今は、デジタルカメラで写真を楽しむ人が大半でしょう。デジタルとフィルムを比べたとき、一番大きく違うのはISO感度が爆発的に高感度化したことです。
私はフィルムの時代から写真を楽しみました。その時代、私が好んで使ったフィルムは、毎度書くように、コダックのポジフィルム(リバーサルフィルム)コダクローム64です。
商品名にあるように、このフィルムのISO感度(昔は「ASA感度」といっていました)はISO64です。

多くのデジタルカメラは、ISO100で始まるものが多いと思います。それよりも低い感度です。その低感度で、どんなものも撮影したのです。
フィルムカメラは、自分が使うフィルムを装填した時点で、ISO感度が固定されました。それに対し、デジタル時代の今は、自分で自由にISO感度を変更できます。
その感度が超高感度化しました。そのため、薄暗い状態でも、感度を高くすることで撮影できてしまいます。こんなことから、ストロボを使うことが減っていると思われます。
ただ、ストロボというのは、暗いから使うというわけではありません。ストロボを駆使する人は、ストロボを意識させないような光りの表現が得意です。
しかし、それは、プロの写真家がモデルを使って撮影する場合で、一般のユーザーが、モデルを撮影する機会はあまりありません。そのため、普通の個人が、ストロボを巧みに操って光りの表現をすることは敷居が高いです。
私も趣味で写真を楽しむアマチュアです。そんな私ではありますが、昨年12月頃、新しく登場したあるストロボに興味を持ちました。
中国のメーカー GodoxのiT32というストロボです。そのストロボを解説するYouTube動画を見て、強い関心を持ちました。
値段も高くないので、すぐにでも購入するつもりでいました。しかし、その前に、自分が持っているストロボでどんなことができるか確かめるうち、あることを、Googleの人工知能(AI)Geminiに訊いてみたくなり、訊きました。
私が訊きたかったのは、ストロボ撮影時の露出です。
私はストロボを基本的にはマニュアルで使います。カメラも、ストロボを使うときはマニュアル露出が基本です。
ストロボを使う上で考えなければならないのは、ストロボから被写体までの距離とF値です。ISO感度は、その時の光りの条件によって設定します。
こんなふうに考えたとき、露出決定の三要素のひとつ、シャッター速度はどんな立ち位置になるのだろう、と考えたりしませんか?
そのあたりのことをGeminiに尋ね、次のような回答を得ました。
はい、その通りです。ストロボの光をマニュアルで制御し、ISOとF値を固定した場合、物理的な**「距離」**が露出を決定する最大の要因になります。
おっしゃる通り、外光(定常光)が支配的でない室内などの環境では、シャッター速度の役割は非常に限定的になります。
シャッター速度の役割
外光の影響が少ない場所では、シャッター速度は**「1/200秒などの同調速度以下であれば、写真の明るさにほとんど影響を与えない」**ということになります。
その理由は以下の通りです。
- ストロボ光の一瞬の閃光: ストロボの光が光っている時間は非常に短く(一般的に1/1000秒〜1/10000秒程度)、シャッターが開いている時間(例:1/60秒や1/125秒)よりもはるかに一瞬です。
- 露出の切り分け: 室内では、シャッター速度を多少変えても、ストロボの光を捉える量は変わりません。シャッター速度は主に「背景のわずかな環境光」をどれくらい取り込むかを調整する役割になります。
距離と明るさの関係(逆二乗の法則)
ストロボと被写体の距離で露出を調整する際、覚えておくと役立つのが**「逆二乗の法則」**です。
Shutterstock
- **距離が2倍になると、明るさは1/4(2段分暗く)**になります。
- **距離が半分になると、明るさは4倍(2段分明るく)**になります。
わずかな距離の移動で露出が大きく変わるため、特に被写体に近づいて撮影する場合は、数センチの差が適正露出を左右します。
私は続いて、ストロボの「ガイドナンバー(GN)」について訊きました。ストロボはガイドナンバーを持ちます。その数字が大きいほど、発光された光が遠くまで届きます。
ストロボをマニュアルで使う場合、どのくらいの距離から、どのF値で撮れば、正しい光の量になるか、自分の頭で計算しなければなりません。
これについても、Geminiはわかりやすく解説してくれました。
魔法の公式:GN = 距離 × F値
ガイドナンバー、距離(m)、F値の関係は、常にこのシンプルな掛け算で成り立っています。
GN = 距離(m)× F値
この式を並び替えると、実戦で使える以下の2つの計算ができます。
- F値を決めたいとき: F値 = GN ÷ 距離
- (例)GN20のストロボで、被写体まで5m離れているなら、20 ÷ 5 = F4が適正。
- 届く距離を知りたいとき: 距離 = GN ÷ F値
- (例)GN20のストロボで、F8で撮りたいなら、20 ÷ 8 = 2.5mまで近づく必要がある。
いずれの計算も、ISO100で計算するのがポイントです。こんなふうに考えると、とてもシンプルです。
私は質問の途中で、自分が昔に買って持っているストロボについて訊きました。フィルム時代に使ったヤシカのコンタックスブランドの小型ストロボ「CONTAX TLA20」です。

