2020東京五輪の開幕までちょうど半年になったことを、昨日の午後6時台に放送された関東ローカルニュース「首都圏ネットワーク」で伝えていました。
日本という国はどうしてこうも杓子定規なことが好きなのでしょう。五輪会場となる東京のお台場に、五輪の輪の巨大なモニュメントを設置し、それに初めて点灯する記念式典を「首都圏_」で生中継していました。
開催都市の知事である小池百合子氏やJOCの山下泰裕会長らが、「10、9、8、7」のカウントダウンのあと、大きなスイッチを一緒に押し、モニュメントにライトが点灯する段取りです。
こんなことにどんな意味があるのでしょうか。また、これをわざわざ生中継するのもどうかしています。
それを見せられた視聴者が、「五輪がいよいよ迫って来た!」とわくわくするとでも勘違いしているのでしょう。
私はこの時間のニュースは、本サイト内にある“天気コーナー”「天気の話」を更新する都合がある関係上、気象情報を得るためだけに利用しているだけです。
しかも、私は東京五輪にの開催には反対です。今からでも、中止できるのならそれに賛成します。そんな私から見ますと、五輪のモニュメントへの点灯など、馬鹿らしいだけです。
テレビや新聞の大手マスメディアは、五輪を絶好の商機と考え、盛り上げることに必死です。
半年後に近づいた五輪の開会式で選手が着る公式服が決まり、それを大々的に紹介しています。その服がどんな評判か気になるようで、今日の朝日新聞は、「五輪公式服『ニッポンを纏う』、評判は?」と題して伝えています。
今回は、紳士服メーカーの「AOKI」が担当したそうですが、日の丸(日本の国旗)の紅白を上下に配した服にしています。
私は、これも「首都圏_」で初めて見たように記憶していますが、一目見て、駄目だと感じました。
細かく見ていきますと、ジャケットは白色ですが、真っ白というよりも、幾分明度を下げたような白色に私は感じます。
下に着るシャツも白色ですが、近づいて見ると、細い赤のストライプが入っており、少し離れたところからはピンクっぽく見えます。ネクタイはありません。
ちなみに、シャツはボタンダウンです。専門家の話では、ボタンダウンのシャツというのはカジュアルで、公式の場にはふさわしくないそうです。もっとも、そんなことをいったら、シューズも公式の場に適さないスポーツシューズですが。
シューズに関してですが、今回採用されたシューズを画像や映像で見る限り、ボテボテしているように見えます。学生が履くようなシューズですよね。シューズは底が薄く、平らであるほうが足元がしまって見えるように個人的には感じています。
日本では、2005年に、当時、環境大臣をしていた小池氏百合子氏が主導する形でクール・ビズを導入し、今ではそれがビジネスマンの夏服の基本となりました。
それにより、夏季はネクタイをしないビジネスマンが主流となりました。国会議員もその時期はノーネクタイです。
私は組織で働いたことがなく、ネクタイとは無縁の生活です。そんな私ではありますが、みんなが揃ってノーネクタイというのが、だらしなく見えます。
だらしのない恰好をする私がいうのもなんですが、服装というのは、自分のために整えるものではなく、対する相手にするものだろうと考えます。
クール・ビズが主流であっても、自分の頭で考え、ネクタイが必要と考えれば、しっかりと結ぶことも必要でしょう。
今回決まった五輪の公式服も、夏の大会だからクール・ビズスタイルにしたのでしょうが、胸元にネクタイがあれば、もっとしまって見えたでしょう。
個人的に問題に感じるのはズボンを深紅(猩猩緋)にしてしまっていることです。
デザインした人は公表しない決まりになっているようですが、デザインの過程で、ズボンの赤が強すぎるとは考えなかったのでしょうか。
どうやら、日の丸の赤と白にこだわり過ぎたようで、本来であれば締めるべきポイントであるベルトとシューズを白色にしてしまっています。
仮に、ベルトとシューズを別の色にすれば、違った印象になったものと思います。
それにしても、ズボンやスカート、キュロットの深紅はきつすぎますね。ジャケットが白色ですから、コントラストが強すぎます。
派手な色を取り入れるのは悪くありませんが、派手であればあるほど、ワンポイントに使うのがオシャレのコツです。
それなのに、広い面積を占めるズボンやスカート、キュロットを真っ赤に染めてしまうと、重い印象になってしまいます。
今はカラーが基本ですが、新聞ではときに白黒図版で報じる場合もあるでしょう。白と深紅が白色図版になると、上が白で下が黒く見えるかもしれません。

1964年の東京五輪のときの公式服も同じ配色ですが、そのときは、ジャケットを深紅、ズボンを白色にしています。しかも、胸元はネクタイで締めています。
前回と今回を比較すると、前回のコスチュームに軍配を上げざるを得ません。
洋服の配色でまとまりやすいのはツートンカラーです。具体的には、同系色の濃淡を合せた配色です。
日の丸の赤と白をどうしても採用したいのであれば、赤は控えめに使うべきでした。
私がデザインを担当するのであれば、ジャケットは今回の白色でもいいでしょう。また、シャツも白で構いません。
問題は、ズボンとベルト、シューズ、それからネクタイの色です。
白いジャケットとシャツを合せたうえで、胸元に深紅のネクタイを結ばせるというのはどうでしょう。ネクタイだけであっても、深紅はきつすぎるでしょうか。
悩むのはズボンの色です。試作品を作って実際に着せてみないと何ともいえませんが、ここでツートンカラーの配色を持ち込み、明るいグレーか、赤みを感じさせる明度をやや下げた色にしたらどうでしょうか。
その場合は、ベルトとシューズを黒っぽいものにするのが良さそうです。
どんなデザインに決まっても、それが馴染む人と馴染まない人に分かれてしまいます。
今回の公式服を選手たちが着て写真に納まっていますが、その中で、重量挙げの三宅宏美選手は、似合わない典型のように私には見えます。
この選手は背丈がなく、それに対して頭部が大きいため、子供の体形に見えます。その体形を紅白の服で纏い、ちんちくりんに見えて仕方がありません。
欧米のスラっとしたモデルがこの公式服を着たら、それなりに格好よく着こなしてしまうのかもしれません。
話の筋を逸れて絵の話を少しします。
日本人の人物画を描くとき、気を付ける部分はどこだと思いますか?それは、髪の毛の色です。
中年ぐらいまでの男女であれば、人工的に染めていない限り黒です。しかし、だからといって黒の絵具で髪の毛を描くと、その部分が重く感じられてしまうのです。黒という色が強すぎるからです。
それを緩和するため、モデルが真っ黒の髪の毛をしていても、黒い絵具だけを使わず、他の色を加えて印象を和らげることをします。
同じ意味合いで、今回の公式服のズボンやスカート、キュロットに採用された深紅も、配色としては強すぎ、他の色に馴染みません。そのあたりのことをわかっているはずの専門家が、これを選び、決定してしまったことが残念です。
はじめに書きましたように、どうしても日の丸の紅白を使いたいのであれば、白色を基調にし、赤は隠し味として使うべきでした。
1964年の公式服は、女子はネクタイがなく、男子も真っ赤なネクタイではなく、結ばれる部分は黒っぽい色で、白の線を斜めに入れ、その下に赤を使う心遣いを見せています。
デザインセンスとしては、今回より上と思わざるを得ません。
ひと口に赤色といっても、明度や彩度をわずかに変えることで、実に様々な赤色にすることができます。たとえば、下のような赤色はどうでしょう。
日の丸の赤とは色味が違いますが、これぐらい明度と彩度を下げれば、ジャケットの白色とも合わせやすいかもしれません。