村上春樹、波と少年の話

作家の岡本綺堂は、怖い話を得意とします。そんな短編作品を集めたものに『青蛙堂鬼談(せいあどう きだん)』があります。

青蛙堂の主人が主催する会に、怪談好きの人々が参加し、一人つずつ自慢の鬼談や奇談を披露する形式を採ります。

本コーナーの前回分で紹介した『西瓜』も、その形式に則って書かれた短編です。

時代が大きく移っても似たような楽しみ方が残るようで、村上春樹の短編でも、話を皆に披露したり、皆の話を聴くのを楽しみにする人々が集まり、ある人が話す話として語られる作品があります。