あなたには、誰かに話して聴かせるような怪談や不思議な体験はありますか?
昨日、YouTubeで次の動画を見ました。
兵庫県尼崎でPC修理のサービスをする「うえもっちゃん」が、過去に体験した実話を、表現力豊かに紹介する動画です。
私は、他人に聴いてもらえるほどの怪談体験があるか、すぐには思い出せません。ちょっとした怪異現象であれば、本コーナーでちらっと書いたことはあります。
あれは小学校へ上がる前の夏の夕暮れ。廊下の窓越しに、家から少し離れた小山の上の空を、何か光るものが漂っているのを見たことがあります。もしかしたら、そのときそばに父がいて、それをふたりで一緒に見たかもしれません。
父はそれを「人魂(ひとだま)」ではないかといいました。誰かが死ぬと、人魂になって、自分の先祖の墓へ行くというのです。
翌日の朝早く、父は見に行ってみるかといって、私を自転車のうしろに乗せ、その光が消えたあたりにある墓地まで行きました。
その頃父が使っていた自転車は、骨組みがしっかりした、とても重い黒塗りの自転車でした。
墓地で何かをしたという記憶がありません。墓地の前を自転車で通り過ぎただけだったのでしょう。
本日、朝日新聞で読者からの投稿を紹介する「声」に、父について書いた投稿があります。
本日分は、「続 怪談・不思議な話」で募集して寄せられた投稿を紹介しているようです。
そこに寄せられた投稿のひとつは、51歳の女性です。その人が、35年前の夏に体験した記憶です。とのとき、女性は高校生でした。
その人は、幼い頃に父を亡くし、父の記憶は、「死に顔と遺影だけ」と書いています。
学校からの帰り、地下鉄のホームで電車を待っています。その人はいつも、最後尾に乗る習慣だったそうです。
駅に停車する電車が、その女性の前をスピードを緩めて通り過ぎていきます。
それが何両目だったか。その人の父が乗っているのが窓越しに見えます。その人は「(父に)間違いない」と思います。
電車が停止してドアが開くとその人は電車に飛び乗り、父がいたあたりの車両まで、駆けていったそうです。しかし、次の駅に着くまでの間に、父に遭うことは叶いませんでした。
その人が見たものが何だったのかはわかりません。それを誰かに話しても、死んだ人が現れるわけがない。他人のそら似だと簡単に片付けてしまうでしょう。
投稿を寄せたその女性は、これからも、その時のことを思い出すかもしれません。そして、思い出すことで、生前に交わることが少なかった父親との時間を過ごせそうな気がします。
私の母は33年前、父と姉は25年前に亡くなりました。亡くなってから33年と25年ですが、今も、父母や姉を思い出します。そして、思い出に浸っているときは、父母や姉と同じ時間を過ごしているように感じます。
私は自転車で走るのが好きです。ふと立ち止まり、何でもない空を見上げるのも好きです。空を見ているだけで、いろいろなことを思い出します。
