世界のマスメディアに呆れられています。日本のマスメディアをはじめとする、社会に影響力のある人は大丈夫ですか?
今何も行動を起こさなかったら、日本という国は、金と力を持つ人であれば、自分の好みの人間を「性的奴隷」にしても何のお咎めもない国なのだと海外で認識されてしまいます。
『週刊文春』が先週と今週の二週続けて特集を組みました。日本のマスメディアで大きな影響力を持つ芸能事務所「ジャニーズ事務所」(1975~)の経営者だったジャニー喜多川氏(1931~2019)が生前に行った数々の悪事が、当事国の日本ではなく、英国のジャーナリストによって暴かれ、英国のBBCがそれを扱った番組を放送したことを伝えています。
本来であれば大きなニュースになるところ、日本のマスメディアは口裏を合わせるように、だんまりを決め込んでいます。
日本のテレビ局と新聞社は、ジャニーズ事務所とのつながりが深いです。NHKは、年末の紅白歌合戦の司会にジャニーズ事務所所属のタレントを起用することが続いています。
私は紅白歌合戦は見ませんが、漏れ聞く情報で、そのような状況であることをそれとなく知っています。
日本の映画界も、観客を呼び込む戦略として、ジャニーズ事務所所属のタレントを出演させ、その作品を、テレビや新聞で大々的に報じることをします。
その裏で、長年にわたり、ジャニーズ事務所所属の男性タレントらが、ジャニー喜多川氏から性的被害を受けてきました。
私は『週刊文春』を買って読むことはしていません。しかし、その事務所の悪い噂は昔からネットで取りざたされ、それが事実であろうと考えてきました。
仮に、ある一流企業の社長や役員が、自分の欲望を満たすため、女性社員を「性的奴隷」にしていることがわかったら、マスメディアは報道しないで済ますでしょうか。
テレビのワイドショーは早速その企業に乗り込み、関係者に取材をするでしょう。新聞も連日のように、その性犯罪を大きく取り上げるはずです。
ところが、同じ性犯罪が行われている情報が昔から噂されながら、そのような報道はまったくありませんでした。
報道機関ばかりでなく、それが、当人が望まない行為であれば、犯罪性を問うこともできるはずですから、警察が捜査に動かなければならないところですが、不思議なことに、警察が動いた気配がありません。
また、世の中の様々なことに意見を述べることが多い、いわゆる識者らが、この問題を取り上げることもありません。なかでも、性問題を日頃取り上げる識者であれば、当然のことながら、この事務所の問題は前から耳に入っているはずで、知らないわけはありません。
結局のところ、マスメディアは、この事務所と関係を持たずに番組や紙面を作るのが難しいことから、それに事件性があったとしても、見て見ぬふりを長年にわたってしたということでしょう。
警察と識者は、この事務所との関係を断っても問題がなさそうなのに、そうしなかったのには疑問が残ります。
識者の場合は、この問題に口を挟むことで、テレビや新聞に事務所の方から圧力がかかる、といったことが考えられなくもありません。
そのようなことから、『週刊文春』の報道があってからも、日本の関係筋には変化が現れませんでした。そのことに業を煮やしたように、この問題を取材したジャーナリストとBBCで放送された番組のプロデューサーが、日本外国特派員協会で行われた記者会見にZoomを介して参加したそうです。
それを伝える記事によれば、会見に集まった記者は40人ほどで、テレビカメラは3台だけだった、とあります。
私は海外の映画やドラマ、マラソン、駅伝、高校野球、将棋対局など以外はテレビを見る習慣がありません。それでも、新聞のテレビ欄には目を通しており、この事務所に所属するタレントが、この報道があったあとも、今までと変わりなく、テレビに出演しているらしいことを知っています。
今は野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で大騒ぎしています。私はこのイベントにはまったく興味がなく、早く終わってくれるよう願っています。試合はもちろん見ませんし、新聞でこのイベントを伝える記事は、極力、視界に入らないようにしています。
「侍ジャパン」などといういい方も好きではないですね。いつまで侍のイメージに頼っているのだろう、と。それ以降、海外で日本人のイメージとしては「働き蜂」ぐらい(?)でしょうか。
といって、「働き蜂ジャパン」では恥ずかしいですからね。
このイベントが始まる前、日本のチームがプロ野球のチームと練習時代をしていますが、それを中継するテレビ朝日は、事務所に所属するか、あるいはその事務所から独立したかの男性タレントを、野球の試合なのに、ゲストで呼んでいたと記憶しています。
そのような演出をするから、私はこの手のイベントに興味を持てないのです。真のスポーツであれば、真剣勝負の試合そのものを淡々と伝えればいいのであって、余計な味付けはいりません。
朝日新聞にしても、ジャニーズ事務所に所属し、今は独立した男性タレント、香取慎吾(1977~)を、パラリンピックのイメージキャラクターのように使っています。
大会が終わった今も、身障者のスポーツを取り上げる時は、彼に登場させて記事を作っています。
朝日新聞がそのつもりであれば、香取氏に直接取材をして、実際のところはどうなのか、具体的な話を訊くこともできるでしょう。少年時代に嫌なことをされたのであれば、もしかしたらそれが彼にトラウマとして残っているかもしれません。
一般の人の中に、彼と同じような体験をした人がいることがわかったら、朝日は取材して、記事にせずにはいられなくなるでしょう。もちろん、その人は仮名で伝え、彼がされた被害を伝えることで、世間に、その問題の悪質さを訴えるでしょう。
その取材対象にふさわしいかもしれない人が、自分の社のイメージキャラクターとして深い関係を持つのですから、その立場からも、彼に話を訊いてみてはいかがですか?
それもせずに、世の中でそうしたことが発覚したときだけ執拗に報道するのでは、ダブルスタンダードといわれても仕方がありません。
このことだけでなく、マスメディアがダブルスタンダードであることは、人々に知れ渡りつつあります。私は前々からそのようにマスメディアを見ており、信用していません。
マスメディアで活躍する識者というのもかなりいい加減な人が多く、触らぬ神に祟りなしとばかりに、こうした問題には口を挟みません。
発言に影響力のある人は、見て見ぬふりをするのではなく、いうべきことはどんなことでもいってこそ、世間で尊敬を集めるのではありませんか。
自分の都合のいいときだけ偉そうなことをいうのでは、マスメディアと同じで、軽蔑の対象にしかなりません。
世界が日本のマスメディア、警察、識者の動向を見ています。毅然とした対応を期待します。
これだけ迫られても何もしないというのでは、日本は「性的奴隷」が許される国と世界から見られてしまいます。
私は彼のことはこれまであまり知りませんでしたが、ジャニー喜多川氏のことは、前から関心を持ち、彼を叩くような動画をYouTubeに上げていたようですね。
とすれば、ジャニー氏と関係が深いマスメディアが、ジャニーズ事務所に成り代わってガーシー氏に反撃していたという面が無きにしも非ず、という気がしないでもありません。