今に始まったことではないのかもしれませんが、庶民のマスメディア離れが顕著です。
私はテレビのニュースは見ません。以前は見ていました。
本サイトには気象情報のコーナーがありました。今はありません。それがあった頃は、NHK総合で放送される「首都圏ネットワーク」内の気象情報をチェックするのが習慣でした。
その番組をずっと見ていたわけではなく、気象情報が始まる時間だけスイッチを入れました。それでも、どうしてもニュースが前後に挟まることになり、その場合は仕方なく目の端に入れていました。
今は本サイトの天気コーナーをなくしたため、テレビのニュースを見るためにテレビのスイッチを入れることはありません。
新聞には毎日目を通しています。しかしこれも、積極的に新聞に接しているわけではありません。嫌々ながらそれをするため、新聞に接する時間が私には苦痛です。
昨日の朝日新聞は、「天声人語」と社会面で同じ「社会現象」を取り上げています。
「天声人語」は次のように始まります。
何が起きたのか、と驚いた人も多かっただろう。
もしかしたら、「天声人語」氏も驚いた人のひとりだったかもしれません。
多くの人を驚かせたのは、この日曜日(17日)に投開票が行われた兵庫県知事選挙の結果です。
斎藤元彦知事(1977~)が、部下にパワーハラスメント(パワハラ)を起こすなどしたことが『週刊文春』でセンセーショナルに取り上げられ、それが人々の関心を呼びました。当時の記憶では、斎藤氏を擁護する声はなく、新聞やテレビの報道も、斎藤氏叩きに専念しました。
兵庫県議会は全会一致で斎藤氏に不信任決議をし、それを受けた斎藤氏が知事を辞職し、新しい知事を選ぶ選挙に臨みました。
斎藤氏を一方的に叩いたマスメディアは、斎藤氏が選挙でボロ負けすることを心の中で願っていた(?)かもしれません。しかし、選挙戦の模様を、昨日の「天声人語」は次のように振り返っています。
聞けば選挙戦は、全体に異様な雰囲気だったという。斎藤氏の街頭演説の場で、記者たちは「偏向報道」「帰れ」と聴衆から罵倒を浴びた。
斎藤氏を巡る話ですが、私は、文春が報じたように斎藤氏が部下にパワハラをしていたのか、それともそれは、事実と異なるのか、どちらなのかはわかりません。
斎藤氏を叩く側、そして、斎藤氏に味方する側、どちらも、一方方向に大きなうねりのようなものが生じた可能性があります。選挙では、斎藤氏を支援する声が大きなうねりとなり、斎藤氏の再選を実現させる力として働いたのでしょう。
今回の結果を受け、朝日は識者に話を訊く形でお茶を濁しています。識者として登場するのは、日本大学教授の西田亮介氏(1983~)です。
西田氏に記者が質問する形で、西田氏の考えを伝えています。
西田氏は、県議会で不信任決議されながら、出直しの選挙で再投資の人物評価が肯定されたことを「変な感じがする」と述べ、それに続けて、次のように述べています。
(今回の結果は)新聞やテレビなどマスメディアが報じない「穴」を突いたという印象をもっている。
この回答を受け、記者が西田に「穴」とは何かを訊きます。
それについての西田氏の答えに、私は違和感を持ちました。次のように解釈しているからです。
新聞やテレビは公職選挙法と放送法を根拠に、選挙期間中は中立性を重んじている。(中略)報道姿勢を含め、果たして今のままでいいのか、問い直すべきだ。
日本の国政選挙では西田氏の指摘が通るかもしれません。しかし、今月はじめに結果が出た、次期米大統領を選ぶ選挙の報道はどうでしたか? と訊くまでもありません。
米国の後追いしかできない日本のマスメディアは、米国の主要メディアに倣い、民主党のカマラ・ハリス候補(1964~)には徹底して甘く、そして、共和党のドナルド・トランプ候補(1946~)には、これ以上ないほど厳しく、意地悪く接しました。
今回の選挙ばかりではありません。トランプ氏が前回当選した2016年の時もそうでした。ジョー・バイデン候補(1942~)に不正に当選を「盗まれた」前回2020年の選挙もそうです。
