常識を持って使う限り32bit float録音は音割れしない

本日、YouTubeで次の動画を見ました。

【ラジオ感覚でどうぞ】32bit floatにすれば”本当に”音割れしないの??

プロ用撮影機材などを扱うシステムファイブで動画を配信されている「やまもん」氏の動画です。本動画では、「音割れしない」とされている32bit floatについて、ラジオ感覚でおしゃべりされています。

私は、32bit float技術が採用されたZOOMのレコーダーを3種類所有し、用途に応じて使い分けています。

ハンディレコーダーのH1 XLRは、私が昔に購入し、使わない状態にあったコンデンサーマイクのMXL V67を使いたいというのが購入理由でした。

ZOOMのハンディレコーダー H1 XLR

使うといっても私の場合は限られた用途で、V67に向かって私が話した声を収録するだけです。そのテキストとして、本コーナーを更新するたび、冒頭部分を音訳し、それをH1 XLRで録音します。

MXL-V67

H1 XLRに限らず、32bit floatで録った音は、録音時に録音レベルを調節しないので、音声編集ソフトでGainを適切に調節するのを私は前提としています。

音声ファイルの編集に、私はiZotopeのRX 10 Standardを使用しています。

本ソフトにはLoudness Controlがあり、自分が求める出力媒体に合わせたLoudness結果が、プリセットから選ぶだけで得られます。

私が読み上げた本コーナーの音訳を、私は〔Podcast Delivery〕でGain調節します。ちなみに、本コーナーの前日分の音訳は以下のようなものになります。

自サイト「55年前のナレーション音声が実に明瞭」部分音声ファイル

マイクトラックレコーダーのM3 MicTrakは、M/S型マイクがついたレコーダーです。私は自然音などを録るのに主に利用しています。

ZOOM M3 MicTrak

昨日と一昨日は、本コーナーで取り上げたテレビ放送の音声の聴き取りやすさと聴き取りにくさを実際の音で紹介するため、M3 MicTrakを使って、テレビ受像機のスピーカーから発生された音を収録するのに使いました。

本日の早朝、庭に出るとウグイスの鳴き声がしたので、M3 MicTrakを持ち出し、その鳴き声を収録しました。

10分程度録音した音声ファイルから一部を下に埋め込みます。

ウグイスの声(2025.4.16)

本マイクは録音時に、モノラルのほか、ステレオ幅を90°と120°にして録音することができます。録音をすると、ファイルがふたつ生成されます。

ひとつは通常のWAVファイルで、もうひとつがMS-RAWファイルです。MS-RAWファイルは、録ったあとに”M3 Edit & Play”という専用ソフトで読み込むことで、ステレオ幅をあとで変更することができます。

今回のウグイスの声は、そのソフトでステレオ幅を60°にしています。

マイクの90°と120°はそのままのステレオ幅なのかもしれませんが、ソフトで変更できるステレオ幅は、ステレオの片側であるLやRだけの幅といいますか、角度なのではないのか、と個人的に考えています。

もしそうであれば、60°にすると、左右で120°になるのでは、といった考え方です。これは、私の考え違いかもしれません。

M3 MicTrakで録った自然音は、そのままでは小さな音なので、RX10 Standardで調節する必要があります。自然音を説くオンしたとき、私はプリセットの〔Video Streaming Delivery〕を適用しています。

これは、私が自分の趣味としてやっていることで、ネット上で再生させることを前提にしたLoudnessです。

もしも放送で使われることが前提であれば、日本の放送規格の“ARIB TR-B32”でLoudnessさせたりするでしょう。

本ページで紹介した録音のとき、私は入力レベルの調節は一切していません。そもそも、H1 XLRとMicTrakには、それを調節できない造りです。

私の用途でいえば、これで何も不自由しません。このような条件で使う限り、32bit floatで録音して、音割れすることはまず百パーセントありません。

32bit floatを搭載したレコーダーが世間で認知され始めた頃、YouTuberの瀬戸弘司氏(1980~)が、ご自分のチャンネルに上げた動画で、音割れしないとされているレコーダーを音割れさせてやるとする動画を作り、配信しています。

【検証】絶対に音割れさせる男 vs 絶対に音割れしないレコーダー / ZOOM F2

瀬戸氏は、話題作りのためにその動画を作ったのかもしれません。

その結果、すぐに音割れしてしまったと動画で話されていますが、あれは、マイク特性を理解しないで録音した結果にすぎません。

通常のレコーダーで録音するときは、入力レベルを調節し、音割れを起こさないレベルで録音します。32bit float機能を持つレコーダーで、入力レベルが調節できない構造の場合も、同じような注意深さが求められるのは当たり前のことです。

何かの音を収録するとき、わざと音割れすることを求める人はいません。その場に合った特性を持つマイクを用意し、最適な設定にして録音をします。

このような基礎的な知識を持ったうえで32bit float録音を使えば、音割れはまず起きません。それでもそれが起きたとすれば、その機器を扱った人の知識が足りないだけといわざるを得ません。

今回紹介した動画の配信者もそのあたりのことは承知し、マイクの扱い方について語っています。

私が32bit float録音で重宝するのは、大きな音の音割れを防ぐことではありません。その逆で、小さな音を、ノイズをごく少ない状態で収録してくれる性能です。

外界にはさまざまな音が溢れています。しかし、通常のレコーダーではそれをなかなか収録できません。32bit floatで録音し、RX10 StandardでLoudness調整することで、初めて聴こえるような音があります。

そのような目的で私は32bit float技術を利用させてもらっています。

私がこの技術を持つレコーダーを手に入れなかったら、ウグイスの声を収録して見ようとは思わなかったかもしれません。