期待されるイメージのまま生きた高倉健

世の中には「夢を売る仕事」があります。映画俳優はその代表格といえましょう。その後に登場したテレビが国民の娯楽となり、映画は衰退しました。

今は、ネットの動画共有サイトYouTubeが隆盛となり、映像表現が身近になりました。それに相対して、映画やテレビに出演する人が憧れの対象となる比率は低下しています。

これから書くことは、まだ何とか映画が、現実世界を離れた夢の空間と信じられていた半世紀ほど前の話です。

朝日新聞土曜版で映画監督の山田洋次1931~)が担当する「山田洋次 夢をつくる」というコラムがあることは本コーナーで何度となく書きました。山田はほかの執筆者と交代で、3回に1回の割合で担当します。

その27回目が今月16日にありました。その回に語られたのは、1977年に公開された『幸福の黄色いハンカチ』です。テレビで何度も放送されていますので、見たことのある人が多いでしょう。