道具に使われず道具を使う

私が映像好きであることは本コーナーでたびたび書いています。

私は今は写真も趣味としています。写真も映像ですが、ここで使う映像は動く映像です。静止した映像と動く映像のどちらに先に興味を持ったかといえば、動く映像です。

始まりは、当時、普通の個人が唯一扱えた8ミリ映画を趣味としたことです。

この8ミリからスチルへも趣味の範囲を広げています。その場合のスチルは、ポジフィルム(リバーサルフィルム)で撮るのが前提でした。

私はコダックのコダクローム64ばかり使いました。

コダックのポジフィルム「コダクローム64」
Paul Simon – Kodachrome (from The Concert in Hyde Park)

個人が使う8ミリフィルムのほとんどはポジフィルムです。撮影済みのフィルムを現像に出し、現像から戻ったフィルムを映写機にかけて映写して愉しみます。

同じような意味合いで、ポジフィルムに静止画を撮ることに興味を覚えたのでした。

動く映像のあとに静止した映像を趣味としましたが、随分前のことです。それが、デジタルの時代になり、今私が使うのはソニーのミラーレス一眼カメラのα7 IIです。

このα7 IIはレンズ交換式カメラですから、交換できるレンズの数が多いほど表現の幅が広がるように考えるでしょう。考えるだけでなく、実際、そうした面は否定できません。

私がα7 IIで使うソニーの純正レンズはFE 3.5-6.3/24-240が一本のみです。10倍のいわゆる便利ズームです。

ソニーのα7 IIにFE 24-240mm F3.5-6

このレンズを使うとき、ファインダーを覗いてズーミングをすることはしません。焦点距離が24ミリから240ミリまでの単焦点レンズが何本も入っている感覚で使います。

被写体と条件に合わせ、あらかじめ使いたい焦点距離を選び、あとは体を移動させて、最適な画角を得ます。

高倍率ズームレンズのため、大口径レンズのような、小さなF値(小さいほど「明るいレンズ」といわれます)は望めません。それでも、工夫次第で、ある程度焦点をぼかした撮影はできます。

YouTubeで、日本人のカメラ関連動画を見ると、年がら年中、新製品を追いかけています。新しいカメラやレンズが登場すると、すぐにそれを手に入れて使い、レビュー動画を上げるといったように。

私が本当に見たいのは、新しく手に入れたカメラやレンズで、表現の幅がどのように広がったのか、です。

昨日、次の動画を見て、今朝、本サイトで紹介しました。

Pro Photos Using a Budget Studio Lighting Kit | Take and Make Great Photography with Gavin Hoey

登録しているチャンネル”Adorama”で、さまざまな撮影テクニックを披露してくれ、個人的に気に入ってる写真家の動画です。

彼が撮影に使っているカメラは、昔からあまり変わらないように感じます。使うカメラのフォーマットは、35ミリフルサイズではなく、マイクロフォーサーズです。

また、使うレンズにしても、ポートレイトを撮ることが多い彼ですが、解放F値が小さい大口径の単焦点レンズではなく、特別高級でないであろうズームレンズです。

彼の場合は、カメラやレンズにはそれほどこだわらないのかもしれません。その代わり、彼はストロボの扱いに習熟しています。本動画でも、ストロボをいくつも使い、魅力的な光を作り出しています。

想像するに、彼の頭の中では、自分が思い描く光を得るには、ストロボをどの向きで、いくつ、どのように使うか、といったことが巡っているのでしょう。

光が得られれば、カメラやレンズは、今使っているもので表現できると考え、新しいカメラやレンズが出たからといって、それがすぐに必要に感じることはないのでしょう。

絵を描く人が、新しいカンヴァスや絵具、溶剤が出るたびに、新しいものに乗り換えることはしません。それ以上に、今自分が使う道具を、どのように使うかに、頭はいっぱいになっていからです。

そんなあれこれを、本ページで紹介した動画を見て考えました。