照ノ富士の復活Vに思う

この日曜日(2日)、大相撲7月場所が幕を閉じました。私は、結果だけを翌日の新聞で知るだけでしたが、照ノ富士春雄関には密かに注目していました。

その照ノ富士関が千秋楽に勝ち、優勝決定戦を待たずに優勝に輝きました。

翌日の新聞各紙は、照ノ富士関の優勝を「復活V」といった形で報じています。

家では朝日新聞ほか、日経、産経、地方紙の4紙をとっていますが、同様に報じる紙面を流し読みし、本質に迫れない新聞の限界を感じました。

照ノ富士関は将来を期待され、その期待に応え、5年前の夏場所では、大関で優勝しています。その活躍を見て、近いうちに横綱になることが予想され、それは難しくないと考える人が多かったでしょう。

しかし、人生はいいことばかりではありません。それが、照ノ富士関に象徴的に起こりました。

私が記憶する限り、きっかけは、稀勢の里寛関(現在は荒磯親方)との取組にあったように考えます。この考えは、本コーナーで一度書きました。

しかしその投稿は、そのあとに行った独自ドメイン取得の際、私の手違いで移行が上手くいかず、消えてしまい、今は残っていません。

それを自分で確認すれば、それが何年のどの場所かわかりますが、今は、私のだいたいの記憶だけで振り返ります。ですので、それが何年のどの場所で起きたことか、不明確のままであることをご了承ください。

照ノ富士関の転落に大きく影響するのは、モンゴル出身であることです。

今回の優勝にしても、これが日本人力士で、照ノ富士関と同じように、一度は大関から序二段の力士まで落ち、その後、幕内力士にまで復活し、復活した場所で優勝を果たしのであれば、扱いは照ノ富士関の何倍にもなったでしょう。

マスメディアは、外国人を排除する考えや動きを厳しく非難します。ところが、同じマスメディアが、自分たちの報道で、非難に値するような過ちを犯しています。

私のこの指摘に反発するのであれば、すぐ上で書いたように、日本人力士と同じぐらい、照ノ富士関の快挙に喝采すべきです。

大相撲も、精神的な影響を抜きには語れません。

昨日の朝日新聞の一面に載っていた記事を参考にしていますが、照ノ富士関が番付を落とした理由を記事で次のように書いています。

左ひざの半月板損傷、糖尿病肝炎。両ひざを手術し、4場所休場。昨春、復活して土俵に戻ったときには序二段48枚目まで落ちていた。

記事に書かれていることが番付を落とすことにつながったことは間違いないでしょう。しかし、そのような怪我や病気が起こる前、精神的に大きなショックを受け、それらがそのあとの不調につながったように私は考えるのです。

そのきっかけが、すでに書いた稀勢の里との取組です。

それが、照ノ富士関が前回幕内優勝した5年前の7月場所であったかどうかは確認していません。

問題の場所で、照ノ富士関は稀勢の里関と優勝争いをしていた記憶があります。

そんな中にあり、照ノ富士関は、場所の終盤で、ある力士と対戦して勝ち、優勝争いに踏みとどまりました。正確な決まり手は知りませんが、照ノ富士関が立ち合いで変化を見せ、相手がバランスを崩したあと、引き落とすか押し出すかして勝ちました。

場所が開かれている館内で応援するファンは、どうしても、日本人力士に肩入れします。その場所は、照ノ富士関が稀勢の里関と優勝争いをしていたため、場内の多くのファンは反応が大きくなり、照ノ富士関が「汚い勝ち方をした」と大きなブーイングに包まれ、中には「モンゴルへ帰れ!」と汚い野次を飛ばす者までいました。

照ノ富士関が勝ったあとの取組だったか記憶にありませんが、優勝争いに踏みとどまりたい稀勢の里関が、同じように、立ち合いで変わって相手のバランスを崩し、その勢いで勝利を手にしています。

照ノ富士関の勝ち方を「汚い」と非難した場内のファンが、同じように非難されるかと思いきや、掌を返したように、称賛し、場内が割れんばかりの歓声に包まれたのでした。

同じ決まり手であったのに、日本人力士とモンゴル出身の力士ではファンの反応が180度違いました。

それを見たモンゴル出身力士は、ショックを受けただろうと思います。

また同時に、彼らの意識は結束し、「負けるものか」と日本人力士へ闘志を燃やしたでしょう。中でも、依怙贔屓されたように見られた稀勢の里関へは強い敵愾心を持ったはずです。

このことが、そのあとで稀勢の里関の大きな災厄となります。

同じモンゴル出身の横綱だった日馬富士公平関が、久しぶりに日本人の横綱となった稀勢の里関と対戦した際、死に物狂いで稀勢の里関を攻め、土俵下に突き落とされた稀勢の里関が脇腹を傷め、その後、結果的には早期の引退につながる大怪我となりました。

それとは別に、巡業先の鳥取で、日馬富士関が同じモンゴル出身の力士に暴力を働き、それを理由に、引退に追い込まれる出来事が起こりました。

それが起きたのはモンゴル力士が集まる場所で、そこに、照ノ富士関も参加しています。

マスメディアがこの騒動を取り上げ、盛んに煽り報道をしました。

モンゴル出身力士への風当たりが強まり、その原因を作ってしまったのかもしれない照ノ富士関は、精神的な負担を受け、それが、怪我や病気を引き起こしたといえなくもなさそうです。

公明正大を旨としなければならないはずのマスメディアが、日本人力士贔屓のファンに沿うように、モンゴル力士を非難する論調を採りました。

嫌気がさしたのでしょう。番付が急降下した照ノ富士関は、何度も引退を考えたそうです。

大相撲の世界は上下関係が厳しく、幕下以下の力士には給料が出ません。相撲を取る時間、場内の観客はまばらです。大銀杏も結ってもらえず、ちょんまげ頭のままで相撲を取ります。

大関まで上がって幕内優勝し、まもなく横綱かと目されていた照ノ富士関に、これ以上の屈辱はなかったはずです。

そんな”地獄”を経験したのち、幕内へ戻り、優勝賜杯を手にしました。モンゴル出身の力士であっても、あっぱれというべきことです。

新聞やテレビが照ノ富士関の復活Vを取り上げるのであれば、そのあたりのことも記事に含め、読者に届けるべきではないでしょうか。

そうした記事が私の目には入らなかったため、本投稿となりました。

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