秋月砲術隊を伝える番組

「建国記念の日」を含む三連休の初日であった10日の午後、突然インターネットにつながらなくなったことは、それが復旧した日の本コーナーで書きました。

ネットにつながらなくなった原因は、家に通じている光ファーバー回線が、途中で物理的に断線したことです。これが起きたのが連休中であったことが、復旧に時間を要す結果となりました。

ネットにつながらない時間を丸四日ほど持ったため、その間は、録画して見ていなかったテレビ番組などを見て過ごしたりしました。

その中に「よみがえる新日本紀行」があります。これは、昔に放送された「新日本紀行」をデジタル技術で修復して現代によみがえらせる番組です。番組の後半では、過去に取材した現地を再訪し、今の様子を伝えることもしています。

昨年まではNHK BSプレミアムで毎週土曜日の午前5時30分から放送していました。それが新年からは、BS1とBSプレミアムがNHK BSひとつに統合された関係で、毎週水曜日午前11時からの放送に変わりました。

連休が始まる週の7日は、「甦った砲術 福岡県・秋月」が放送され、それを録画したものを見ました。「新日本紀行」でこの回が放送されたのは昭和54(1979)年です。

歴史に詳しい人であれば、このタイトルを見ただけで福岡藩の支藩にあたる秋月藩に関連することがわかるでしょう。私は歴史に不案内のため、秋月藩のこともまったく知りませんでした。

しかも、この録画を見たのが、冒頭で書いたようにネットにつながらないときだったため、すぐにネットで調べることもできない状態でした。

ネットにつながったあと、録画した番組で見た秋月のことを調べました。

福岡には、黒田藩とも俗称される福岡藩があり、その支藩として秋月藩がありました。その藩で、戦の先制攻撃用に使われたのが、大きな鉛玉を発射する大筒です。

おぞらくは、現存したその種の大筒としては最も重いものが、秋月藩で使われた大筒になりましょう。

城門や城壁を打ち抜くのに用いられ、それと同時に、鉛玉を発砲するときに生じる大響音は、敵陣を威嚇する効果も持ったでしょう。

番組によれば、寛永15年には「島原の乱」でも、この鉄砲を使う砲術隊が出撃したとのことです。

大筒の長さは1メートルほどです。これがおそらくは鉄の塊で、主さが30キロもあるということです。火縄銃の一種で、ひとりで大筒を抱えるようにして発砲します。

明治維新のとき、明治新政府に不満を持った秋月の砲術隊が反乱を起こした「秋月の乱」1876)が起きたそうです。この乱は秋月の惨敗に終わり、反乱軍は「山河に散った」と番組では伝えています。

その中で、砲術隊の隊長だった今村五郎三郎は、傷を負いながら、山をひとつ越えた隣村に逃げ込んだそうです。そして、その村にあった農家に匿われ、生き延びることができたそうです。

恩義に感じた今村は、その農家に大筒を置いていき、しかも、撃ち方を教えていったそうです。

時が流れ、番組が放送された8年前といいますから、昭和46(1973)年、突然のように、ひとりの男性が秋月に現れます。

その人は縄田勇造といい、かつて、秋月藩砲術隊の今村を手厚く看護した農家の子孫だということでした。

縄田は、村の青年たちを集め、代々伝わる砲術の技術を是非とも教えたいと尋常でない熱心さで青年たちに教え始めたそうです。そのことで、秋月に、砲術を保護する保存会ができ、今にそれが続いているということです。

縄田から直接手ほどきを受けたひとりに、篠原さんという男性がいました。彼は郵便局員で、普段は自転車で郵便配達をしています。

彼は身長が158センチ、体重50キロと、メンバーの中で最も小柄です。その彼が、ほかの仲間に混じり、30キロの大筒に挑戦する様子が描かれています。

火薬を使って鉛玉を発射し、そのときの反動がもの凄いなど、怖くてしようがないそうですが、縄田に教わった砲術の技術を守るひとりに加わっています。

番組が放送されて43年後の2022年、番組の舞台となった秋月を再訪し、今の様子も伝えています。

その中に、72歳になった篠原さんの今の姿もありました。彼は今も保存会に所属し、今は、後輩たちに大筒の構え方などを指導する立場です。

保存会は、毎年1月10日に大筒の撃ち初めをするということですので、今年のその日にも、地域には大きな音が鳴り響いたでしょう。篠原さんも、撃ち手のひとりとして参加したのでしょうか。

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