来年春のセンバツ大会(選抜高等学校野球大会)出場をかけた地区大会が全国で開かれています。関東でも先週末の18日に始まりました。
関東は、準決勝に進出した4校がまず、選抜出場の権利を得ます。東京は東京だけで大会を開き、優勝校がセンバツ出場を手にします。関東・東京の出場枠は6枠あります。その6枠目は、関東と東京のどちらかから選ばれます。
昨日は、準々決勝が2試合行われ、勝った2校が選抜出場をほぼ手にしました。
秋季関東大会は関東と山梨で行われます。今年は山梨が会場です。大会の開催県にはアドバンテージが与えられます。
ほかの県は、各県の決勝まで勝ち進んだ2校が関東大会に出場します。開催県だけは3位校まで3校が出場できます。また、開催県の1位校は、スーパーシードの扱いで、準決勝進出をかけた1試合に勝つだけで、センバツへの出場権を得ます。
山梨の1位校は山梨学院で、昨日の第1試合で、埼玉2位校の浦和学院を6-3で下し、センバツ出場をほぼ決めました。
関東大会は、昨日の準々決勝から、選抜大会を日本高野連と主催する毎日新聞が、インターネットで試合の模様を生中継し始めました。私は、昨日の2試合を中継で見ました。
第2試合は、千葉1位校の専修大学松戸と神奈川1位校の横浜の対戦でした。両校ともエースナンバーではない1年生の投手が先発しています。
奇遇なことに、どちらの投手も小林姓です。横浜が背番号10の小林鉄三郎投手、専大松戸が背番号11の小林冠太投手です。ふたりとも左投手です。
選抜出場をかけた試合にチームのエースでなく、2番手、3番手の背番号をつけた投手を使ってきたのです。それだけ、監督の信頼が厚いといえそうです。
横浜の小林(鉄)は、上背が180センチあり、のびのびと投げていた印象です。対する専大松戸の小林(冠)は、ピンチになると苦しそうな表情を浮かべていました。
このことは以前の本コーナーで書いたことがありますが、試合が行われたグラウンドの広さが影響した面があったかもしれません。
試合は、専大松戸が4-2で横浜を破っています。このうち3点が、ソロと2ランの2本のホームランだったからです。
試合が行われたのは、山日YBS球場(山梨県小瀬スポーツ公園野球場)です。
両翼が92メートル、センターが120メートルです。私が観戦に行く地方球場は、両翼が98メートル、中堅が122メートルであることがほとんどであるように記憶します。それに比べると、センターが2メートル、両翼が6メートル短いです。
ちなみに、千葉県内で高校野球に使用される球場のデータは次のようになっています。新しく造られた球場ほど広くなっている傾向が見られます。
| 球場名 | 両翼(メートル) | 中堅(メートル) |
|---|---|---|
| 千葉マリンスタジアム | 99.5 | 122 |
| 千葉県総合SC野球場 | 98 | 122 |
| 青葉の森スポーツプラザ野球場 | 91.4 | 118.9 |
| 習志野市秋津球場 | 92 | 122 |
| 船橋市民野球場 | 90 | 120 |
| 国府台スタジアム | 95 | 122 |
| 浦安市運動公園野球場 | 98 | 122 |
| 県立柏の葉公園野球場 | 98 | 122 |
| 成田市営大谷津球場 | 92 | 120 |
| 大栄野球場 | 100 | 122 |
| 市原臨海球場 | 98 | 122 |
| 袖ケ浦市営球場 | 98 | 122 |
| 長生の森公園野球場 | 98 | 122 |
昨春の選抜大会から地方大会も含め、低反発バットが導入されました。そのバットに替わったことで、今後は長打に頼らない細かい野球になるのではと見られました。しかし、短期間で新バットに対応したようで、これまでの野球とそれほどの変化を感じなくなりました。
昨日の関東大会第1試合では、山梨学院の4番打者、身長194センチの菰田選手がセンター後方のバックスクリーンへのホームランを打っています。しかし、高校生が打つホームランの多くは、それ以外の外野に打つことがほとんどです。
その距離が、多くの球場より6メートルほど短いことは、打者の心理的にも、そして、実際の飛距離にしても、大きな違いがあるように感じます。
横浜の小林(鉄)がもっと広い球場で投げていたら、2本のホームランとも、外野への安打か、外野フライになっていた可能性がないともいえません。
私は試合の最終盤、することがあったので、ネットの放送を見ることができませんでした。試合後に確認すると、2点差のまま9回表の横浜の攻撃になっています。
横浜の先頭打者が死球で1塁へ歩き、続く4番打者が、三塁とショートの間を抜くヒットを打ち、ノーアウト1.2塁のチャンスを作りました。次の打者が、バントで走者を2、3塁へ送っています。
このチャンスに、横浜は織田投手の打順で代打を送るものの三振に打ち取られ、2アウト2、3塁です。ここでまた、打者が死球となり、満塁になりました。
8番打者が打った打球は二塁方向へ飛んだものの、二塁手が捕球し、ゲームセットとなりました。
