2009/06/29 新作動画「ペインティング動画・朝海ひかる 篇」完成

この土日の2日間をかけ、私はまたある作業をしていました。行動パターンに偏りのある私がこのところ偏りを見せて行動している動画作成作業の一環です。

今回は、本サイト内で自作のポートレイトを紹介する「ポートレイトの小箱」(現在、このコーナーはありません)のためのポートレイトを一枚仕上げるまでの一部始終をデジタル・ビデオカメラで収録し、それを動画にしてみました。

これまでにも何度かそのような制作風景を動画にしていますが、問題はどのような撮影スタイルを採るかです。

誰か別の人が撮影を代わってしてくれるのなら、こちらとしては絵を描くことに専念できますが、そんな人はいませんし、第一、そんなことをされたら気が散って絵が描けません。

かといって、描きながらビデオカメラを廻すというのも想像以上に大変で、虻蜂取らず(あぶはちとらず:あれもこれもとねらって一物も得られない。欲を深くして失敗するのにいう=広辞苑)の結果に終わってしまいかねません。

私は一番単純な方法で臨みました。ビデオカメラを三脚に固定し、描画の一部始終を撮影し、それをそのまま動画にして紹介しよう、というものです。

今回、本サイト内「ポートレイトの小箱」のために選びましたのは、宝塚歌劇団雪組のトップスターだったという女優の朝海ひかるさんです。といいますか、あいにく私は宝塚のことは疎いため、朝海さんも存じ上げていませんでした。

新聞に載った朝海さんは、斜め左を見上げるようにして写っていましたが、その写真がなかなか雰囲気よく、それを今回の素材に選びました。

描き始めたらあとはビデオカメラを廻しっぱなしです。が、実際には一時停止と再スタートを繰り返しています。このことは動画の中でもお話ししていますが、「ポートレイトの小箱」のポートレイトを描く際、私が使う絵具はアクリル絵具です。

これはアメリカ生まれの絵具で、当初はデザイナーやイラストレーターの使用目的に合わせて生まれたようです。そのため、塗ったばかりの絵具がすぐに乾いてくれるのが大きな特徴です。

この絵具は、水彩絵具のように、水で溶くことができます。ですので、絵具分に含まれた水が蒸発してくれればすぐに次の絵具を塗り重ねることができます。

長い歴史を持ち、数々の名作を生み出すのに用いられた油絵具は水性の絵具とはまったく逆の性格を持ちます。油分で練られた絵具の練りを弱めるのに水は用いることができません。

そのため、油絵具を描くのに用いる溶剤は油になります。油は水と違って水蒸気となって蒸発してくれません。油は長い時間をかけて重合という化学反応(重合反応)を起こし、厚く塗られた絵具も少しずつ固着していきます。そうした性格を持つため、塗り重ねる作業の間には時間というメディウムが必要になります。

すぐに乾かない油絵具の性質は不都合なことばかりではありません。パレットの上でいつまでも練りの柔らかな絵具は、それを使う者には柔軟な態度で、長い時間をかけてカンヴァスへ向かえます。

こうした油絵具とは反対にすぐに乾燥してくれるアクリル絵具は、短時間で作品を仕上げなければならない、たとえばデザイナーやイラストレーターには重宝な画材となりました。

このアクリル絵具を、今は画家でも用いる人がいます。技法にこだわらない画家の横尾忠則1936~)も、「画家宣言」されてしばらくは油絵具を使って描いたようです。

横尾は、今はまたアクリル絵具に戻った、という話を聞きます。速描きの横尾にはアクリルの速乾性が合っているのでしょう。

この速乾性の話につながるのですが、ひとしきり絵具をつけ、次の絵具をつける前に乾かしたいとき、私はドライヤーを使います。

ドライヤーで乾かしている間はカメラを一時停止の状態にし、次に描き始める前にスタンバイを解除することを繰り返しました。

そのようにして撮影された総時間は約【1時間30分】で、録画に用いたminiDVテープに【LPモード】で録画して1本にちょうど収まるような時間でした。今も書きましたように、一時停止と再スタートを繰り返してこの時間ですので、実時間は2時間ぐらいになるものと思われます。

収録が済んだ映像はすぐにPCに取り込んで編集です。

今はビデオ映像の編集が非常に手軽になりました。PCが一般的になる以前、ビデオの編集作業というのは、機材を揃えるのも金額的に大変で、一般個人が趣味でビデオの編集をするのは敷居が高いものでした。そういいながら、私はUマチックのビデオ編集システムを持っていたりしますが。

今回のビデオ編集に私が使った編集ソフトは、Sony Createive Software「Vegas Movie Studio 9 Plantinum Pro Pack」です。

これは使いやすいソフトで私のお気に入りです。ただ一点、編集トラック数が制限されているのが難点で、タイトルの作業をしていますと不便に感じます。そこで、いずれ「Vegas Pro 9」にアップグレードしようと考えています。

編集作業といいましても、今回の動画の場合、シーンを入れ替えたりすることはありませんで、撮影した通りにつないでいるだけです。といいましても、撮影したままの映像を動画に変換しますと、約【1時間30分】の「超大作」になってしまいます。

そんな動画では、作った私自身もはじめから終わりまで見続けるのが困難となりそうです。そこで、再生速度を速め、約【30分】ほどに縮めました。

あとはそれにタイトルとBGM、そして解説のナレーションを入れましたが、その解説も約【30分】ということで、実時間約【30分】の時間がかかり、それを再生して確認するのにも1回あたり約【30分】の時間がかかりました。

ちなみにこの「解説」ですが、台本のようなものはもちろんありません。映像を見ながら、そのときどきで思いついたことをそのまま言葉にしてしゃべっているだけです。

ですので、もし、もう一度同じ映像を見ながらしゃべっても、今回とはまったく違う内容になってしまうでしょう。

このような過程を経て仕上げた動画です。もしよかったら見てやってください。

ペインティング動画 朝海ひかる

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