高校野球のセンバツ大会が19日に始まり、昨日で、4日目まで終了しました。
今春のセンバツから導入されたルールがあります。「指名打者(DH)」です。これを導入してまだ日が浅いため、テレビで実況するアナウンサーにも簡単な勘違いが起きます。
昨日の第一試合は、神戸国際と九州国際の対戦でした。私はこの試合を途中から見ました。
九州国際は、背番号9をつけた新2年生の選手が先発しています。背番号が9なので、ライトの守備と投手を兼任できる選手ということでしょう。
この背番号9の選手が、試合途中で、マウンドを背番号1の選手に譲り、ライトの守備に変わりました。
先発した選手が、選手交代でベンチに戻ったら、その試合中に再びマウンドに上がることはできません。
高校野球は、プロ野球と違って、試合で投げられる投手がたくさんいないことが多いです。そのため、投手が別の守備についたあと、またその投手に頼ることを考え、ベンチには戻さず、別の守備位置につけることをします。
九州国際は、DHを採択し、投手の代わりの選手を、8番の打順に起用しています。
DHというのは、投手の代わりに、打撃専用の選手を起用することです。DHの採択は試合前に決め、申告をします。試合途中でDHを使用することはできません。
また、DHが適用されていた投手がベンチに下がり、別の投手に交代した場合は、DHを引き続けて使用できます。しかし、投手がマウンドを降り、別の守備位置についたら、DHは解除され、替わった守備位置が打っていた打順で、打席に入ります。
昨日の九州国際の場合でいえば、それまでライトの守備に入っていた選手の打順である、9番の打順で打席に立つということです。
九州国際は、そのあたりのことを想定し、ライトには、背番号1をつけた選手を使い、ライトと投手を入れ換え、マウンドに送った形になります。
背番号9の選手が投手からライトに替わったと、テレビの実況アナウンサーが、次のようなことをいいました。
背番号9の選手は、もう投げることができない。
この通りのいい方ではありませんが、これと同じ意味の発言をしました。それを聴いて、私の頭の中に疑問符が灯りました。ルールが改正されて、これまでのように、一度マウンドを降りて、別の守備についた選手は、再登板できないのか? と。
そのあとで、アナウンサーはその発言が間違いであることを認め、訂正しています。
そのあたりのことを、GoogleのAI Geminiに訊き、DHについてを中心に、いろいろと教えてもらいました。
結論から言うと、アナウンサーは「通常のDH制」と「大谷ルール(先発投手兼DH)」の規定を混同してしまったために、間違った発言をしてしまいました。
この「投手の再登板」に関するルールの違いを整理すると、以下のようになります。
1. 先発投手にDHを使っていた場合(実際の試合のケース)
今回のように、打席にはDHの選手が立ち、先発投手はピッチングに専念(通常のDH制を利用)しているケースです。
- 外野への移動: 投手がマウンドを降りて外野の守備に就くことは可能です。
- DHの解除: この時点でチームの「DH制」は解除(消滅)となり、外野に回った投手は、代わりにベンチへ退いた選手の打順に入ります。
- 再登板: DHが解除された後は単なる「野手」として試合に出場し続けている状態になるため、高校野球のルールに則り、再びマウンドに上がること(再登板)が可能です。
2. 「大谷ルール」を使っていた場合(アナウンサーが勘違いしたケース)
先発投手が「投手」と「DH」を兼任して出場するケースです。
- 外野への移動・降板: マウンドを降りた後も、DHとして打席に立ち続けたり、野手として守備に就いたりして試合に残ることは可能です。
- 再登板: しかし、この大谷ルールを適用した場合に限り、一度マウンドを降りると、その試合で再び投手として登板することは絶対にできないという厳しい制約があります。
実況のアナウンサーは、「大谷ルール」と混同し、再登板できないと勘違いしてしまったことになります。
私は、センバツ大会が始まって間もなくの頃、新聞で、試合を翌日に控えた両チームの監督に話を訊いた記事を読みました。
その記事の中で、一人の監督が、DHを使うかと訊かれ、次のように答えていました。
使いたい。打撃が良い投手が一人いるので、その子が先発したときはDHを使わない。(降板後も)使えなくなるので、不便だと思う。