あれは、横浜の何回の攻撃でしたか、1、2塁に出ていたランナーが、中途半端に飛び出し、2走者ともアウトになり、チャンスをふいにしています。
試合を振り返って感じるのは、監督の采配の差が結果に表れたように感じることです。
3年生が抜け、1、2年だけの新チームなってからの専大松戸は強さが際立ちます。千葉県の予選では、決勝戦以外はコールド勝ちであったように記憶します。
決勝戦はコールド相当のスコアになってもコールドゲームにはなりません。それを抜きにしても、千葉の決勝はコールドゲームのスコアにはなっていません。
その勢いは関東大会に入っても衰えず、初戦の栃木2位校の文星芸大付にも9-2の7回コールド勝ちしています。
専大松戸の持丸(もちまる)監督は、選手の素質をよく把握しているのでしょう。4番を任せる吉岡選手も、以前は三塁手だったのを捕手にコンバートしています。
勝負の行方を大きく左右する投手の起用も、よく考えているのでしょう。本来であれば、背番号1をつける門倉投手を使うところ、小林(冠)に任せ、結果的には完投させました。
小林(冠)は、9回を投げて被安打が10、四死球が10です。合わせて、10人。たしか、失策もあったと思いますので、20人以上の走者を背負いながら、2失点で切り抜けたというわけです。
ベンチから見守ることしかできない監督は、ピンチの場面では、エースに交代することが頭を過(よぎ)ったでしょう。しかし、その素振りが一度もありませんでした。
一方、横浜の村田監督は、6回の攻撃時に小林(鉄)の打順で代打を送り、6回の守備からはエースの織田投手をマウンドへ送っています。
小林(鉄)は5回を投げ、被安打が4で四死球が1です。打たれた安打のうち、2本がホームランだったのが大きく響いています。そのホームランにしても、試合が行われた球場の狭さが影響しているかもしれないことはすでに書いたとおりです。
投手を交代するタイミングの判断は難しいです。交代したことで、それまでの試合の流れが変わることがままあるからです。
我慢できない監督であれば、9回表の専大松戸の守りで、ノーアウト1、2塁になったところで、別の投手に交代したくなります。それをせずに小林(冠)を信じ切った持丸の判断が、結果的に、勝利を呼び込んだといえそうです。
もちろん、監督の期待に小林(冠)が応えたからであることはいうまでもありません。
関東大会の準決勝は今度の土曜日に予定されています。目下の私の関心は、専大松戸の持丸監督が、山梨学院戦で誰を先発させるかです。
次はエースの門倉でいくしょうか。それともまた、背番号11の小林(冠)に任せるのでしょうか。相手打線を研究し、どちらが有効か、これから作戦を練るのかもしれません。
これまで先発させていない投手を先発させ、それが成功するようなことがあれば、策士と見なければならなくなります。
監督の采配に注目してみると、別の見え方がしてくるように感じる試合でした。
全国の地区大会で優勝したチームは、明治神宮野球大会に出場します。そこで優勝すると、優勝したチームの地区が、センバツ大会へ出場できる権利を1枠余計に得ることができます。
関東か東京が神宮大会で優勝すると、関東・東京の6枠枠に加えて7枠目を獲得できます。昨年は、横浜が神宮大会で優勝し、7枠目を東京の準優勝校が得て、早稲田実業が選ばれています。
センバツを選出する高野連と毎日新聞に好まれる傾向の学校があります。関東・東京でいえば、早稲田実業や横浜がそれにあたります。
来年1月にある選好で、今年の関東大会でベスト4に残れなかった横浜が関東・東京の6枠目になることがあれば、主催者の好みが現れた結果と見るべきでしょう。
そもそもの話として、選抜大会というのはそういう大会です。選考をする側が出場させたいチームを選抜するのが春のセンバツです。
極論をいえば、地区大会を行わず、各都道府県だけで秋期大会を行い、それを見て、甲子園に出場させたいチームを選ぶというのが本来の趣旨に合っているといえなくもないほどです。
なお、来春のセンバツ大会からは、その後の地方大会も含め、高校野球で初めて、指名打者(DH)制が導入されます。投手の打順で、打撃専門の選手を指名して起用できる制度です。
投手にDHを利用せず、投手にそのまま打撃をさせる自由も選べます。
本更新で書いた専大松戸の持丸監督は、70代後半です。そろそろ後進に道を譲ってもいい年齢です。専大松戸の野球が変わることがあるとすれば、監督が交代するタイミングがひとつ考えられます。
今の専大松戸の伝統は次の監督にも引き継がれるでしょう。しかし、試合ごとの選手起用は、新しい監督が受け持ちます。しかも、試合中の監督の心理状態や、采配までを新監督が引き継ぐことは難しいでしょう。
もっともこれは、どのどのチームにも共通していえることです。それだけ、監督がチームに与える影響は小さくないありません。
それはともかく、DH制が導入されることで、高校野球の戦略が変わる可能性があります。それを活かすも殺すも監督次第といえ、監督の采配がこれまで以上に注目されるようになるかもしれません。
