二日連続となる日本人二人のノーベル賞受賞決定のニュースは、最近停滞気味の日本に久方ぶりの明るいニュースとなりました。
お一人目は小柴昌俊さんで、カミオカンデ、スーパーカミオカンデという大がかりな実験装置を使い、ニュートリノの研究をされている東京大学名誉教授です。
門外漢の私には、「ニュートリノ」も「スーパーカミオカンデ」も名前は聞いたことがありましたが、実際にはどんなものなのかはよくわかりませんねぇf(^_^;)
そんな私からは、ノーベル賞を受賞されるような方は、子供の頃から優秀で、神童だったのではと思いきや、ご本人がおっしゃることには、むしろ出来の良くない子供だったというのですから意外です。
それはともあれ、書物に書かれていることを鵜呑みにするのではなく、何でも自分で実験して確かめてみないと納得できなかったという性格が、その後の成果につながったといえそうです。
もうお一人の田中耕一さん(43)はさらに異色の存在です。現在は島津製作所という民間の企業で現役のサラリーマン生活を送られています。
事前に受賞の話は全くなかったそうで、突然の受賞決定で、普段着ているという作業服姿のまま記者会見に望んだのが印象的でした。
今日の朝日新聞には、そんな田中さんの人となりを、夫人の裕子さん(37)のお話で特集記事にしており、興味深いです。
以下がそのお話の要点で、田中さんの人物像が見えてきます。
- 夜は必ず7時30分に帰宅。晩酌は1日おきに缶ビール1本。
- お風呂は短い。10分ぐらい。
- 趣味はほとんどない。音楽もドライブの時ぐらい。
- お見合い結婚。第一印象は優しそうな人。とても柔らかそうな感じ。
- 新婚旅行は東京。東京タワー、浅草寺へ。箱根、熱海へも。楽しかった。
- 財布は主人。私がお小遣いをもらってます。
ご自宅は会社まで私鉄で20分ほどという京都市内のマンション4階だそうで、田中さんは毎朝6時から6時半に起き、前日に近くのパン屋で買っておいたパンと、飲用ヨーグルトか豆乳で朝食を摂るそうです。ちなみに好みのパンは、チーズやソーセージがのった調理パンで、少し辛目がお好きだそうです。
なお、奥様が朝食を作らないのは手抜きからではなく、田中さん自身が「自由な時間に起きて、自由に食べるのが好き」だからだそうですので念のため。
帰宅時間にしてもそうですが、田中さんは何事もご自分のペースで進めることがお好きなようです。
面白いのは田中さんのファンション感覚で、ほとんど関心がないようで、判で押したように奥様が買った綿のズボンとシャツとで通勤されているのだとか。もちろんサラリーマンですから背広も夏、冬物をそれぞれ2、3着ずつ持っているそうですが、年数回の外回りの時以外は袖を通すこともないそうです。
10月11日に行われた記者会見では次のようなユニークなコメントも残しています。
気がかりなのは、授賞式は正装で、妻もドレスを着て、ダンスまでしないといけないそうで、勘弁して欲しいと思いました。
毎晩7時半にはこれまた判で押したように帰宅し、その後晩酌と食事を摂るそうです。食後の入浴はいわゆるカラスの行水というヤツで、10分ほどでサッと出てきてしまうとか。結婚当初は「早すぎる」とも思ったそうですが、今ではそれが当たり前で気にならなくなったようです。
就寝時間の11時までは、裕子さんはあとかたづけをし、かたや田中さんはテレビをのんびりと見て過ごすなど、一般的な人と全く変わらない日常を送っていらっしゃるようです。ちなみに見るテレビ番組ですが、関西系のお笑い番組もよく見るそうです。
ご本人曰く「小学生の頃は電車の運転士になりたかった」とのことで、東京での記者会見のために初めて「新幹線のぞみ」に乗れたことを喜んでいたそうです。
出張で、のぞみは高いので(乗れません)
田中さんのエピソードを読んでいますと、ノーベル賞という華々しい話題とは無縁のような質素な生活ぶりが浮かんできます。
ともあれ、本人も奥様も全く予想もしていなかった今回の受賞で、一躍時の人となってしまいました。
お二人のもっかの関心は、「今週末、どうやって自分たちの身を隠そうか」ということだそうです。何事においても目立ちたがりな人が多い現代にあって、何とも質素なご夫婦ではありませんか。
受賞パーティの心配はともかくも、今回の受賞おめでとうございます、といわせてもらいたいと思います。