文字のようにギザギザになることはなく、紙に印刷された文字そのものです。
眠る前に読書をする習慣ですが、端末が読みやすい程度に明るく光るため、電気スタンドもいりません。
電池の保(も)ちもよく、電池の消費は気になりません。
こんな風に、私にとっては代えがたいKindleですが、昨日、怪異と思えるような現象に遭遇しました。
乱歩の全集を順に読み進めており、昨日、『モノグラム』(1926〔大正15〕年7月『新小説』)を読んでいるときのことです。
通常、日本語で書かれた書籍は縦書きで、多くは右から左の方向に読むようにできています。次のページへ移動する場合は、画面上を指で左から右へスクロールするか、画面の左端を指でタップします。
画面上を右から左へスクロールするか、画面の右端をタップすれば、ページを戻ることができます。
画面を指などで触らない限り、そのページが固定され、集中して読むことができます。
それが昨日、乱歩の『モノグラム』を読んでいたとき、何の前触れもなく、独りでにページがめくられたのです。Kindleを使い出して結構長いですが、この現象が起きたのは初めてです。
ちなみに、電子書籍の場合、紙の書籍のように「ページ」は確定したものではありません。なぜなら、端末を使う人が、自分の意思で文字のサイズを変えられるからです。
従って、文字の大小により、表示されるページ数は異なります。それを踏まえた上で、便宜上、ひとつの画面に表示されたものを「ページ」と書くことにします。
初めてその現象が起きたときは、私が不注意に画面の右端を触ったのかと考えました。仕方なく、画面の右端をタップし、まだ読み終わっていない前のページに戻りました。
そうして読んでいると、再び勝手にページがめくられました。今度は2ページ程度めくられました。
不思議なことが続けておき、面食らいました。
読んでいるのが乱歩の怪異作品であったため、その怪異さが現代機器の端末に乗り移ったように感じなくもありませんでした。
もっと現実的な妄想も持ちました。それは、このサービスを提供するAmazonのアカウントが何者かに乗っ取られ、その何者かが、私が読む端末をどこかで操作し、私の読書を邪魔しているのでは? というようなものです。
ともあれ、その短編を読み終わるまで、このような不可思議な現象が何度か起きました。
この現象がいつ、どのタイミングで起きるかわからないため、いつまた勝手にページがめくられるかもしれないといった考えが起き、落ち着いてページの文字を読むことができません。
同じような現象に困っている人がいないか、ネットで調べてみました。すると、同じ現象に悩まされているのが自分だけでないことがわかりました。ある人は、対処法をAmazonに問い合わせ、それをしたことで、解消できたことまで書いていました。
私の端末に起きた現象は「ゴーストタッチ」に当たるようです。なるほど、ゴーストが、私の代わりにページを操作しているような感覚です。
私はこのページを知る前、念のために端末を再起動をさせ、問題が解消されたかは試していました。私の場合は、それでも現象は続きました。
Kindleも電子機器ですから、落下させたり、何かにぶつけるなどして、衝撃を与えることは故障につながります。
私が使っているKindleは2018年11月7日に日本で発売が開始されたkindle Paperwhiteの第4世代(※全体では第10世代で最新型)です。これまでに一度、落下させてしまったことがあります。
ちょうど1年ほど前、高校野球の地方大会を見に行ったとき、この端末を持っていきました。試合が終わって、最寄り駅へ戻るためのバスをバス停で待っているとき、立って持っている状態で、アスファルトかレンガの歩道に落としました。
ただ、このことによると思われる障害は起きませんでした。
ここ最近で端末に変化がありました。それは、使用していないときの表示です。
私が使う端末は広告が表示されるようになっています(※その分値段が安いです)。広告といってもAmazonの電子書籍の広告で、私が端末に入れた書籍に関連した分野から、お勧めの書籍が紹介されるといった程度のものです。
それが、ここ最近自動でアップデートがあったらしく、ある朝気がつくと、使用していない時の表示が変わっていました。お勧め書籍の広告がなくなり、よく見ると様々な模様の万年筆か何かを隙間なく無数に並べたような図柄が常に表示されるようになりました。

はじめそれを見た時は、画面がバグを起こしたのかと勘違いしました。
もしかしたら、このときのアップデートが、今回の現象につながっている(?)のかもしれません。
同じ現象に悩まされた人が、Amazonのカスタマーサービスに問い合わせ、そこで教えてもらった解決方法を載せてくれています。具体的には、Wi-Fiネットワークを再設定することです。
すぐに試しました。そのあと、本投稿を書き始めましたので、その結果はまだわかりません。これを書き終えたあと、Kindleで読書をし、様子を見ることにします。
それでもなお現象が発生する場合はどうするか。それは、その時になってから考えることにします。
この現象のその後について書きます。なお、更新しているのは2日後の朝です。
投稿した日は、そのあとに用事があり、外出しました。戻ってから、現象が起きるか確認しながら、少しの時間読書をしました。すると、始めてすぐ、同じ現象が発生しました。
ただ、それは一度だけで、そのあとは起きませんでした。
そのあと、設定を改めて確認しました。すると、〔読書オプション〕の項目に〔ページの更新〕というのがあるのに気がつきました。これまで、この項目を意識することはありませんでした。そのため、これは【オフ】になっていました。
「ページをめくるたびに画面を更新します」と説明があります。
そこで、これを【オン】にして様子を見ました。
しばらく読書を続けましたが、いわゆるゴーストタッチの現象は一度も起きませんでした。
〔読書オプション〕の設定変更がどれほど意味があることかわからなかったため、それを確認する意味も兼ね、この項目を元の【オフ】に戻し、また様子見の読書をしました。
火曜日の夜と、昨日の日中と夜、そして今朝、それぞれKindle端末で読書をしていますが、その後は一度も不都合な現象は起きていません。
結果的に、Wi-Fiネットワークを再設定したことが障害を取り除いてくれたことになったのでしょうか。
この先もKindleで読書を続け、もしも今回と同様の現象が起きた場合は、再び同じような手順で様子を見ることにします。