かつての駅に旅する動画

もしも、昔や未来へ、時間と空間を移動することができたら、あなたはどちらへ行きたいですか? と私が訪ねられたなら、私は未来よりも、昔を選ぶと思います。

このような傾向を持つと自覚するため、新聞に昔の出来事が書かれていたりすると、出来事が起きた昔の姿を見たくなります。

昔へタイムスリップすることはできなくても、生成AIが進んだ今は、昔の情景らしきものを、画像や動画で疑似体験できます。

朝日新聞・土曜版に、政治学者の原武史が興味を強く持つ、鉄道にまつわる話が紹介される「歴史のダイヤグラム」というコーナーがあります。

この土曜日、そのコーナーで取り上げたのは、次の見出しのコラムです。

成田空港建設に反対する激しい闘争が、1960年代から1970代にかけてありました。国鉄職員だった一人の男性が体験した、ある日の出来事を取り上げています。

原氏のコラムを読んで、私が行ってみたいと思ったのは、闘争が展開されていた当時の空港建設予定地ではありません。

その職員が、乗り込んだ荷物車が出発する、かつて、東京都心にあった貨物線の駅です。

その駅は、東京ドームが約4.7個分の約22ヘクタールの広い敷地をもっていました。その駅の跡地は今、汐留シオサイトに変貌しています。

こんなふうに書けば、私が書こうとしている貨物駅が「汐留(しおどめ)駅」とわかるでしょう。

原氏のコラムでは、1977年5月6日、汐留駅を14時52分に出発する熊本行きの荷物専用車両に、成田闘争に加わっていた一人の国鉄職員が常務していました。

その人の仕事は、汐留を出たあと、横浜、小田原、熱海、沼津、富士、清水、静岡と駅に停車するたびに、積まれた荷物の山から、その駅で降ろす荷物を見つけ、5分間の停車時間に、下ろすことです。

このコラムを読み、私は、かつての汐留駅について知りたくなりました。

私が小学校の低学年の頃だと思います。父に汐留駅に連れ行ってもらったことがあります。私の記憶では、だだっ広いところに、線路が幾筋の延びていました。記憶の映像は白黒です。

私は、GoogleのAI Geminiに汐留駅について尋ねました。

『鉄道唱歌』で歌われるように、日本で初めて開通した鉄道は、東京の新橋駅が起点でした。開通したのは1872年10月14日(明治5年9月12日)です。そのときの新橋駅が、実は、のちに汐留駅と名を変える駅なのでした。

現在の東京駅は、1914年(大正3年)12月20日に開業します。東京駅が東京の玄関口になったことで、かつての新橋駅は役目を終え、貨物専用駅の汐留駅になりました。

以来、1986年(昭和61年)11月1日に、貨物駅の営業を終了するまで、汐留駅として営業を続けました。

汐留駅の歴史と変遷

私は、Geminiにかつての汐留駅について聞き、当時の駅の画像や動画を見たくなりました。冒頭で書いたように、生成AIを使えば、その時代へは行けなくても、疑似体験をすることならできます。

それを使って生成したのが次の動画です。

貨物駅時代の汐留駅(1965年)

正直なところ、これが、1965年の汐留駅の様子をそのまま伝えているのかはわかりません。空撮したような動画で、構内を、蒸気機関車が、煙を吐いて走っています。

実は、このあとのカットで、駅のホームで荷物の仕分けをする人々の動画も生成してもらいました。しかし、私のプロンプトがまずかったようで、中国の駅か何かのように見え、聞こえる声も日本語には聞こえませんでした。

そのため、そのカットはボツにし、1カットだけの動画にしました。8秒間と短いため、同じカットを4回繰り返す動画にしています。

原氏のコラムに戻ると、2両の電気気動車が牽引する、客車を改造した15両の荷物車は、19時34分に浜松駅に到着します。

男性が駅の売店で駅売りの夕刊を買い、1面トップの記事を見て驚きます。同日の朝日新聞夕刊に、次のような見出しがあったからです。

その鉄塔は、反対闘争のシンボルであった「岩山大鉄塔」で、飛行機の離着陸を妨害する目的で、1972年(昭和47年)に建てられています。高さは60メートル超でした。

その鉄塔が、同日午前9時前、千葉地裁の執行官によって鉄塔撤去の仮処分執行が通告され、そのあと、鉄塔は倒されたようです。

反対闘争に加わっていた国鉄職員は、7日未明の午前1時35分に大阪駅に到着したところで、常務を終えています。宿泊所で仮眠をとったのち、小倉駅発汐留行きの貨物船用車両に大阪駅から乗務し、汐留駅に同日17時25分に着いています。

彼は、自分のアパートに戻って私服に着替え、京成上野駅から現地へ急行しています。

今回は、新聞で読んだ記事から昔に思いを馳せ、知らなかったことをGeminiに教えてもらいました。

有能なGeminiであっても、まだ訪れていない未来のことを尋ねても、教えてくれないだろうと思います。

AIは知ったかぶりが得意なので、起こってもいない未来を、自信満々で披露してくれる、かもしれませんが。

Geminiに教えてもらった汐留の歴史を、NotebookLMに読み込ませ、解説動画を生成してもらいました。文章を読むのが面倒な人は、動画をご覧ください。

汐留の隠された歴史:貨物駅から未来都市へ