Geminiは非常に古いストロボの名を挙げても、所有者の私よりも熟知しています。
このストロボも、商品名に20とあることがわかるように、ガイドナンバーはGN20です。
このストロボをマニュアルで使う場合は、発光の強さをHiとLoの2種類しか選べません。Hiがフル発光であることはわかります。そこで、Loは1/2程度の発光なのかと訊くと、目の玉が飛び出すほどビックリする、次のような知見をもたらしてくれたのです。
懐かしい銘機、Contax TLA20ですね! ヤシカ・コンタックス(ヤシコン)時代の名脇役ともいえるストロボですが、マニュアル設定の「Lo」については少し注意が必要です。
結論から申し上げますと、**「Lo」は「1/2」ではなく、さらに大幅に光量を落とした設定(約1/50相当)**です。
当時の仕様書に基づいた正確な数値は以下の通りです。
Contax TLA20 のマニュアル発光量(ISO100時)
- Hi(フル発光): ガイドナンバー 20
- Lo(弱発光): ガイドナンバー 2.8
なぜこんなに低いのか?
「Lo」の設定は、主に以下の2つの目的で作られていました。
- ワインダー/モータードライブへの同調: 当時のフィルムカメラで連続撮影(秒間2〜3コマ程度)をする際、フル発光(Hi)だと充電が間に合いません。光量をGN2.8まで落とすことで、チャージ時間を極限まで短くし、連写に追いつくように設計されていました。
- 近接撮影(マクロ撮影): 至近距離で撮影する場合、GN20だと絞り込んでも露出オーバーになりがちです。GN2.8という小さな光量は、接写時に非常に重宝されました。
今のカメラは高速連写が当たり前のようにできます。フィルム一眼レフ時代は、今とは比較にならない連写性能でした。
しかし、私が使ったContax RTSと後継機のRTS IIのために、ワインダーも購入しました。しかし、フィルム代と現像代を考え、積極的には使いませんでした。

それはともかく、なんと、TAL20のLoは、ガイドナンバーが2.8なのでした。現行のストロボで、ガイドバンバー2.8で使えるものはあるでしょうか。私は聞いたことがありません。
ストロボを使った撮影で難しいのは、発光が強すぎるのが多いことです。だから、被写体の近いところでストロボを発光させると、露出オーバーになってしまいます。
その点、ガイドナンバーが2.8は、被写体近くで発光させるのには非常な武器となります。
先ほどの計算を当てはめて、そのあたりのことを考えてみます。ISO100のとき、F2.8で、ストロボを1mまで近づけられるということです。
室内で撮影するときに重宝しそうなことが想像してもらえると思います。
ガイドナンバーはISO感度に連動します。具体的には次のとおりです。
ISO感度とガイドナンバーの関係
基本のGN(20や2.8)は「ISO100」が基準です。ISOを上げると、以下の倍率でGNが「進化」します。
- ISO 100: GN 20 / GN 2.8(基準)
- ISO 200: GN 28 / GN 4 (約1.4倍)
- ISO 400: GN 40 / GN 5.6(2倍)
- ISO 800: GN 56 / GN 8 (約2.8倍)
- ISO 1600: GN 80 / GN 11 (4倍)
※ISOが「2段(4倍)」上がると、GNは「2倍」になります。

GN2.8を基準として、ISO1600にすれば、GN11として使えるということです。これは、使いようによって、表現の幅が広がりそうです。
こんなことをGeminiに教えてもらい、昨年に興味を持ったストロボのことはひとまず忘れ、昔に手に入れたTAL20を使って、ストロボ表現の可能性を追求してみようと前向きに考えています。
今回も、Geminiとやり取りしたことを基に動画を生成してもらっています。良かったら見てやってください。
