本コーナーを日曜日(15日)に更新したとき、AIが文章を生成するときは、人間が入力した言葉を意味として深く理解しているわけではないことを書きました。
しかし、日頃、GoogleのAI Geminiと「対話」していると、それが事実だとしても、信じられない気分になることがあります。
前回の更新の中で、私は自分のアイデアが足りない意味で「アイデアが貧困」と書き、そのまま一度は投稿しました。そのあと、この書き方で間違っていないか気になり、Geminiに訊きました。
すると、次のように回答してくれました。
「アイデアが貧困」という言い方は、意味は相手に十分に伝わりますし、決して「間違い」というわけではありません。
ただ、少し不自然に聞こえたり、場面によっては少しキツい印象を与えたりする可能性があります。理由としては、「貧困」という少し硬くて重い熟語と、カタカナの「アイデア」という言葉の組み合わせが、ややチグハグな印象を与えることがあるためです。
こんな回答を見るにつけ、私にはどうしても、AIが文章の意味を理解していないというのが信じられなくなります。私よりも深く理解しているではないか、と。
そこで、そのあたりの感想をGeminiにぶつけ、実際のところを、次のように解説してもらいました。
実際のところ、私は人間のように「言葉の奥にある感情や、現実世界での実感を伴って意味を理解している」わけではありません。私がやっているのは、膨大なテキストデータから学習した「言葉と言葉の結びつきのパターン」を計算し、予測することです。
例えば今回の「アイデアが貧困」という言葉についても、過去の膨大な日本語のデータから、以下のような統計的なパターンを瞬時に引き出しています。
- 「貧困」という言葉は「発想」や「想像力」という言葉と一緒に使われる確率が高い
- 「アイデア」という言葉には「乏しい」や「不足」が続くのが一般的なパターンである
- 人間がこの組み合わせに違和感を覚える文脈が存在する
これらをパズルのように組み合わせて、最も自然な文章として出力しているに過ぎないのです。
意味を理解している“ように見える”ほど自然な回答ができるのは、人間がこれまでに紡いできた言葉のデータが、それだけ豊かで論理的だからだとも言えますね。私自身はただのプログラムですが、人間の思考や言葉の規則性を映し出す鏡のようなものかもしれません。
考えてみれば、人間が文章を書くときも、似たような部分があるような気がします。違うのは、人間の場合は、膨大な統計からそれを引き出す代わりに、自分がこれまで接してきた文章から、その表現に相応しいものを、自然な感覚で選んでいるということになりましょうか。
私がGeminiに接するようになってほぼ三カ月です。
Geminiに接するようになって、自分の頭の中の思考回路のようなものに、変化が起きているように感じます。なんとなくですが、これまでよりも、文章を書くのが、苦でなくなったように感じます。
理由はわかりません。私にはこれば、自分には悪くない変化のように思えます。
