今春に顕在化し、それを利用する人に不安を与えた、証券口座乗っ取り事件の犯人として、中国籍の男性ふたりが逮捕されたとの報道がありました。
同様の犯罪はこのふたりだけが起こしたものではない(?)でしょうから、とりあえずふたりが捕まったといったところでしょうか。
ともあれ、本事件で逮捕者が出たことで、本日の朝日新聞「視/点」が、「狙われた『資産運用立国』の死角」で、犯行の手口などについて書いています。
私もネット証券に口座を持っています。私が株式投資の真似事を始めたのは、21年前の2004年大型連休明けです。
その頃の日経平均株価がどの程度だったか記憶しているでしょうか。私が株式投資もどきデビューをした21年前の日経平均は【1万1500円】ほどです。今はそれが5万円台ですから、約5倍です。
超強気の予想をする人は、今後、日経平均が30万円台になるとする人もいます。それが実現すれば、現時点からでも約6倍になる計算です。
しかしこればかりは、それが実現するか、実現しないかを確認するまでは、誰も確定的なことはいえません。
証券口座乗っ取り犯が逮捕されたことを受けた本日の朝日の記事に話を戻します。
過去に起きた同様の事件の多くは、乗っ取った口座から資金を盗み出す手口でした。それが今回の事件では異なります。
乗っ取り犯は、株価が低位のまま人気のない銘柄を大量に買って仕込んでおきます。人気がない銘柄は、誰も買いたいとは思わないでしょう。だから、株価が低いまま放置されています。
そのような下ごしらえをしたのち、他人の証券口座を乗っ取ります。それを乗っ取ることで、口座にある投資資金を盗み出すわけではありません。
自分が仕込んでおいた不人気の低位株に、乗っ取った口座で、注文をどんどん入れるのです。高い値で買う人がいれば、株価は上昇します。
そうやって、他人の口座を使って値をつり上げたところで、自分が安い株価で仕込んでおいた大量の株を、株価が上がったところですべて売り抜けて、現金に換えるのです。
口座を乗っ取られて被害に遭った人が、それに気がついて自分の口座を確認すると、自分が保有していた銘柄が売り払われ、代わりに、自分の知らない低位株が残骸のように残されていることに気がつくでしょう。
これが証券口座乗っ取り犯の手口です。
朝日の記事は同じようなことを書いています。それはわかるのですが、私にはわからないことがあります。記事を書いた記者はそれをわかっているのでしょうか。
犯人は他人の証券口座のIDとログインパスワードを盗み、他人の口座を乗っ取ると書いています。しかし、IDとログインパスワードは、自分の口座にログインするためのものです。それだけでは、自分が取引したい銘柄を売買することはできません。
同じことは、以前、本コーナーで証券口座乗っ取り事件について書いたときも、疑問があるとして書きました。
銘柄の売買や、各種設定の変更をするときは、IDやログインパスワードとは別に、「取引パスワード」を入力する必要があります。そのことについて、朝日の記事にも書かれていません。
それを手に入れなければ、乗っ取った口座で、銘柄などを売買することはできません。犯人はそれをどのように入手したのでしょう。
まさかとは思いますが、取引パスワードとログインパスワードを同じパスワードにしていた、といったオチではないでしょうね?
世の中には、パスワードを「password」や「123456」とする人が結構な数いるらしいです。これでは、自分で「私の口座へようこそ」と第三者を請じ入れているようなものです。
その設定をネット証券の側で知ったら、被害の補償をしたくなくなるのは理解できます。「お客様の手抜かりです」から。
朝日の記事は、結論として、政府が国民に「貯蓄から投資」を推奨しておきながら、国民に対して、リスクに備えることの啓発が足りなかったことを指摘しています。
こればかりは、国の啓発や教育で、事件を未然に防ぐことは難しいように思います。
最終的には、ネットの各種サービスを利用する当人の自覚に任せるよりほかない面があるからです。どんなに口を酸っぱくして警告しても、脇の甘い人はいます。
あとは、サービスを利用する本人が、自分で、その意識を高めるしかないように思います。国やサービスを提供する企業の責任ばかり追及していても始まりません。
