トランプ政権がベネズエラの石油利権を狙っている?

朝日新聞が、米国のドナルド・トランプ大統領を嫌っていることはわかっています。しかし、建前上、新聞は社会の公器とされています。そのあたりのことを考え、もう少し、客観的な報道はできませんか?

本日の朝日新聞は、1面と2面でベネズエラ情勢を扱っています。

1面は次の見出しによる記事です。

この見出しを見た人は、この3日に行われた米軍によるニコラス・マドゥロ氏夫妻拘束の目的が、世界最大の埋蔵量である、ベネズエラの石油利権にある、考えてしまうかもしれません。

マドゥロ氏を「マドゥロ大統領」としなかった理由は、本コーナーで書いていますので、それをご覧ください。

朝日が、ベネズエラの石油をどのように考えているかわかりません。採掘した原油がどのような状態にあるか知っていますか?

私は少し知っていました。それを確認するため、GoogleのAI Geminiに尋ね、次のように教えてもらいました。

ベネズエラは「宝の持ち腐れ」とも言える非常に特殊な状況にあります。 おっしゃる通り、埋蔵量は世界1位ですが、産出量はトップ20圏外にまで落ち込んでいます。

現在の状況と、なぜ精製が大変なのかを整理して解説します。


1. 産出量の世界的な地位:埋蔵量1位 vs 産出量21位

ベネズエラの原油統計は、そのポテンシャルと現実のギャップが極めて大きくなっています。

  • 埋蔵量:世界第1位 約3,032億バレルという莫大な埋蔵量を誇り、サウジアラビアを抜いて世界一です。
  • 産出量:世界第21位前後(2024-2025年時点) 現在の産出量は日量約80万〜90万バレル程度に留まっています。 かつて(1990年代)は日量300万バレル以上を生産し、世界トップクラスの輸出国でしたが、現在はアメリカ、サウジアラビア、ロシアといった上位陣の10分の1以下の規模にまで縮小しています。

なぜここまで減ったのか? 主な理由は「政治的な混乱」「国営石油会社(PDVSA)の放漫経営」「熟練技術者の流出」、そして「アメリカによる経済制裁」です。これらにより、設備のメンテナンスができず、油田が放置される事態となっています。


2. 「ドロドロ」の正体:超重質油(オリノコ・タール)

ベネズエラの原油が「精製が大変」と言われるのは、その物理的な性質に理由があります。

  • アスファルトのような粘り気 ベネズエラの主要な油田(オリノコ・ベルト)から採れるのは、**「超重質油」**と呼ばれるものです。常温では液体というより「ドロドロのタールやアスファルト」に近く、そのままではパイプラインを流れることすらできません。
  • 不純物が多い(サワー原油) 硫黄分やバナジウム、ニッケルといった金属分が非常に多く含まれています。これらは精製装置を腐食させたり、触媒をダメにしたりするため、取り除くのが極めて厄介です。

3. 精製に手間がかかる具体的な理由

この「ドロドロ原油」をガソリンや灯油に変えるには、普通の石油よりも多くの工程とコストが必要です。

  1. 希釈が必要: 運ぶために、わざわざ外国から輸入した軽い油(ナフサなど)を混ぜてサラサラにする必要があります。
  2. 高度な設備が必要: 不純物を取り除き、重い成分を分解するために「アップグレーダー」という特殊な巨大施設が必要です。
  3. 環境負荷が高い: 精製に多くのエネルギーを使うため、普通の原油に比べてCO2排出量が多くなり、現代の環境基準では敬遠されやすいという弱点もあります。

まとめ

ベネズエラは**「世界最大の貯金(埋蔵量)があるのに、引き出すための道具(設備・技術)が壊れていて、さらに中身が非常に扱いにくい小銭(重質油)ばかり」**という状態です。

これらを解決して再び産出量を増やすには、1,000億ドル(約15兆円)以上の投資と、10年以上の歳月が必要だと言われています。

続いて、石油産出量で、断然トップの米国について、Geminiに訊き、次のような回答を得ました。

アメリカの石油産出量は現在、世界第1位です。

2位のサウジアラビアや3位のロシアを大きく引き離し、独走状態にあります。具体的な数字と背景は以下の通りです。

1. 1日の産出量はどれくらい?

