またAをDで聴くこと始まる

先月一カ月間、Amazonの電子書籍サービスのKindle Unlimitedが、通常は有料であるところ、無料で利用する権利を得たことは本コーナーで書きました。

その使用期間が終わったのと入れ替わるように、今度は、同じAmazonが提供するサービスのAudible(オーディブル)を利用し始めました。これは、文字で書かれた書籍をナレーターなどが朗読する音声で利用できるサービスです。

このサービスの利用料は、プレミアムプランの場合は月額が1500円です。この料金を支払うことで、対象の作品数十万の中から、いくつでも音声で楽しむことができます。

私は以前にも、本サービスが割安キャンペーンのときに何度か利用しています。

今回は、1カ月99円で3カ月利用できるキャンペーンが始まったことを知り、利用を始めました。しかも、キャンペーン中に申し込むと、電子書籍を購入するときに使える300円分のポイント(有効は今月いっぱい)がつきます。

ということで、実質ゼロ円で3カ月間、Audibleが利用できるというわけです。

人により、Audibleの楽しみ方は異なるでしょう。私は久しぶりということもあり、はじめは、部屋にあるBluetoothスピーカーで聴きました。

しかし、私の場合、集中して聴くことができないように感じました。そこで、あるアイテムを久しぶりに使いました。

”D3”という、片方の耳に挿して使うBluetoothイヤホンです。

タブレットPCで再生させた音声ファイルをD3で聴くと、言葉が明瞭に聴こえ、集中して楽しむことができます。

Audibleを以前に何度か利用したことがあるため、過去に私が追加したオーディオファイルが自分専用のライブラリに残っているのはありがたいです。

小説を朗読した音声ファイルは、どうしても長時間になります。そこで私は、著名人が過去に行った講演会の模様を録音した音声ファイルを聴きました。

これであれば、著名人が話すことがそのまま音声ファイルになっているので、自分もその講演会会場にいる感覚で楽しむことができます。

昨日は井上ひさし19342010)と江國滋1934~ 1997)の講演会を聴きました。このふたりの講演会を収録したAudibleについては、それを聴いたあと、本コーナーで取り上げています。

いずれも、音源は30年以上前のものです。ふたりがそれぞれのテーマで話す話を聴きながら、話されている内容を思い出しました。

井上は、小説のほかに演劇にも携わったので、小説と演劇の違いや、演劇だけが持つ醍醐味のようなことを話されています。

井上ひさし – 「ひょっこりひょうたん島」 を語る

小説や映画、テレビドラマにはなく、演劇だけが持つのは、作品を演じる演者と観客がひとつの空間を共有することです。演者の演技に感応する観客の反応に演者自身が感応し、それをまた観客が感応することで、ときには、劇場全体が感動の嵐に包まれることがあるそうです。

江國は、昨今はプロフェッショナルとアマチュアの境が曖昧になってきたと嘆きます。音源となる講演会は1989年です。

そうした状況を踏まえ、真のプロフェッショナルについて語っています。そのひとりが、落語家の八代目桂文楽(18921971)です。

桂文楽・馬のす〜大仏餅1970年

その文楽が、結果的に最後の高座となった噺の途中で噺が続けられなくなり、そのまま高座を降りて、数カ月後に亡くなったことが知られます。

文楽は高座に上がる前には必ずその日の演目をさらい(稽古をすること)ます。しかも、弟子にあとで江國が聴くと、噺を忘れた場合に観客に謝る挨拶とそのときの所作まで欠かさず稽古したそうです。

文楽はその通りに謝りの挨拶をし、何事もなかったように楽屋へ下がると、声を挙げて泣いたそうです。

文楽の葬儀で弔辞を依頼されたのは江國でした。

こんな噺を片方に挿したイヤホンで聴くのは、自分の眼で文字を追って読む読書とは別の楽しみとなります。これからの3か月、目での読書とともに、耳による読書にも時間を割くことにします。