誰もがネットで発信できるようになったといわれるけれど

本日の地方紙に、生成AIの利用状況を千葉大学が調査した結果が載っています。

調査したのは、千葉大学予防医学センターの中込敦士准教授(社会疫学)を中心としたチームで、2025年1月にその調査をしたと記事には書かれています。

今は2026年2月です。とすれば、1年前の調査になります。調査結果をまとめるのに1年かかったということでしょうか。

調査対象は、インターネットを使う18歳以上の男女計1万3367人です。ネットを使って実施された調査のようです。

訊いたのは、「チャットGPT」「コパイロット」「Gemini」などを、1年間で利用したかどうかです。利用したことがない人には、その理由も尋ねています。

この調査でわかったのは、利用したことがある人が2847人(21.3%)であることです。そのうち、18歳~54歳の利用者が、75歳以上の利用者の約1.4~1.7倍になるとされています。

男女比では、男性の利用が女性の約1.8倍という結果です。

利用しなかった人にその理由を尋ねると、もっとも多かったのが「必要性を感じない」からで、これが約4割だそうです。

私はこの記事を読んだあと、GoogleのAI Geminiに質問をしました。訊いたのは、YouTubeのサービスが日本で始まった時期です。Geminiは次のように教えてくれました。

YouTubeが日本で本格的にサービスを開始したのは、2007年6月19日です。

この日に日本語版のトップページが開設され、UI(操作画面)が日本語に対応しました。YouTube自体は2005年にアメリカで誕生していましたが、2007年の日本語版リリースによって日本国内での利用者が一気に拡大するきっかけとなりました。

日本でのあゆみ

  • 2007年6月19日: 日本語版サービス開始。
  • 2008年: 収益化プログラム(YouTube パートナープログラム)が日本でも開始。
  • 2022年: 日本上陸15周年を迎えました。

私もYouTubeには自分のチャンネルを持っています。それをいつ作ったのか確認しました。私が自分のチャンネルをYouTubeに開設したのは、2008年7月21日です。

YouTubeが日本に上陸する以前から、私は、昔から映像に強い興味を持つこともあり、自分のサイトのサーバを使い、PCで作った動画をアップロードして、本サイト内で公開していました。

YouTubeが日本でサービスを提供し始めたことを知り、すぐにYouTubeに移行することも考えました。しかし、結果的には、1年様子を見て、YouTubeにチャンネルを作ったことがわかります。

私は、YouTubeの日本での利用状況が気になりました。そこで、YouTubeが日本でサービスを提供し始めてから3年後に、YouTubeに自分の動画を投稿する日本人が、全体の何パーセントぐらいか尋ねました。

すると、次のように回答してくれました。

YouTubeが日本で使えるようになってから3年後、つまり2010年(平成22年)頃の状況ですね。

結論から申し上げますと、当時「自分のチャンネルを持って動画を投稿していた人」は、全人口の1%にも満たなかった(あるいは多く見積もっても数%程度)と考えられます。

正確な「チャンネル開設者数」の統計は当時存在しませんが、いくつかのデータから当時の状況を推測できます。

2010年当時の状況と推測の根拠

  1. 「見る」人は増えていたが、「投稿する」人は極めて少数
    • インターネット利用率: 当時の日本のインターネット利用率は約78%(利用者数 約9,462万人)でした。
    • 動画視聴の経験: ネット利用者の多く(約40〜50%程度)がYouTubeやニコニコ動画を見るようになっていましたが、投稿についてはハードルが高く、「動画は見るもの」という認識が一般的でした。
    • 投稿経験率: 2007年の調査ですでに「動画投稿サイトへの投稿経験がある」とした人がネット利用者の約8%というデータがありますが、これはYouTubeに限らず、当時流行していたmixi動画やニコニコ動画なども含んだ数字と思われます。
  2. 投稿のハードルが高かった
    • 現在はスマホ1つで撮影・編集・投稿ができますが、2010年当時はiPhone 4が出たばかりの時期です。
    • 多くの人は、ビデオカメラで撮影し、パソコンに取り込み、編集ソフトで変換してアップロードする必要がありました。この手間をかけられる人は、当時かなり限られていました。
  3. 「YouTuber」という言葉もまだなかった
    • 日本で「YouTuber」という言葉や職業が定着し始めたのは、HIKAKINさんなどがテレビCM(「好きなことで、生きていく」)に出演した2014年頃からです。
    • 2010年当時は、ごく一部の愛好家やクリエイターが、趣味や技術発表の場としてひっそりと動画を上げていた時代と言えます。