2025年の最新データ(米エネルギー情報局:EIAの見通し等)に基づくと、アメリカの原油産出量は以下の通りです。

  • 日産:約1,350万 〜 1,380万バレル
  • バイオ燃料などを含めた「全石油液体」ベース:日産2,000万バレル以上

これは、サウジアラビア(約900万バレル前後:減産中)やロシア(約900万〜1,000万バレル前後)と比較しても圧倒的な規模です。2018年頃にサウジアラビアを抜いて以来、アメリカは世界最大の産油国の座を維持し続けています。


2. なぜアメリカがこれほど強いのか

かつてアメリカは「石油を輸入に頼る国」でしたが、2010年代からの**「シェール革命」**で状況が一変しました。

  • シェールオイルの増産: テキサス州などの広大な地域にある、地下深くの硬い岩盤(シェール層)から石油を取り出す技術(フラッキング)が確立されました。
  • 技術革新: 掘削効率が飛躍的に上がり、以前よりも低いコストで大量の油を掘り出せるようになっています。
  • 輸出大国への転換: 2015年に原油の輸出禁止措置が解除されて以降、アメリカは世界有数の輸出大国にもなりました。

3. ベネズエラとの対照的な関係

興味深いのは、先ほどお話しした「ベネズエラ」との関係です。

  • アメリカ: 「軽質油(サラサラ)」が多く採れる。
  • ベネズエラ: 「重質油(ドロドロ)」が多い。

実は、アメリカの精製所(特にメキシコ湾沿い)の多くは、もともと「ベネズエラ産のような重い油」を処理するように設計されていました。そのため、自国でサラサラな油がたくさん採れるようになった今でも、製品のバランスを取るために、わざわざ外国から重い油を輸入したり、自国の軽質油を輸出したりするという複雑な貿易構造を持っています。


朝日は、トランプ氏の野心がベネズエラの石油利権にあることを匂わせています。しかし、Geminiが答えてくれたように、米国がベネズエラの石油に頼る理由が見当たりません。

石油大国、ベネズエラと米国の明暗(Gemini生成の画像)

朝日は、記事にして読者に届ける際には、こうした現実も合わせて記事にすべきです。それをしないと、偏った記事になります。

トランプ大統領の米政権は、同国の石油産業を立て直すことに力を貸すといっているのです。トランプ氏は、ベネズエラを立て直すのに、自国の納税者から徴収した税金はまったく使わないと明言しています。

ベネズエラ再建には資金が必要です。その足しとして、石油産業に力を入れるよう、促しているのです。

記事には、トランプ氏が次のように説明したとあります。

我々の巨大な石油企業は、少なくとも1千億ドル(約16兆円)を投資する。

Geminiの回答の中に、次の記述があります。

ベネズエラは**「世界最大の貯金(埋蔵量)があるのに、引き出すための道具(設備・技術)が壊れていて、さらに中身が非常に扱いにくい小銭(重質油)ばかり」**という状態です。

これらを解決して再び産出量を増やすには、1,000億ドル(約15兆円)以上の投資と、10年以上の歳月が必要だと言われています。

投資資金が符合すると思いませんか。それらがすべて頭の中に入っている上で、トランプ氏は説明しているのです。思いつきで述べてはいません。

ベネズエラは何十年にもわたって、混乱した状態にありました。朝日の2面は、暫定大統領になったデルシー・ロドリゲス氏が、自国と米と板挟みになっているとしています。

いいですか? これまで何十年も民主国家ではなかったのです。すぐに、民主的な国になれるわけがありません。すぐに答えを得ようとせず、息長く、改善するしかありません。

その改善資金のひとつに、ベネズエラに埋蔵されている石油も使おうというだけの話です。

政治系YouTuberの菅野完氏も、米国はベネズエラの石油が狙いといっていました。米国とベネズエラの石油事情を知らないのでしょうか。

本日の豆印象
菅野氏は、立花孝志氏と同類に見えて仕方がありません。常に誰かを批判していないと気が済まないところがよく似ています。

批判のための批判ほど、見苦しいものはありません。

本更新の基となったGeminiの回答を、NotebookLMで動画にしてもらいました。良かったら見てやってください。

石油大国の光と影