昨日、YouTubeで次の動画を見ました。
長年、映像制作に携わる桜風涼(はるかぜ・すずし)氏の最新動画です。本動画を見ますと、今、桜風氏は、3本の映画の編集作業を同時進行でされているそうです。
今は、プロの世界でも、映像の編集にはデジタルの動画編集ソフトを使うようになっています。桜風氏が、映像の編集をするにあたり、三つの編集ソフトを使ったそうで、その中でどれが使いやすいかといったような話をされています。
私はアマチュアで、遊び感覚で動画の撮影や編集の真似ごとをしています。
桜風氏の動画の後半に、興味深い話があります。
それは12秒ぐらいのシーンだそうです。出演している俳優のスケジュールの関係で、本来は夜に撮るべきシーンを日中に撮影することになりました。
台本では夜のシーンですから、編集で、昼に撮影した映像を夜のシーンのように見せる加工をしなければなりません。
桜風氏は、それを実現するため、はじめは、動画編集ソフトのひとつ、Davinci Resolveのカラーページを使って試みます。
桜風氏の話を聴いて想像すると、人物の背景の明るい空を黒く落とすため、人物にだけマジックマスクをかけ、背景の明度だけを落とすことをしようとしたらしいです。
Davinciを使ってこうした処理をすると、PC性能の優劣に比例し、劣っていれば、時間がかかります。私のPCも非力なので、その種の処理には異常に時間がかかります。桜風氏も、12秒ほどの処理に5分ぐらいかかったと話されています。
マスクをかけるうえで難しいのは髪の毛の部分です。日中で髪の毛にも陽の光があたり、マスクが綺麗にかかりにくいからです。
何度も繰り返し、そのシーンの加工だけに2時間ほどかけたものの、結局はうまくいかず、Adobe(アドビ)の動画編集ソフトの“Final Cut Pro”を使って何とかしたというような話でした。
桜風氏が疑似的に夜景のシーンを作るのに苦労した話を聴きながら、私は以前見た、米国の刑事ドラマ『刑事コロンボ』のあるエピソードを思い出しました。
シリーズの第19話『別れのワイン』(1973)です。このエピソードのゲスト俳優はドナルド・プレザンス(1919~1995)です。彼の秘書役としてジュリー・ハリス(1925~2013)も出演しています。
『別れのワイン』については、以前の本コーナーで一度取り上げました。
プレザンスが演じたエイドリアンは、米国で、ワイン作り一筋の人生を歩んでいた熟年男性です。彼のワイナリーの実質的な経営者は異母兄弟の弟リックです。
リックはエイドリアンよりも若く、現実的な考えの持ち主です。エイドリアンのワイナリーは採算に合わないと判断し、大手企業への買収を持ちかける計画です。
ワイン一筋に生きてきた独身のエイドリアンは、リックの考えにカッと来て、力任せにリックを殴り倒してしまいます。
エイドリアンには、自分が買い集めたビンテージワインを保管する貯蔵庫を事務所の奥に持っています。そこへ、殴って気を失わせたリックを運び込みます。
その日はちょうど、商用でニューヨークへ出張する予定が入っていました。
ワインの貯蔵庫は、ワインを最適な気温に保つための空調設備があります。そのスイッチを切ります。貯蔵庫内に閉じ込められたリックに、窒息の末、死に至らしめるためです。
空調のスイッチを切っただけで本当に窒息するものでしょうか? また、そのワイン貯蔵庫のドアを、手前から押すだけで簡単に開くことを、コロンボが実際に試して証明しています。
だから、もしも、リックの意識が戻ったら、窒息する前にそとへ逃げ出せたでしょう。
リックを窒息死させたエイドリアンに天罰が下ります。
リックを殺すため、貯蔵庫の空調を切ってあった数日間の間に、当地が、その時期としては異常な高温になったことです。
コロンボが、その期間の気象状況を確認したところ、気温が40度に達した日がありました。空調が切られた貯蔵庫の中は、それよりも高温になったはずです。
この予期しない出来事により、エイドリアンが自分の命の次にぐらいに大切にしていたビンテージワインをすべて無価値にしてしまいました。
エイドリアンは、それらのワインを車に積んで海岸まで運び、崖の上から、ワインの瓶を海に投げ込みます。
ひと目を偲んでワインを処分するため、それが行われたのは夜間です。
下に埋め込んだ動画は、エイドリアンがワインを海へ投げ込んだあとのシーンです。
上の動画を見て、何か気がつかれましたか? このシーンは夜のはずですが、撮影は晴れた日中に行われたのであろうことが、わかる人にはわかります。空が写ると真っ青で、強い影ができているからです。
本エピソードが制作されたのは52年前です。制作スタッフは、特別難しい加工をしているわけではありません。日中に撮った映像を仕上げるときに明度を暗く落としたか、あるいは、露出をアンダーにして撮影しているだけのように思われます。
今はデジタルで映像の編集をします。ですから、編集時に、色の編集をもっと入念にしたりするでしょう。
どちらにしろ、画面が暗ければ、見る人は夜だと思って見てくれます。
桜風氏の動画を見て、刑事コロンボを思い出したことで、自分でも「疑似夜景」を試してみたくなりました。その過程で作った動画を下に埋め込みます。
私がやったことも簡単なことです。動画編集ソフトのDavinic Resolve Studioを使い、明度を下げ、色温度を変更して青味を強めただけです。
色の編集だけをするなら、Davinicのカラーページを使います。しかし、今回は、編集前と編集後をひとつの画面に並べて見せる動画にするため、練習を兼ねて、特殊効果のためのFusionページで加工をしました。
元の動画に色編集をしてしまったら、編集前の動画と並べて表示することができません。
いろいろと試した結果、Fusionページにある「カラーコレクター」をを使い、夜っぽい感じにしてみました。参考になるかわかりませんが、編集が終わったFusionページのスクリーンショットを下に貼っておきます。

私は普段、Fusionページを使わないので、多少手こずりました。使い慣れた人が同じことをすれば、もっと精度の高いものを、的確に実現するでしょう。
そうした「研究」も含め、今後はFusionページにもっと慣れ親しもうと考えています。
桜風氏のお陰で、自分なりの「勉強」ができました。
