株価の暴落は起きてみるまでわからない

澤上篤人氏(1947~)が書かれた本を読みました。

投資をする人であれば、澤上氏を知っている人が多いでしょう。ご本人曰く「本物の長期投資家」で、澤上氏が作って長年運用されているアクティブファンド「さわかみファンド」です。

その澤上氏が書かれた『暴落ドミノ 今すぐ資産はこう守れ!』という本です。

私はAmazonが提供する電子書籍サービスのUnlimitedで本書を読みました。以前から気になっていた本です。私は、通常であれば有料のUnlimiedのサービスを3カ月間無料で利用できる権利を得、今現在それを利用している最中です。

Amazonの電子書籍版のUnlimiedというのは、そのサービスを利用できる期間であれば、該当する書籍を追加料金なしで何冊でも読むことができます。

この権利を得たため、澤上氏の本に接したというわけです。

本書が出版されたのは今年の1月31日です。澤上氏は2年ほど前に出版された書籍でも、いつ、世界的な暴落が起きても不思議ではないとの考えを書かれています。

本書でもその考えは変わらず、「暴落は秒読み段階に入った」としています。それだから、今は株を新規に買うようなことは絶対に避け、もしも株を保有しているのであれば、今すぐ手放しておくように書いています。

そして、確保しておいた資金で、暴落が起きたときは、自分が応援したい企業の株を応援買いすることも勧めています。

本書には「お金持ちの運用に学ぼう」という項目があります。澤上氏はその運用方法については実にシンプルに書いています。

彼らは自分の好きな分野をとことんまで追いかけ、20年や30年もかけ、その道を究めることをする。その上で、自分が十分理解している分野の銘柄が、暴落などで、極端まで売られるようなことが起きれば、躊躇することなく買いの行動を起こすというわけです。

そうやって保有する株が、その後、マーケットの復活によって人気化するようなことが起こり、それが少し買われ過ぎだと判断出来たら、今度は高値でさっさと手放してしまいます。

その際、もっと上がりそうだとか、もっと儲けようなどと欲を出さないのが特徴的です。

そして、また、自分の良く知る分野の銘柄が売られ過ぎになれば、同じようなことを繰り返します。そうしたことを繰り返すことで、自然と資産が増えていくという理屈です。

彼らは、マーケットに始終かじりつくようなことはしません。むしろ、普段はそこから離れ、自分の生活をのんびりとしています。

自分がその株を保有していることも忘れ、気がついたら上がっていたというのが、理想的な投資スタイルといえましょう。いずれにしても、儲けてやろうと考えて、始終相場にかじりつくようなことはよしなさいということです。

澤上氏はまた、暴落が起きたとき、自分の金融資産を守るための「安全な置き場所」についても書いています。

平均的な個人は、銀行に預けて置く限り心配はないと考えます。銀行預金が1000万以下であれば、ペイオフの制度で守られると考えるからです。

しかし、澤上氏は民間銀行に預けておくのは危ないと書き、その理由を次のように書いています。

23年6月末の個人金融資産で預貯金勘定は1011兆円だった(日銀統計)。そこから郵便貯金170兆円を差し引くと、841兆円になる。(中略)そういった銀行全般への預金勘定に対し、預金保険機構にプールされている資金は5・2兆円に過ぎないのだ。(中略)そんなわずかな資金で一体どうやって、1000万円までの預金と利子を保証できるというのだろう。

澤上 篤人. 暴落ドミノ 今すぐ資産はこう守れ! (pp.153-154). 明日香出版社. Kindle 版.

澤上氏が勧める金融資産の安全な置き場所は三つです。そのひとつは、澤上氏の仕事の宣伝になるような、本物の長期投資をする投資信託、つまり、さわかみファンドに資金を移すということです。

残りのふたつ目は、生活者の観点で、なくてはならない企業の株を、値下がりしたところで買っておくことです。

そしてもうひとつが、証券口座を持っている人であれば、株なりを手放したことによって現金化し、そのまま、証券会社に置いておくことです。

証券会社に置くお金は、証券保管振替制度によって、日証金信託銀行に移され、信託財産として保管管理してもらえるというそうです。

信託財産は信託銀行の経営とは完全に分離され、別勘定として管理される。したがって、かりに信託銀行が潰れても、信託財産は無事に保管されている。

澤上 篤人. 暴落ドミノ 今すぐ資産はこう守れ! (p.156). 明日香出版社. Kindle 版.

澤上氏が本書で書かれたことがどこまで正しいかを私は確認していません。ですので、民間銀行の口座で保管されているお金が1000万円以下の場合、ペイオフの制度で、本当に保証されるのか、あるいは、澤上氏が本書で書くように、万が一の場合は、1000万円以下であっても、保証されないのか、どちらかはわかりません。

そもそも、澤上氏が数年前から盛んに指摘するような暴落が、それも歴史上初めてとなるような規模で起こるのかどうかは、誰も正確に「予言」することは不可能です。

それがもしも起こらなければ、起こらない暴落を恐れて、現在保有する金融商品を現金に換えることは無駄な行為になってしまいます。

どれもこれも、あの時、いわれたとおりに現金に換えて置いて良かったとなるのか、それとも、現金に換える必要はなかったとなるのかは、あとで振り返ったときにしか確認することができません。

株に投資したり、投信で運用してもらうことは、結果のわからないことに自分のお金を預けることで、その行為の結果は、あとになるまでわかりません。

今の世紀に替わる前、ノストラダムスの予言を独自に解釈した本がベストセラーとなり、テレビの娯楽番組でも盛んに取り上げられました。

結果的に、当時いわれたようなことは起こりませんでした。

もしかしたらですが、2001年9月11日に米国のニューヨークで起きた、ワールドトレードセンターの2棟の「人為的な崩落」が、あの予言の象徴的な出来事だったはいえるかもしれません。

1929年9月4日に米国の株価大暴落から始まった世界恐慌のとき、ジョン・F・ケネディ19171963)の父、ジョセフ・P・ケネディ18881969)は、暴落の直前に、保有していた株式をすべて売却し、難を逃れたという話が伝わっています。

Mr Joseph P Kennedy Says Au Revior (1940)

彼がそれに気がついたのは、ウォール街で靴磨きをする男までもが株取引をするようになったのに気がついたからとされてきましたが、これは、彼の作り話のようです。

実際には、ガイ・カリアというパトロンに「株式市場はそろそろ危ない」と忠告され、それに従ったということらしいです。そのパトロンがどうしてそれに気がついたのかはわかりません。

今のこの時期、澤上氏の「助言」がガイ・カリアの助言の代わりを果たしていると信じることができれば、極めて近い将来に起こるかもしれない暴落の難から逃れることができます。

私も投資の真似ごとをしていますが、今現在は、保有する金融商品はひとつもありません。投資をすることがあっても、その日の内に手仕舞いをしてしまうからです。

そんな私が、デイトレードを止め、スイングトレードで数日間から週単位で個別株などを保有するようになった瞬間、それが起きて暴落したら、そのときは痛い目に遭うことになります。

デイトレードよりもスイングトレードのほうが利益が伸ばせそうに考えるようになりました。まだ、実際には試していませんけれど。

そして、それを始めた瞬間にそれが起きれば、結果的に、私の心変わりが暴落の道ずれへとつながることになるのでしょう。

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