手元にある機材で愉しむ音楽

ここ数日、夕方になると好んで聴くアルバムがあります。”BRASILEIRAS”です。

私は購入したものに日付を残す癖があります。このアルバムには【1995.11.15】とあります。28年前のちょうど今頃手に入れたことがわかります。

CDアルバム『BRASILEIRAS』に記した購入した日付
CDアルバム『BRASILEIRAS』

アルバムのタイトルを日本語でいうと「ブラジルの女性たち」になるのでしょうか? 世代を超えたブラジルの女性アーティストがふたり、そして、ゲストとしてほかの女性アーティストが参加して録音されたアルバムです。

アルバムのライナーノートから得た知識ですが、ヴォーカルのワンダ・サー1944~)は、1964年にデビューし、当時は、ボサノヴァ世代の永遠のアイドル的存在だったようです。

本アルバムが録音されたのは1993年で、その頃には彼女もベテランの歌手となっていたでしょう。

本日の豆私事
本アルバムが発売された前年に私の母が亡くなっています。そうしたことを重ね合わせると、時代的背景が個人的に理解できます。

彼女に、セリア・ヴァスというギタリストでアレンジャーとして活躍する女性がコラボレートして生れたアルバムということになります。

このアルバムを手に入れる以前、私は偶然のように、ガル・コスタ19452022)というブラジル音楽の歌手を知り、彼女の歌声が好きになり、アルバムを4枚ほど手に入れて聴いていました。

ガル・コスタもワンダ・サーの影響を受けたひとりのようです。今回取り上げたアルバムに彼女もゲスト出演しています。

アルバムには、ボサノヴァの名曲が収められ、現代へと続くブラジル音楽を楽しめる構成となっています。

『おいしい水(Água de Beber)』を聴いたことがある人がいるでしょう。アントニオ・カルロス・ジョビン19271994)が1963年に発表したアルバムに収められた曲です。

Água De Beber

歌詞がつけられた本曲を、アルバムの1曲目に採用しています。1曲目が”AMAZON RIVER”で、最初の2曲を部屋の中に流しただけで、魂が遠くを旅する気分になれます。

Wanda Sá & Célia Vaz – Amazon River.wmv
Wanda Sá & Celia Vaz – Água de beber

もしも、同じ曲を、デジタルオーディオプレーヤー(DAP)で再生された音をイヤホンやヘッドホンで聴いたら、そこまでの感覚は得られないかもしれません。

スピーカーからある程度の音量で鳴らし、それを耳で聴くことでしか得られない「何か」があるように私は考えます。

今週月曜日(6日)、YouTubeで見つけた次の動画を本サイトで紹介しました。

オーディオが不人気な一番の原因は!

本動画を配信した人の趣旨は、技術が進めば、高機能な性能を低価格で提供できるはずなのに、高額であることに価値を持たせたオーディオメーカーの戦略が今の若い世代には通用しなくなっている、といったことです。

確かに、昔にはオーディオファンという人たちがいて、非常に高価なオーディオ機器を手に入れ、そのことによって、他人よりも良い音で音楽を楽しんでいるといった優越感を生む傾向がありました。

私は知りませんが、昔にはジャズ喫茶が流行り、ジャズ好きを自認するような人がその場所に集まり、ジャズを聴き、ジャズ談議に花を咲かせたりしたのでしょう。

しかし、そこで流れていたジャズ音楽の音は、当時、そこに集まった人が感じたほど、良い音ではなかったのでは、というようなことも動画で語られています。

ジャズ喫茶のオーディオ環境は店ごとに違うでしょうから、一概には決めつけられません。今聴いてもとても良い音で鳴らすオーディオもあったかもしれません。

その反面、当時はアナログレコードが音源ですが、レコーディングそのものが良くないレコードもあったでしょうから、その場合は、オーディオ機器が良くても、レコードに収められた音源以上の音にすることはできません。

ここまでの話はわかるのですが、今の若者の多くが、オーディオに見向きもしなくなり、DAPやスマートフォンにイヤホンやヘッドホンをつけて音楽を聴くのが一般的になり、それで満足しているといったあたりの話は、それは音楽の楽しみ方のひとつに過ぎないのでは、と私には感じられてしまいます。

若者といってもいろいろな若者がおり、今の時代にも、オーディオに凝る若者というのもいたりするかもしれません。

無暗に高額なオーディオ機器を手に入れる必要はありませんが、イヤホンやヘッドホンで聴く以外に、スピーカーから流れて来る音で音楽を楽しむ楽しみ方も知って欲しい気がします。

途中で書いたように、同じ音楽であっても、スピーカーから適度な音量で流して聴くと、違った聴こえ方になり、そのことで何かを感じ取ることもあります。

私は最近、映画館へ足を運んでいませんが、映画館の音響装置から聞こえる音は、イヤホンやヘッドホンとは違うでしょう。それに近い音を自宅で聴こうと思ったら、スピーカーで聴くしななくなります。

音の良し悪しは自分の耳で判断するよりほかありません。メーカー側の戦略に騙されず、他人との比較もやめ、安価であっても、自分が良いと思えるオーディオ機器なら、今の若い世代も、利用してもいいのではないでしょうか。

私は、何十年も前に購入したアンプとスピーカーでこれからも、スピーカーから流れる音楽を愉しむことにします。

レーザーディスク(LD)の再生も兼ねたCDプレーヤーが今年になって使えなくなり、中古で手に入れたことは本コーナーで書きました。

手元に残るオーディオ機器で音楽を楽しむ分には、オーディオメーカーの戦略にのせられていることにはならないでしょう。

オーディオメーカーとオーディオマニアの関係は、今のカメラメーカーとカメラマニアの関係と同じではありませんか? 

一部のカメラマニアや、カメラの話題をYouTubeで扱うVloggerの一部は、カメラメーカーとグルではないかと思えるほど、新発売のカメラの「宣伝」に余念がありません。

それに煽られて高額なカメラやレンズを購入するカメラマニアは、一度冷静になられることをお勧めします。

プロの写真家でない個人が、非常に高額なカメラやレンズを購入して、それがどれほど自分の写真撮影に活かせるのか、考えてみれば、答えが見つかるでしょう。

たいがいは、過剰である場合がほとんどです。

そういった意味では、YouTubeで動画を配信するカメラ系Vloggerは罪作りな面が否めません。

私は、手元にある機材で音楽や写真を楽しむことにします。