偏執狂を疑われた艦長 ケイン号の叛乱

ちょうど70年前の映画を見ました。『ケイン号の叛乱』1954)という米国映画です。

私はNHK BSで放送されたのを録画して見ました。それが放送されたのは昨日今日ではありません。4月25日です。

その作品が放送されるのを知り、知っている作品だったため録画しました。

私は内容を知りません。戦争映画なのだろうというぐらいの知識です。私は戦争物をあまり好まないこともあり、見るのを先延ばしにしているうちに今になりました。

原題は”The Caine Mutiny”で、こちらも『ゲイン号の叛乱』の意味です。ハーマン・ウォーク1915~ 2019)が書いた小説を映画化したものだそうです。

ケイン号というのが戦艦で、おそらくは、その船内で何かもめ事が起きるのだろうと想像していました。

映画が始まり、クレジットタイトルが終わるタイミングで、「米海軍の戦艦で反乱が起きたことは一度もない」というテロップが表示されます。本作を見る人が、誤った認識を持たないようにするためでしょう。

描かれるのは、第二次世界大戦がまだ続いていた時期です。

主人公は、ケイン号の艦長となるクイーグ少佐でしょう。演じるのはハンフリー・ボガート18991957)です。

The Caine Mutiny (1954) ORIGINAL TRAILER

ただ、クイーグの言動がのちに問題とされるため、海軍少尉としてケイン号に新たに加わったキースという若い男が狂言回しの役割を演じます。

キースはプリンストン大学を出たあと、海軍士官を養成する学校で3カ月ほど学び、おそらくは即戦力として、米海軍に少尉として配属されます。

キースを演じるのはロバート・フランシス19301955)です。本作について書かれたネットの事典ウィキペディアの記述によると、フランシスは、本作が公開された翌年、自らが操縦した飛行機が墜落し、25歳で亡くなったそうです。

Dead at 25 – The Life and Sad Ending® of Robert Francis

キースが赴かされたのは米国のパールハーバーです。日本軍による真珠湾攻撃があった場所です。日本との戦闘場面があるのかもしれないと考え、少し、嫌な気持ちになりました。

キースは、戦艦で働けると思っていましたが、実際に乗ることになったのは、老朽化した掃海艇のケイン号でした。キースが初めてその船を見たときは、甲板に、乗員が使う布団が所狭しと干されていました。

煌(きら)びやかな戦艦に乗船することを想像していたキースは、それを見て面喰(めんくら)います。

キースがケイン号で働き始めてすぐ、艦長が交代になります。新しい艦長は、ボガートが演じるクイーグ少佐です。

クイーグは、規律が乱れているケイン号の船員を厳しく指導し、統率が取れた形へ持って行こうと、ひとりで奮闘します。しかし、それが行き過ぎたように見られ、乗組員との間に亀裂が生じます。

ケイン号の士官で、通信長をするキーファーを演じる俳優を見て、見たことがあると思いました。演じているのはフレッド・マクマレイ19081991)です。

マクマレイは、私が最も好きな作品『アパ=との鍵貸します』1960)で、主人公のC・C・バクスター、通称バドが働く保険会社で重役のひとりを演じています。

‘The Apartment’ | Critics’ Picks | The New York Times

キーファーは、空いた時間に、小説を書いています。そのキーファーが、副艦長のマリック大尉に、艦長のクイーグは、偏執狂(パラノイア)なのではないかと話を持ち掛けます。

それを聞いたマリックは驚いて、今後二度と、そんなことはいうなとキーファーにいい返します。

その後もクイーグは「暴走」気味で、あるときは、まだ残っているはずの配給のイチゴの数が足りないとして、乗組員全員の持ち物検査をさせるような出来事も起こします。

マリックはキーファーのいい分を信じるようになります。若手少尉のキースも、艦長のクイーグを疑いの眼で見るようになります。

部下の乗組員は、「黄色い塗料」というクイーグを馬鹿にする歌を作り、それを謳ってはクイーグを嘲るようになります。

ある任務を遂行中のケイン号が、夜の海上で、猛烈な台風に襲われます。あたりに仲間の船はなく、ケイン号は荒波にもまれにもまれます。

それでも、予定通りの航路を採ろうとするクイーグは、部下たちの訴えにも耳を貸さず、予定通りに海を突っ切ろうとします。船は大きく揺れ、転覆の危機を迎えます。

クイーグの精神を疑う副艦長のマリックは、堪忍袋の緒が切れ、その場で艦長のクイーグを首にし、自分が艦長になることを宣言します。

結果的にはマリックの判断が正しかったことで、沈没を逃れたケイン号は、無事に港に戻ることできます。

後半は、ケイン号を離れ、軍法会議が開かれる法廷に場面を移します。といっても、物々しい法廷ではなく、少し広い部屋に皆が集まり、マリックの判断が正しいかどうかが問われます。

マリックは分が悪く、有罪となれば、絞首刑が待っています。

マリックの弁護人となったグリーンウォルドと検察官のチャーリー少佐の駆け引きがおもしろいです。

裁判の最後にクイーグ艦長を証人として呼び、いきさつを訊きます。それが進むにつれ、「化学反応」が起き、思わぬ方向へ動きます。

The Caine Mutiny (1954) – Paranoid Breakdown Scene (8/9) | Movieclips

どのような結末が待つかは、本作をご覧になって確認してください。