手をかけさせる人生 かけさせない人生

NHKの有名なアナウンサーだった鈴木健二氏(19292024)が3月29日、老衰で亡くなりました。享年は95です。

若い世代は鈴木氏の全盛時代を知らず、亡くなったことを知っても、身近に感じることはないでしょう。

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鈴木氏の兄が映画監督の鈴木清順19232017)であることはよく知られています。清順も93歳で亡くなっていますから、長命な家系になりましょうか。

殺しの烙印(冒頭)

鈴木氏の訃報を知り、思い出すことがあります。

ずいぶん昔の話です。テレビ番組に鈴木氏が出演し、思い出話をしました。その頃にはもしかしたらNHKを辞め、一線を退いていたかもしれません。

その時鈴木氏が話したのは、小学校の同窓会のことでした。当時の同級生が集まり、学級担任の先生と当時の思い出話に花が咲いたのだろうと思います。

先生は当時を思い出し、クラスの一人ひとりの思い出話をしたそうです。そんな輪の中で、鈴木氏は孤独を感じたということでした。

勉強ができない生徒で、先生を困らせてばかりの生徒がいました。先生は当時を懐かしみ、誰々君はこんなことをして、先生は本当に困ったよといい、成長した当時の腕白坊主と笑い合います。

親は、手のかかる子ほどかわいいといいます。私も手のかかる子供で、両親や8つ上の姉には、随分手をかけさせました。

母は1992年に亡くなり、今年は33回忌の法事が予定されています。また、父と姉は2000年に亡くなり、今年で24年になります。

いずれも、オリンピック年に亡くなったことに共通点があります。1992年にはバルセロナ五輪、2000年はシドニー五輪が開催されました。

パリ五輪がある今年、何事もなく過ごせればと思っています。

そういえば、自転車で急坂を下る途中、おそらくは転倒して頭部を強打し、急性硬膜下血腫で生死を彷徨ったのも、アテネ五輪が終わった2004年8月末でした。

ともあれ、このようなわけで、私が手をかけさせる人がひとりもいなくなり、物足りないことこの上ありません。結婚したら、結婚相手にその分も含めて手をかけさせたでしょうが、幸か不幸か、私は未だに独身であります。

私のことは抜きにして、小学校時代の鈴木氏は手のかからない子供だったのでしょう。勉強もおそらくでき、申し分のない子供だったのかもしれません。

それだからか、先生は当時の鈴木氏との思い出をほとんど持っていなかったようです。そのことを、鈴木氏は寂しかったと語っていたように記憶します。

それだから、残りの人生は多くの人と関わりを持ち、自分の葬式には多くの人が来てくれるような人生にしたと話していたように思います。

鈴木氏のその願いは叶えられなかったかもしれません。

鈴木氏の訃報を伝える記事には、喪主を妻が務め、近親者だけで葬儀をしたとあるからです。

鈴木氏が亡くなられる頃、どんな状態にあったかわかりません。人生を振り返ることがあったら、どんなことが頭に浮かんだでしょうか?

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