4K放送は視界不良?

昔は、家族がテレビのチャンネル争いで喧嘩になり、暴力事件にまで発展するケースがまれに起こりました。最近はこの手の話を聞きません。

今は、テレビ放送への需要が減っています。それはそうでしょう。新聞のテレビ欄を見ても、各社同じようなラインナップで、見てみようという気が起きません。

テレビ放送の低迷に反比例するように、ネットを介して動画を見る人は年々増加しているでしょう。ネット動画の視聴には、多くがスマートフォンなどを使っているのではないかと思います。

私はスマホは持っていないので、YouTubeの動画は、PCのモニタか、テレビ受像機で見ています。

本日、家で取っている新聞の日経と産経が同じ内容の記事を報道しています。家で取るほかの二紙、朝日と地方紙にはその記事がありません。

日経と産経が伝えるのは、BSで4K放送をしていた民放のキー局5局(BS日テレ、BS朝日、BS-TBS、BSテレ東、BSフジ)が、BS放送から撤退を決めたとする内容です。

デジタルのカメラが登場以降、メーカー各社は、画素数(画面解像度)の競争をしています。同じサイズの撮像素子上に、どれだけ多くの画素を埋め込めるかの競争です。画素数が多いほど、解像度が高まるという理論から生まれた競い合いです。

理屈の上ではそうなるのでしょうが、ある一定のレベルまで達すると、そこから先の解像度向上が感じにくい現象が起きます。

画素数の競争がテレビ番組を放送する映像の世界にまで及んだのが、いわゆる4Kテレビ放送です。

現在の2K放送(1050i)に比べ、4K,(2160p)は、画素数が2倍になり、縦横では4倍になります。その分、より精細な映像が得られるという理屈です。

HDとフルHDの違いは?

日本で4K放送が始まったのは2018年です。当時のことを思い返すと、例によってマスメディアは、4K放送を盛んに煽っていた印象です。

【9/1(日)4K放送スタート!】新保里歩が4K放送の魅力を紹介!!

映像が綺麗になるのであれば、2Kから4Kへ乗り換える人が続出しそうですが、現実はそうはなりませんでした。

4K放送はBSでの放送です。4K放送を受信するには、4k用のアンテナと4K用チューナーが内蔵されたテレビ受像機が必要です。4K放送が充実した内容で、4K放送を観る人が増えれば、様子見していた人も、4Kに乗り換えたかもしれません。

しかし、BS4K放送は2Kと同じ内容で、番組に魅力がありません。また、実際に4Kで番組を見た人も、2Kとの違いを感じにくい面がありました。それで、2Kから4Kへ乗り換える機運は生まれませんでした。

4K放送が始まった当初は、新聞のテレビ欄でも、4K放送であることを強調していました。しかし、それははじめだけで、テレビ欄で4Kであることを確認できる番組は減少に向かいました。

同じことは、YouTubeでもいえます。

YouTubeで4K動画を配信できるようになった当初は、4Kで挿画を配信する人が多く現れました。4K動画には、4Kの文字がつきました。今、YouTubeでそれを確認すると、私のお勧めに上がっている動画で4Kがつく動画はひとつもありません。

私はYouTube動画をテレビ受像機で見ることもしていますが、多くの人は、スマホなどの小さな画面で見ているでしょう。そのサイズで動画を楽しむのであれば、4Kで動画を創る必要性は弱まります。2Kとの違いを感じられないからです。

Youtube用に4Kで動画を作ると、画素数が多い分だけ動画のファイルサイズが大きくなります。

事情は、テレビ番組を制作するテレビ局の製作現場も同じです。4Kに対応したカメラと編集機材などが必要になります。テレビ局は、4Kと並行して現行の2Kでも運用しなければならず、設備への投資がその分大きくなってしまいます。

【4Kテレビ】地上波だけでは使えません。テレビを買い替えても画質が向上しない理由を解説します。

それにより、今回撤退を決めた民放BSキー局5局はどこも、年間で8~10億円程度の赤字状態にあるそうです。視聴者数が低迷し、広告収入も芳しくないため、これ以上4K放送を維持するのは無理と判断した結果のようです。

日経の記事によれば、今回撤退を決めた民放BS4Kに与えられている放送免許は、2027年1月に期限切れとなるそうです。

なお、NHK BS4Kは撤退の意志がなく、今後も続ける模様です。

私はNHK BSを利用していますが、NHK BS4Kが誕生したことで、影響を受けています。

それがない以前は、NHK BS1NHK BSプレミアムの2波に分かれ、ニュースやスポーツ中継はBS1、映画やドラマの放送はBSプレミアムというように棲み分けができていました。

それが、NHK BS4Kがたんじょうしたことによって、NHK BS1波に統合されてしまいました。その結果、BSプレミアム中心に利用していた私からすると、そこへ、ニュースとスポーツ中継が流れこんできた印象です。

米国のテレビドラマ『刑事コロンボ』の放送にしても、毎週必ず放送されるわけではありません。スポーツ中継などが入ると、放送が休みになってしまうからです。

私はカーリングの競技には興味がありません。これらの中継があると、見たい番組の放送が休みになってしまいます。

個人が使うカメラにしても、私は特別画質にはこだわらないため、これまで、4Kで動画を撮りたいと思ったことがありません。

こんなわけで、私個人に限っていえば、4K動画をそれほど必要としていません。

世の中が4Kに動いたときは考えますが、そうでない限り、2Kでテレビ番組と趣味の動画撮影を楽しむことをします。