私の家では昔から、新聞を数紙取っています。今は、朝日・産経・地方紙の三紙です。
本日、産経新聞に目を通し、ある記事の写真に目が止まりました。記事では、戦後長らく、情報収集を米国に依存してきたことを反省し、日本が独自の情報収集を目指す「国家情報局」設置のための閣議法案を閣議決定したことを伝えています。
政府が目指すことと記事の内容は別にして、私は、記事に添えられた写真に目が止まりました。
写真のキャプションにあるように、写真に写るののは、左から、林芳正総務相、高市早苗首相、茂木敏充外相です。

写真をご覧になって、何か感じられることはありますか。
私は、写真に写っている当人に何か意図を持つわけではありません。しかし、茂木外相の姿を見て、着用されている背広が、少し窮屈であるように感じました。
今にも、背広の前を留めたボタンがはじけて飛びそうに見えます。もう少し大きなサイズの背広にされたら、楽に見えるのではないかと思います。
日本の男性は、椅子に腰を下ろしたとき、背広のボタンを外す習慣がありません。このあたりのことを、GoogleのAI Geminiに尋ねてみました。
すると、次のような回答が得られました。
スマートな所作の基本
欧米のビジネスパーソンや映画の俳優などを観察していると、以下のような動作を非常に自然に行っています。
- 座るとき: 椅子に腰を下ろす動作に合わせて、片手でサッとボタンを外す。
- 立つとき: 立ち上がりながら、または立ち上がった直後に、スッとボタンを留める。
立ったり座ったりするたびにこの動作を行うのが、最もエレガントなスーツの扱い方とされています。
これは単なる個人の癖や何気ない習慣ではなく、「アンボタンマナー」と呼ばれる、欧米発祥の正式なスーツの着こなしルールです。
国際的なビジネスシーンやフォーマルな場では、むしろ「座るときにボタンを外さないのはマナー違反(またはスーツの正しい着方を知らない)」と見なされることもあります。
座る際にボタンを外すのには、主に2つの合理的な理由があります。
1. 美しいシルエットを保つため
スーツのジャケットは、「立っている姿」が最も美しく見えるように立体的に仕立てられています。 ボタンを留めたまま椅子に座ると、お腹周りの生地が上に押し上げられ、胸元や襟に不格好なシワが寄ってしまいます。これを防ぎ、座った姿もスマートに見せるために前を開けます。
2. スーツへのダメージを防ぐため
ボタンを留めたまま座ると、ボタンとその周辺の生地に強い張力(テンション)がかかります。これを繰り返すと、糸がほつれてボタンが取れやすくなったり、生地が引っ張られて型崩れを起こしたりする原因になります。
なお、欧米のスーツが日本で背広と呼ばれる理由はいくつかあり、そのひとつは、「ロンドンの仕立て屋街『サヴィル・ロウ(Savile Row)』が訛って『セビロ』になったという説」だそうです。
また、ボタンが三つついているジャケットを着る場合は、次のようなルールが欧米では広く知られているそうです。
実践的な覚え方:「Sometimes, Always, Never」
欧米では、3つボタンのジャケットを着る際のルールとして、上から順に「Sometimes(時々)、Always(常に)、Never(絶対にしない)」という覚え方が広く知られています。
- 一番上:Sometimes(時々) = ジャケットの形(段返りなど)によって、留めたり留めなかったりする。
- 真ん中:Always(常に) = 立っている時は必ず留める。
- 一番下:Never(絶対にしない) = 立っていても座っていても、絶対に留めない。
※2つボタンの場合は、上が「Always」、下が「Never」となります。
このように、欧米では「アンボタンマナー」が、スーツを着こなすルールとして定着している一方で、日本でこの所作をスマートにできる人が少ないように感じます。
これには、日本独自の理由が三つある、とGeminiは教えれてくれました。
1. 「ボタンを留める=礼儀正しい」という感覚
