現代は多くの人がネットで新しい情報を得ます。私も昨日、アッと驚くような情報に出会いました。
その情報をもたらしてくれたのは下に埋め込んだ動画です。
本動画の配信者は、映像制作会社を運営する桜風涼(はるかぜ・すずし)氏です。ZOOMの32bit floatレコーダーに興味を持ち始めた2022年4月頃、そのレコーダーとそれによる録音の凄さを動画にしてくれていたことで、桜風氏のYouTubeチャンネルに出会いました。
本動画では、ミラーレス一眼カメラなどを使って、本来あるべき動画を撮影するときに必要となるNDフィルターのレビューをしています。
私も昔から映像には興味を持っています。しかし、このところは動画への関心が薄れた状態にあります。写真は毎日のように撮っていますが、動画を撮ることは減りました。
そうであっても、高性能な可変NDフィルターをレビューするということで、最後まで見ました。ただ、私が本動画で得たアッと驚くような情報は、レビューされているNDフィルターについてではありません。
それを伝えた動画の終わりあたりで、桜風氏が何の気なしに触れたであろう事柄です。その部分から始まるよう設定し、同じ動画をもう一度下に埋め込みます。
ご覧いただけましたか? そこでは、次のように話されています。
FX30なんかも、シャッター開角度で仕事ができるようになったから。
それが耳に入ってきた瞬間、大げさにいえば、電気が走るような感覚を覚えました。自分の聞き間違いでないことを確認するため、その部分を何度か繰り返して再生しました。
ミラーレス一眼などを使って本格的に動画を撮る人でも「シャッター角度(シャッターアングル)」が何であるか知らない人や、それがシャッター速度とどのような違いがあるか理解していない人は、桜風氏のこの実に重要な発言にも、素通りしてしまうでしょう。
今のところ、本動画のコメントには、シャッター開角度への反応が見られません。
私は以前から、どうしてソニーは、プロも使うようなシネマカメラを出しておきながら、シネマカメラの超基本である「シャッター開角度」を採用しないのか不思議でならず、本コーナーで何度か取り上げています。
シャッター開角度がどのようなものであるかは、本コーナーで何度か書いていますので、それで確認してください。
それでも、ここでもう一度、簡単に書いておきましょう。
これはフィルムのシネマカメラが、その原理上、どうしてもそれを使わざるを得ない機械式の構造です。
それがデジタルであれば、それを使わなくても、どうにでもなるのでしょうが、フィルムのムービーフィルムで映像を撮影する場合は、回転する円盤型のシャッターがどうしても必要です。
ムービーであっても、写真と同じように、1コマ撮影したあとは、次のコマに物理的に送らなければなりません。その際、次のコマに送る間は、シャッターが閉じた状態にある必要があります。
それをシネマカメラは、回転する円盤状のシャッターで実現しています。円盤すべてが覆われていたら、回転させても、フィルムに光が届かず、感光させることができません。
そこで、円盤の一部を切り取ります。その円盤を切り取った角度がシャッター開角度になります。通常は半円状になっており、シャッター開角度は180度程度です。そうした円盤が1コマの撮影ごとに1回転する仕組みです。
文章だけでどれほどイメージできるかわかりませんが、何となくわかってもらえると思います。
商業映画も今はデジタルで制作されることが多いと聞きます。フィルムで製作された頃は、1秒間に24コマの撮影です。
すでに書いたように、1コマの撮影で、シャッター開角度が180度の半円状の円盤が1回転します。それで、1秒間に24コマ撮影します。
このことから、映像撮影におけるシャッター速度は、1/24秒の2倍の1/48秒になります。
ミラーレスなどで動画を撮る人で、そのあたりのことがわかっている人が使うカメラにシャッター開角度の機能が搭載されていなければ、代替えとして、シャッター速度を応用するしかありません。
24fpsで撮影する人はシャッター速度を1/50秒や1/60秒に、30fpoであれば、1/60秒にするといった具合になります。
シャッター速度を適用して動画を撮る人は、シャッター開角度の機能など必要ないと考えているのでしょう。それだから、これまで、ソニーはそれを採用してこなかったのかもしれません。
しかし、シャッター開角度で、たとえばシャッター開角度180度にしておけば、シャッター速度のことはまったく考えずに動画の撮影に集中できます。
また、シャッター開角度を採用するシネマカメラは、その角度を自分で変更できるようになっています。それを適宜に利用することで、自分が意図する映像表現が可能になります。
シャッター開角度の基本が180度というのは、映像表現に独特の要素をもたらします。
一枚の固定した写真であれば、通常は、被写体の一瞬を切り取ることが主眼となります。動きの激しい被写体の一瞬を切り取るのであれば、何千分の一秒というような、より速いシャッター速度が選ばれます。
それとは反対に、映像は、1コマに映る被写体が写真のように切り取られると不具合が生じます。どういうことかというと、1コマに写った被写体が、ブレもなく写っていると、他のコマとのつながりが悪くなるからです。
フィルムのシネマカメラを作るときにそこまで計算に入れていたかわかりませんが、結果的に、毎秒24コマの撮影のとき、1/48秒のシャッター速度にすると、どんな動きも滑らかに撮ることができます。
このように、シネマカメラにシャッター開角度の機能は必須でした。それがソニーのシネマカメラに採用されていないのが、私には不思議で、それに対する不満を本コーナーで何度か書きました。
その機能が今年の9月半ばにあったファームウェアのアップデートによって実現されていたことを、桜風氏の動画を見ることで、遅ればせながら知ることができたというわけです。
しばらく動画に対する関心を失っていましたが、それを知ったことで、また、動画への関心が高まりそうな気がします。
