昨日の本コーナーでは、誰もが厳重に保管されているものと考えていたメガバンクの三菱UFJ銀行の貸金庫から、同行で働く行員により、わかっているだけでも十数億円の金品が盗まれた事件を取り上げました。
これが発覚したのは先月22日です。しかしここまで、同行は記者会見を開いていません。その記者会見が昨日になってやっと開かれました。
私は、記者会見の模様は、翌日、つまり本日の新聞が報道するでしょうから、それで確認するつもりでした。
そんな風に考えていた昨日の午後5時前、何の気なしにYouTubeにアクセスすると、その記者会見の模様がライブで放送されていることを知り、途中からですが、見ました。
私が見たのは、テレ東BIZが配信した中継です。
本日その動画を確認すると、現時点までに215万回の再生回数となっており、人々の関心の高さを窺わせます。
本会見を受け、朝日新聞は昨日に続けて本日も本事件を取り上げています。貸金庫の鍵の扱いなどは、昨日の記事に書かれていたこととそれほど変わりません。ただ、本日の記事で初めて、貸金庫から顧客の金品を盗んだのが同行の女性行員であることを書いています。
その行員は40代で、2020年4月には東京・練馬区の江古田支店に勤務していました。その後、同支店が統合され、練馬支店になっています。そして、今年10月からは、玉川支店で勤務を始めています。
本事件が発覚したのは今年10月です。ということは、同行員が玉川支店に移ってすぐのタイミングとなりましょう。
同行員は、それぞれの支店で営業課長の役職にあり、貸金庫の管理を彼女ひとりに任されていたそうです。貸金庫の鍵は、顧客のほかに銀行側で保管していますが、その保管の管理も同行員がひとりで担い、貸金庫を利用する顧客の対応もほぼひとりでしていたということです。
今年に入ってから、貸金庫を利用する顧客から「貸金庫の中身がない」などの訴えが数件あったそうです。その訴えの対応も同行員がしており、口実をつくって金品を返すようなことをして、発覚を遅らせていた模様です。
そういえば、昨夕見た同行の本事件について記者会見でも、執行役員のひとりにより、そのときのやり取りを説明する場面がありました。
金品が紛失したと訴えた顧客に、自分が盗んだ金品を「これ、金庫室に忘れていましたよ」などといって、金品を顧客に返すことがあったという話でした。
同行の半沢頭取の説明によれば、盗んだお金は投資などに流用したと当人は説明しているようです。
これらの説明を聞くにつけ、本件は、いかにも松本清張(1909~1992)が好みような題材である気がしてきました。もしも存命であったら、本件はかっこうのネタとされたでしょう。
また、貴重品などはすでに換金されたのかとの質問には、まだ捜査の段階だとして、答えられないとしています。
これまでに60人ほどが被害に遭ったとされていますが、本事件が公表されたあと、数十人から被害相談があったということです。
少なくとも四年半にわたり、これだけ多くの人の貸金庫を開け、中の金品を盗んだことがわかったことで、同行の管理体制がどうだったのか、厳しい眼が向けられています。
同行の貸金庫は全国に3000あり、契約数は約13万だそうです。契約数の推移はこの5年ほどで3割ほど減ったということです。今回の事案を受けて、同行の貸金庫の利用を止めた顧客はあまりいないという説明でした。
本事案のあとの対策としては、銀行が保管する予備の鍵は、担当者ひとりに任せず、数人単位のルールに変更したそうです。
また、予備鍵を各支店で保管することを止め、全国に3カ所ある本部で一括管理する方針のようです。
フリーのジャーナリストの質問で、人間はどうしても間違いを犯すのだから、デジタルで管理するようにはできないのかというのがありました。
それに対しては、電気が止まるなどするとシステムそのものが使えなくなることがあるなどから、アナログの部分は残しておきたいという考えを示しました。
これでもしも、他行でも同様の事件があったことが発覚した場合、貸金庫ビジネスの将来は極めて見通しが悪くなりそうです。