日本では、学生服(学ランやブレザー)を着る頃から「ボタンはきっちり留めるのが正しい着方」と教育されます。この「隙を見せないこと=相手への敬意」という価値観が根強いため、目上の方の前やフォーマルな場でジャケットの前を開けること自体に、「だらしない」「偉そうだ」という心理的な抵抗感が働きやすいのです。
2. 「お辞儀」の姿勢との相性
欧米のビジネス上の挨拶が、握手など「上半身を起こした姿勢」で行われるのに対し、日本の挨拶は「お辞儀」が基本です。 前を開けたまま深くお辞儀をすると、ジャケットの左右の生地がだらんと前に垂れ下がってしまい、見栄えがあまり良くありません。ボタンを留めておくことで、お辞儀をした際にも胸元が崩れず、きっちりとした状態を保つことができます。
3. 歴史的な背景(「くつろぎ着」か「制服」か)
欧米のスーツ(ラウンジスーツ)が「貴族のくつろぎ着」から発展し、「リラックスしつつも美しく見せる」ことを重視して進化したことは前述の通りです。 一方、日本における背広は、幕末の軍服や明治の官僚の正装を経て、昭和の高度経済成長期に「サラリーマンの仕事の制服」として一気に普及しました。そのため、欧米の仕立て屋のような「美しく着崩すルール」よりも、「集団の中で浮かない、画一的できっちりとした着方」が優先して広まったと言えます。
日本では、洋装が軍服から始まったことが、今でも影響を与えていそうですね。
そうだとしても、ずいぶん時代を経たのですから、日本の男性も欧米に倣い、もう少しスマートな着こなしをしても良さそうだと思うのですが、いかがでしょう。

なお、スーツの着こなしの「アンボタンマナー」は、男性に適用されることで、女性には適用されないそうです。
理由を、Geminiは次のように整理してくれました。
1. 仕立てとシルエットの違い
男性のジャケットがお尻が隠れるくらいの長さで直線的に作られているのに対し、女性のジャケットは丈が短く、ウエストのくびれに合わせた立体的でカーブの多いカッティングになっています。 そのため、ボタンを留めたまま座っても、男性のスーツのように生地が上に押し上げられて不格好なシワが寄ることが少なく、シルエットが崩れにくいという特徴があります。
2. インナーの多様性と上品さの維持
男性のスーツの下は「襟付きのシャツとネクタイ」という決まった形がありますが、女性の場合はブラウス、カットソー、薄手のキャミソールなど、インナーのデザインや胸元の開き具合が非常に多様です。 ジャケットのボタンを外すと胸元が露出しすぎたり、全体のバランスが崩れたりすることも多いため、ボタンを留めておくことで美しさと上品さを保ちます。
3. 歴史的背景(ファッションとしての出発点)
男性のスーツが軍服や貴族の厳格な仕立て屋(テーラー)の伝統から発展したのに対し、女性のスーツは、1920年代にココ・シャネルなどが提唱した「女性が活動的に生きるための新しいファッション」として発展してきました。 そのため、男性のような古くからの「絶対的なマナー」に縛られることなく、その服のデザインを最も美しく見せる「ファッション性」が優先されています。
はじめに断っているように、茂木外相に対しては他意はありません。ひとつの例として採用させていただいただけです。私が書いたことがお気に障りましたら、お許しください。
茂木外相は、仕事柄、海外へ行かれたり、外国から要人を迎える機会が多いでしょう。海外の要人と接するときだけでも、アンボタンマナーをスマートに実践されると、相手の見る目が少しは変わる(?)かもしれません。
スーツの着こなしひとつでも、日本と欧米では、歴史や考え方に違いがあることを改めて知ったしだいです。
本コーナーで取り上げたことを、Geminiとのやり取りを基に、NotebookLMに動画にしてもらいました。文章を読むのが億劫な人は、動画をご覧ください。
また、欧米と日本のスーツの着こなしをテーマに、音楽生成AIのSunoに音楽を生成してもらいました。良かったら聴いてください。
