人類が排出する二酸化炭素(CO²)濃度が高まったことにより、地球が温暖化しているとして、CO²を排出せずに、電力を入手する方法が模索されています。
ひとつは太陽光発電で、もうひとつは風力発電です。どちらも、それを建設することで、どれほどの電力が賄(まかな)えるのか私は知りません。
どちらにしても、建設によって、自然が破壊されます。それは、脱炭素のためには目をつぶるということでしょうか。
この関連でいえば、先月27日、三菱商事が、ある計画の撤回を決定しています。
それは、秋田県の能代市・三種町・男鹿市沖と由利本荘市沖の二カ所と、千葉県の銚子市沖に予定していた洋上風力発電所の建設です。
本日の産経新聞「正論」では、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志氏(1969~)による「再エネ是非を国会で争点にせよ」という提言が載っています。
その中に、三菱商事が風力発電計画を撤回した理由を次のように書いています。
資材価格の高騰や金利の上昇で建設費が入札時の倍以上に膨らみ、採算のめどがたたなくなった(ため)
計画が撤回された三地点のひとつ、千葉県の銚子は、過疎化が進む地域です。そのため、何らかの地域振興(地域おこし)が必要だったのでしょう。その銚子市が期待をかけたのが風力発電事業だったというわけです。それが計画だけで終わったことに、市は大いに困惑している模様です。
昨日の地方紙がそれを報じています。
それによれば、地元の関係者からは地域振興の取り組み継続を求める声が相次いでいるとして、それを千葉県に伝えたそうです。県としても、銚子からの声は無視できず、対策のためとして、「銚子地域の未来創造会議」を早速新設しようという動きになっているようです。
こうした自治体の動きを見ると、脱炭素とは別に、政治や経済の思惑で動いていることを感じてしまいます。
銚子市が風力発電建設に動いたのは、脱炭素を名目として、腹には地域振興があったのではなかろうか、と。
個人的に心配になるのは、銚子の漁業です。
銚子港の沖合に巨大な風力発電施設を建設し、巨大なプロペラを二十四時間休まずに回転させることが、漁業の町銚子には影響しないものでしょうか。
あくまでも素人の想像ですが、漁業のためには良くないような気がします。
自然豊かな地域に鉄道や道路の建設計画が持ち上がると、自然保護の観点から、必ずといっていいほど反対運動が起きたりします。それと同じことが、海洋風力発電所計画では、そんな話をあまり聞きません。これも少し妙な感じです。
結局のところ、脱炭素ということではマスメディアも支配層と一緒の考えを持つため、反対運動はあってもないことにしてしまう(?)のかもしれません。
洋上風力発電計画は、かつての原子力発電所建設誘致の話に結びついてしまうところがあります。
おそらくは、今原発のある地域というのは、それができる前は、何もない地域だったのではと考えます。それらの地域は、原発を誘致し、地域振興を目指したのでしょう。
同じことを、秋田と千葉の自治体も目指したように思われます。
福島原発が爆発事故を起こすまで、マスメディアは原発の危険性から目を背けていました。
田原総一朗氏(1934~)が司会をするテレビ朝日の看板番組「サンデープロジェクト」は、原発事故が起きるまで、東京電力がメインスポンサーでした。
マスメディアというものは、権力を批判するような格好をしつつ、いつの時代も、権力側に属します。
脱炭素が今の権力の意向であれば、それを否定するような報じ方はしません。そして、実は地域振興のために風力発電所の誘致をしていても、それを隠し、脱炭素の必要性だけを説きます。
銚子市としては、あくまでも海洋風力発電所の実現を目指すらしく、地元の市長の考えも、三菱商事の代わりに建設してくれる事業者がほかにいないか、再公募の手続きに早速入る考えであることを表明しています。
原発建設に猛進した自治体の長と重なるものを感じます。