昨今は、ブログのサービスから撤退するとの報道がよく見受けられます。そこで、今も個人でブログやサイトを運営する人は、ネット利用者の何パーセントぐらいか、Geminiに訊きました。その結果わかったのは、次のようなことです。

個人でブログやウェブサイトを「現在進行形で運営・更新している人」は、日本のインターネット利用者の中でも10%未満(おそらく5〜8%程度)まで減少していると推測されます。

総務省の通信利用動向調査などのデータを見ると、以下の傾向がはっきりと出ています。

なぜ「個人サイト」は減ったのか

  1. 「発信」のハードルが下がった(SNSへの移行)
    • 現在、日本人の約80%が何らかのSNS(X、Instagram、LINEなど)を利用しています。
    • 「今日食べたもの」や「ふと思ったこと」を発信するのに、わざわざHTMLを書いたり、ブログの記事構成を考えたりする必要がなくなりました。その手軽さに多くの人が流れています。
  2. 「ストック」から「フロー」へ
    • ブログやサイトは情報が蓄積される「ストック型」ですが、現代の主流はタイムラインで情報が流れていく「フロー型」です。
    • 「一生懸命記事を書いても、誰も見に来ない」という徒労感から、反応が即座に得られるSNSへ移行した人が多いです。
  3. 検索エンジンの変化
    • Google検索などの仕組みが変わり、個人の日記や小規模なサイトが検索結果の上位に表示されにくくなりました(大手企業や公的機関が優遇される傾向)。これも個人運営者のモチベーション低下につながっています。

私が本サイトの運営を始めたのは、1999年10月17日です。

日本人の約80%が何らかのSNS(X、Instagram、LINEなど)を利用しています」とありますが、私は、「SNS(X、Instagram、LINEなど)」を100%利用していません。これまで、それを見たことが一度もありません。

その意味では、SNSに関しては、全体の傾向と反対の立ち位置になります。

千葉大の調査結果から推測できることがあります。それは、多くの人がネットを利用するようになった一方で、自分が送り手になって、ブログやサイトから記事を配信したり、YouTubeなどの動画共有サイトで、自分の動画を配信する人の割合は、ネット利用者増大の割りには増えていないことです。

私も、本サイトの運営や、自分のYouTubeチャンネルがなかったら、生成AIに今ほど興味を持つことはなかっただろうと思います。生成AIを利用しない理由の「必要性を感じない」がそのまま当てはまったでしょうから。

自分のサイトやYouTubeチャンネルを持たない人は、生成AIで何かを作っても、自分が楽しむ以外、使い道がないと思います。

その考えがあったので、YouTubeチャンネルの利用者や、サイトなどを運営する人の割合をGeminiに尋ねてみたというわけです。

千葉大で調査した中込氏は、締めくくりとして、今後、生成AIが使われるようになるには、使い方が優しいAIのようなものが必要になると話しています。

どんなに使い方が優しくなっても、使わない人は使わないだろうと思います。それこそ、それを使う必要性を感じなければ、使わないからです。

だからといって、生成AIを活用するため、一人でも多くの人が、自分のサイトを運営し、自分のYouTubeチャンネルを持て、とはいえないでしょう。

必要な人には必要な生成AIですが、それに必要性を感じない人は、今後も使うことがないと思われます。

そんなことを、新聞の記事を読んで感じました。

本更新で取り上げたことを、NotebookLMに読み込ませて、動画を生成してもらいました。文章を読むのが面倒な人は、動画をご覧ください。

クリエイター幻想:YouTubeから生成AIまで