とにかく、トランプ氏をマスメディアは、徹底的に叩き続けました。選挙が終わってもそれは収まらず、第二次トランプ政権の人事が明らかになるたびに、それにいちいちいちゃもんをつけています。
このどこに、西田氏がおっしゃる「選挙期間中の中立性」とやらはあるのですか? そんなものは、かけらもありません。
10月10日には、最初で最後となった、トランプ候補とハリス候補の討論会がABCニュースで放送されました。これも酷いもので、トランプ候補を血祭りにあげるために粉割れた「八百長討論会もどき」です。
ABCニュースは、ハリス候補にだけ、事前にどのような質問をするか伝えてありました。その上で、討論会を進行する男女のキャスターは、ハリス氏が虚偽をどれだけ述べても、一度もそれを質すことはしませんでした。
その一方で、討論会のはじめから終わりまで、キャスターのふたりはトランプ氏に敵対的で、トランプ氏の発言に突っかかり続けました。
この討論会のあと、朝日は、「ハリス氏が討論会でトランプ氏に勝利した」と報じました。
これほどあからさまな中立性無視はめったにあるものではありません。それがトランプ氏である場合は、無罪放免になると心得ているのでしょう。
同じ意識が、斎藤知事の報道でも見られました。一方的に斎藤氏を悪と決めつけ、マスメディアが一緒になって、斎藤氏いじめをしたというのが、今回の真相かもしれません。
これまでであれば、マスメディアがこのようなスクラムを組めば、マスメディアに叩かれた人に勝ち目はありません。しかし、今は、ネットを使うことで、自分の考えを不特定多数の人に届けることができます。
斎藤氏も、ネットのSNSを使い、少しずつ自分の本心を伝えることができ、それがネット空間で広がり、知事への再選を果たすことができたことになります。
斎藤氏の再選を取り上げた朝日の「天声人語」は次のように結ばれています。
既得権益側というメディアの不信に向き合わねば、分断を防ぐことはできまい。重い課題をつきつけられている。
マスメディアは「分断」を都合よく使い過ぎです。
トランプ氏を巡る「分断」とやらがあるのだとすれば、反トランプのマスメディアが、自分たちの都合で、それを創り上げたことを認めてください。
公平な議論の結果、意見の異なる人たちが二手に分かれてもそれは「分断」ではなく、単なる意見の相違です。これはあってはいけないものではなく、結果としてあってもいいことです。
マスメディアが持つ問題は、はじめから一方の側に強烈に肩を持ち、対する側を「敵」と見なして報じ、それを多くの人に信じ込ませることです。
これは、はじめに敵と味方に分け、自分たちにつかない側を敵と決めつけるのと同じです。
自分たちの都合で「分断」状況というようなものを作った上で、「分断が起きている!」「これは問題だ!」などと論じるのです。これは、自分で火をつけて、消火する「マッチポンプ」というやつです。
マスメディアで働く人間は卑怯な「工作員」というのが実態です。
マスメディアのこうした工作に気がつく人がどんどん増えています。斎藤氏の出直し選挙とその結果は、そのような民衆の声と受け止める必要があります。
トランプ氏が米大統領選で買ったことで米国に「分断」ができたのではなく、今まで、マスメディアをも操る勢力によって作られていた「分断工作」に米国民の多くが気がつき、それではいけないと立ち上がった結果です。
既存のマスメディアは、今、土俵際まで追い詰められていることを自覚すべきです。
来年1月、トランプ政権がスタートしたら、どのような展開になるでしょう。
「天声人語」の論調もがらりと変わるかもしれないといいますか、ことによったら、「かつて朝日新聞というのがあったんだよ。今は潰れてないけれどね。その新聞に『天声人語』という、一応名物のコラムがあったなぁ」と昔話のように語られることになる(?)かもしれません。