私は、「降板後も使えなくなるので」云々の部分がよくわからず、Geminiに訊いて、納得できした。
新聞に載っていた監督の言葉は、まさにそのルールの「融通の利かなさ」に対するジレンマを語ったものです。具体的にどういうことか、わかりやすく解説しますね。
監督が「不便」と語った理由
打撃の良い先発投手がいる場合、監督は以下のような悩みに直面します。
- 試合開始時: 先発投手に打席に立ってもらうため、試合開始時に「DHを使わない(昔ながらの9人で戦う形)」を選択します。
- 投手交代時: 試合途中で先発投手が降板し、リリーフ投手(打撃はあまり得意ではない選手)に交代したとします。
- 不便なポイント: ここで「リリーフ投手の代わりにDHを使いたい」と思っても、試合開始時にDHを放棄しているため、途中からDH制に切り替えることはできません。 結果として、打撃が苦手なリリーフ投手がそのまま打席に立つか、代打を出して貴重な控え選手を消費し続けるしかなくなってしまうのです。
「大谷ルール」を使っても解決しない高校野球の事情
「それなら、大リーグのように先発投手がDHを兼任する『大谷ルール』を使えばいいのでは?」と思われるかもしれません。実は、今年から高校野球でもこのルールが導入され、「先発投手 兼 DH」として出場することが可能になりました。
これを使えば、先発投手がマウンドを降りた後も「DH」として試合に残り打撃に専念でき、リリーフ投手が打席に入るのも防ぐことができます。しかし、高校野球ならではの事情がこれを難しくしています。
- 再登板の制限: 高校野球では「エース投手が一度外野の守備について肩を休め、ピンチの場面で再びマウンドに戻る(再登板)」という戦術が頻繁に使われます。しかし、大谷ルールを適用した選手が降板した場合、ルール上再びマウンドに戻ることはできません。
- DHの消滅: もし再登板の可能性を残すために大谷ルールを使わず「投手専任」で出場し、途中で外野の守備に回ったとします。すると、当然ながらチームとしてDH枠を使っていないため、マウンドを引き継いだリリーフ投手がそのまま打順に入らなければなりません。
監督は、こうした「高校野球特有の柔軟な投手起用(再登板など)」と「一度決めたら途中から導入できないDHルール」の相性の悪さを指して、「降板後は使えなくなるのが不便だ」とこぼしていたのだと思われます。

昨日の第三試合では、これとは別のことが起きています。
投手が、一人の打者への投球を続けていた途中で、守備側のベンチが、投手の交代を申告し、球審がそれを認め、投手を交代させたことです。
どんなことが起き、それがどのようなルール違反であったかを、Geminiに解説してもらいます。
実際の試合で起きたこと
7回裏の長崎日大の攻撃の場面でした。 山梨学院の投手が、イニングの先頭打者に対して「2ボール」となった途中で、ベンチが投手交代を申し出ました。球審はこれをそのまま受け入れてしまい、投手が交代して試合が再開されました。
どんなルールに違反していた?(投球義務)
野球のルール(公認野球規則5.10)には、「投手には、最低1人の打者との対戦を完了する義務がある」という非常に厳格な決まりがあります。
具体的には、
- イニングの初めにマウンドに上がった投手(あるいは途中でリリーフ登板した投手)は、
- その時の最初の打者(または代打)が「アウトになる」か「一塁に出る」か「攻守交代(チェンジ)になる」まで、交代してはいけない
というルールです。つまり、打者との勝負の途中で「やっぱりピッチャー代えます」ということは、投手がケガや急病でどうしても投げられなくなったと球審が認めた場合を除いて、絶対にできないのです。
なぜ誤審は起きたのか?
今回のケースでは、投手がケガをしたわけではありませんでした。本来であれば、ベンチが交代を申し出た時点で、球審は「ルール上、この打者との対戦が終わるまでは交代を受け付けられません」と即座に断らなければなりませんでした。
しかし、球審をはじめとする審判団がその瞬間にこのルールの存在を失念してしまい、とっさに交代を認めてしまったというのが事の顛末です。
私自身、これまで縁がなかったことで、DHにはまだ馴染んでいません。今後、試合に接する機会が増えることで、少しずつそれが解消されていくでしょう。
DHを中心にGeminiと交わした「対話」を、NotebookLMに動画にしてもらいました。文章を読むのを面倒に感じる人は、動画をご覧ください。
